AKで異世界救っちゃダメですか?
ねこやみやび
第1話 廃工場での戦闘
「うう、ちょっとしくじったかナ、コレは……。」
潰れてから10年以上経つような、サビだらけの廃工場に追い込まれたボクらは、明らかに窮地に立たされていた。
山の中でヤツらに追いに追われて、ココに逃げ込んだのはイイが……。
コチラは先輩とボクの2に対し、おそらく敵側は5か6。
しかも、ヤツらの少なくとも1人は軽機関銃手(※1)。
バラバラと的確に探り
おかげでコチラは膠着状態だ……。
不幸中の幸いなのか工場内は薄暗く、ラックやコンテナ満載で奥までの見通しは悪い。
上手く隠れながら進めば、ドコからか抜けられるかもしれない。
まぁこんなときは、どちらかが痺れを切らしたほうが負けだ。
確かあと残り1マガジン(※2)。今の残弾を含め残り42発といったところか。
不意に右前からタタンと1斉射。
むぅ、やはりコチラの位置はバレているのか。
何やら指示を出しながら、2〜3人小走りでコチラに詰めているようだな。
足音を消す気も無いらしく、ドタバタと忙しない。
プレッシャーを掛けてるつもりか?
ドドンドンドン!
相手の動きを止めるために牽制射撃。
そのまま転がるように左奥へ、ススっと移動する。
「ココでコイツは振り回しづらいな……」
フルサイズのAKM(※3)はフィールドでは問題ないが、狭所では不利だ。
だからと言ってマカロフ(※4)を抜くのも心許ない。
「先輩、そちらは?」
奥を警戒している先輩に小声で話しかける。
「う〜ん、まだ大丈夫だわ、今のトコは。」
声に抑揚がない。
こういう時の先輩の『大丈夫』は、あんまり大丈夫じゃないんだよなぁ……。
「奥に進めます?」
「10秒待って。探ってみる。」
そういうと先輩は抜き足差し足ゆっくり移動し、ライトを明滅させて奥を探っている。
「OK! 5秒で右奥へ移動。カバーお願い。」
「了解。」
全周囲警戒しながら、足音を消し2人で奥へと進む。
「左を探る。背後の警戒よろしく。」
「OK、任せて。」
相手からは少しは距離が取れたはず。
「先輩、マグチェンジします。警戒お願い。」
「OK。」
弾丸は若干残っているもののマガジンをチェンジ、残りはダンプポーチ(※5)へ。
もうこれきりか。
「先輩、残りのマガジンは幾つですか?」
「ワタシもこれで最後よ。ああ、でも。」
ゴソゴソとポケットを探って……。
「あとこれだけ」
ポンと袋を渡される。
ん? これは……?
――――――――――
※1 機関銃を小型軽量化したものが軽機関銃。分隊支援火器(SAW)とも称される。小銃と弾薬を共用化できるメリットもある。
※2 箱型弾倉。小銃用の場合、1マガジン当たり30発のものが多い。
※3 旧ソ連の自動小銃の1つ。バナナ型と称されるマガジンが特徴の銃。いわゆるテロリストの銃。
※4 旧ソ連の中型拳銃の1つ。日本では暴○団が使うピストルとしても有名。
※5 空になったマガジンを入れる外付けポケット。他にもイロイロなものを入れることがある。ちなみに筆者のダンプポーチには、たま〜に缶ビールが入っているらしいw
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