《神格指定:JPN-K13》――神々が見守る“塔”を登れ、現代神話バトルファンタジー!

イェスコマ

第1話JPN-K13、炎鬼を屠る

――バベルの塔、第10階層。

ここからが“本番”と呼ばれる最初の壁。

信念と覚悟の試練にて、神々の注目を一身に集める異端の新星がいた。


《はいはーい!本日もやってまいりました“神格実況バベルTV”!実況は私、商業神ヘルメスがお届けしまーす☆ いやぁ〜、何がヤバいって!》


《ここまで初見で、ノー脱落・ノー撤退!試練突破中のJPN-K13だーっ!こりゃもう中継するしかないでしょ!!》


 神眼カメラが炎の空間を切り取り、画面の中央に映し出されたのは──

 身の丈三メートルを超える炎鬼が火焔の大斧を振りかざす瞬間だった。


「グゥオオオオォオオ!!」


 咆哮と共に振り下ろされる紅蓮の一撃。しかしその直撃軌道に立ちはだかったのは──


「ここは、通さん」


 全身を覆う山の鎧、その足元には踏み割られた大地。

 山神・オオヤマツミの使徒――**大井 一臣(おおい かずおみ)**が、身の丈を超える盾で斧を受け止める!


 《ゴギィッ!》


 地響きと共に、鬼の猛攻を無言で押し返す圧倒的な肉体。

 そしてその背後から、雷光が駆け抜ける。


「……今だ、いぶき!」


「風、通すよ!」


 風神の加護をまとう銀髪の少女―青羽 いぶきが風の道を作り出し、その中を雷神の使徒―武雷 勇征(たけい ゆうせい)が突き進む!


「食らえ、“雷穿”──!」


 《ズガァァン!!》

 電撃をまとった槍が、炎鬼の腹部を撃ち抜く。

 鬼が苦悶の悲鳴を上げる隙を突いてくのはお馴染みのヒーラー。


「よーしよしよし、はいっ回復〜!!いっておいで勇征くん!!」


 ヒーラー―九頭見 璃音(くずみ りおん)が回復の神具を展開。

 淡い蒼光が仲間の傷を癒す。


《あっははは!バチバチの連携!火に風を乗せて、そこに雷!さらに鎧で受けて、回復も完璧ぃ!?てかこいつら、マジで1年目か!? 》

《JPN-K13、最速討伐あるぞーッ!!》


 空中コメント欄には「推し決定」「璃音かわいすぎ」「勇征くん付き合って」とファンが爆増中。

 そしてトドメの構えを取る勇征に、風が再び巻き起こる。


「いくぞ……!」


 槍が雷光をまとう。風が導き、仲間の視線が一点に重なる。


「――穿て!!」


 《バゴォォオオオォッ!!》

 炎鬼が爆ぜ、黒炭になり、そして倒れ伏す。


《討伐完了ォォ!!第10階層クリアァ!JPN-K13、伝説の始まりィィィ!!》


 空に歓声が響き渡る中、勇征がぼそりと呟く。


「……やってやったぞ。俺たちは、登るって決めたからな」


 仲間たちの視線が静かに重なる。


《――というわけで、モンスター級の新星“JPN-K13”。彼らがどうやって出会い、そして塔へと挑むことになったのか──少しだけ巻き戻して見てみましょう☆》


 塔はすべてを試す。

 世界は彼らを、見逃さない。

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