第17話 また助かったのか?


「ハデル……クソッ、オーガなんて、オーガーなんて皆殺しにしてやる! 残酷にバラバラにして、ハァハァ死ねーーっ」


ハデルの様子を後ろに見たリメルはどちらが鬼か解らない形相でオーガに突っ込んでいった。


「リメル止まれーーっ」


「嫌だ! 僕は此奴らを皆殺しにしないと気がすまないんだ!」


リメルは剣聖でボーイッシュだが、根っこの部分には女の子特有の優しさがある。


『男らしいかと言えば男らしくなく、女らしいかと言えば女らしくない』


それがリメルだった。


心のどこかに魔物を殺す時でも相手に対して哀れみを持つような優しい面がある。


殺すにしても相手に敬意を払い、楽に苦痛なく殺す。


それが私が知るリメルだった。


だが、今のリメルは違う……まるで冷めたような目でオーガを見て虫けらのようにオーガを斬っていく。


勇者の私が見ても鳥肌が立つように無残に殺していく。


リメルは血で染まりながら、オーガを切り刻み肉片に変えていった。


「あはっあはははっ、僕がさっさと殺さなかったから、だからハデルが……逃がさないよ! 1体残らず殺さないと僕の気がすまない……死ね……」


乾いた笑みを浮かべながらリメルは最小の動きでオーガの攻撃をよけ斬り殺していく。


怖い物知らずの筈のオーガが怯えはじめ、逃げ出し始めた。


それでもリメルは止まらない。


こうなっては気がすむ迄放っておくしかないし、私のやる事は無い。


狂ったようにオーガを斬り殺すリメルに巻き込まれないように私は後ろへ下がった。


◆◆◆


「ホーリーウォール、今結界を張ったから……ハデルくん、ハデルくん! ちょっとしっかりして、ああっ血が大量に……」


「ハデルぅーーハデルぅーー死んじゃいやだぁぁぁぁーー」


「ああっ、もう煩い! リリアしがみついていないでどいて! 早くしないと本当に死んじゃうから!」


マリアンヌがリリアを突き飛ばし、ハデルに刺さった矢を力任せに抜いている。


「ライト、見てないで手を貸して! この矢返しがついていて抜けないのよ! しかもご丁寧に毒まで塗ってあるわ。 とりあえず、多少肉が抉れても抜かないとまずいの! 早くして!」


「ああっ、すぐに手伝う! リリア、も泣きわめいていないで手伝ってくれ!」


「ううっ、うん……」


三人して矢を抜いていく。


これは……酷い。


返しがついた矢を力任せに抜くから肉や臓器の一部が一緒に抉れていき血が流れている。


「「ううっ」」


「いい、肉は幾ら抉れても臓器もさほど問題無いわ。だけど出血が問題なのよ! 血は魔法でどうにもならない。 気にしないで急いで引き抜きなさい」


マリアンヌに言われるまま矢を抜いた。


どうにか矢を抜き終わるとハデルの背中は酷い事になっていた。


「間に合うといいんだけど! キュア、ハイヒール!」


ハデルの傷がみるみる治っていく。


これで大丈夫な筈だ。


「マリアンヌ、これで大丈夫だよね?」


「ライト、そうとも言えないのよ! これで毒と怪我は治ったけど、血を流し過ぎたわ……回復するかどうかはまだ解らないわ」


「ううっ、ハデルぅ」


「ライト、ハデルは大丈夫!」


「リメル……」


「嘘でしょう……ハデルぅーー嘘、嘘だぁぁぁぁーー」


私達の為に命を賭けられる人間……いざ、本当に目にすると堪えるな。


◆◆◆


此処は何処だろう?


天井が見える。


僕は死んだ筈なのに……そうか、また助かったのか。


此処はベッドの上だ。


『死ねなかったんだ』


ふとベッドを見ると、近くでリメル様とリリア様、マリアンヌ様が眠っていた。


看病してくれていたのか?


なんだか、申し訳ない気持ちになった。


立ちあがろうとしたけど、あれっフラフラする。


仕方ない、もう少し眠らせて貰おうかな。





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