第11話 密着から羞恥
鉄オタが学校が終わってからするものは何か。
「電車を撮る」と思う人もいるだろうが、一概に鉄オタとはいえ電車を撮らない奴もいる。
「とる」まではあっているが、とるものが違う。
そう、駅の発車メロディーである。では、本編に突入。
学校が終わった後の4時過ぎ、神田駅で一脚の先にマイクを縛りつけ、スピーカーにくっつける自分がいる。(美乃梨さんに弁当の感想を聞かれたがとりあえずその場で考えることにして、一旦そのことは忘れようと思う。)
発車メロディーを録るのに大事なことは、スピーカーにマイクを「密着」させることだ。そうしないと何がまずいかって?ノイズが入ってしまい、聞けたものじゃなくなってしまう。
そんなことを考えていると、一本目の接近放送が流れ同時に列車がホームに進入。
そろそろ停まるというタイミングでマイクをオン。さてこの電車は何秒流れるか、と思ってメロディーのスイッチを押す車掌さんを見ると、
じとーーーーーーーーーーーー
うわ、すっごいにらんでくるんだが、辛辣~。
チャラっ。2番線、ドアーが閉まります、ご注意ください。
しかも即切りですか、せめて1秒くらい流せよ。
そしてマイクをオフにする。さすがにずっとつけっぱなしにするのは面倒だからね
すると、電車は戸閉し発車する。
電車が去っていった頃、
「あの、泉さん、瑞さん?両腕ホールドされると、暑いんですが?」
そう、さっきから妹二人が両腕に巻き付いているのだ。いろいろ当たってるし体は大事にしてほしい、と言いたいがどんな反撃を食らうかわからないので余計なことをいうのは控えようと思う。
そして返事は、
「お兄ちゃんの腕を支えてあげてる。」
やっぱり瑞は優しすぎかよ。将来いい人の嫁になってほしい、優しい妹でお兄ちゃん嬉しいよ(泣)。
しょうがない、今回は兄が折れて妹たちの好きなようにさせるか。
何本分かメロディーを収録し、そろそろ1時間経つといった頃合い、
「全っ然フルコーラスならねえ」
そう、ダイヤがかつかつなのでフルコーラスなることがほとんどない。
「お兄ちゃん、疲れた。」
「そうだよな、ごめんな、次ダメだったら帰ろうな。」
なんと妹二人、1時間ずっと腕をホールドし続けている、忍耐力やばくね。
次の電車が進入、望みは薄いがマイクをオンにする。
んんん?電車の中に知った影が。
電車のドアが開くとともに、
「君たちラブラブだね~?お姉さんも混ぜてよ~♡」
ぎゃー、美乃梨さん来たんだけど。そういえばこのひとオフィス御茶ノ水とか言ってたな。
しかし、悲劇は連続するから悲劇なのだ。
まさかの御陵さん登場。
「え、上野君何してるの?シスコン?電車オタク?私も抱き着いていいのかな?」
もっともやばそうなのが追加投入されたんだが?あと変な誤解すんのはやめてほしい。
それよりも、
「ちょっと美乃梨さん、何のんきにパシャパシャしてるんですか。恥ずいんですけど。」
「えへへへへ~♡」
あ、この人助けてくれない。目がハートになってる。
流れに身をゆだねるほかないことを悟った。
ちなみにこの時フルコーラスを通り越して2コーラス鳴った。
その後、神田の高架下の店に入ることになり、美乃梨さんに弁当の感想を一言「おいしかったですよ。」と伝えたところ、キュンキュンしながら「もっと褒めて♡」と言われて録音までされた。恥ずかしいこの上ない。
無駄情報
御陵さんの家は門前仲町らしい。
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