第27話:冒険者証明書

「冒険者証明書・・・・名前:シンヤ・・・職業:召喚士だと?!」


俺は思わず立ち上がって叫んだ。


「い・・・いきなりどうした?」


目の前のシデンも周りの連中も突然の俺の奇行に驚いていたが、俺はもっと驚いていた。


(なんで俺が冒険者になってるんだ?それに召喚士である事もバレてしまっている・・・というかそもそも何で俺の冒険者証明書が存在しているんだ?)


しかし、よく考えると何かおかしい。

まずは冷静になる事が重要だ。

俺は、何事もなかったように静かに元の席に座り、シデンに向き直った。


「なんだかよくわからんが・・・落ち着いたか?」

「ああ、すみません・・・それは俺の冒険者証明書ですか?」

「そうだ・・・これはお前のローブに入っていた物だが、貴重品として俺が預かっていた。この国での身分証明書として重要なものだからな。」


彼はそう言ってそのカード?を俺に返してくれた。

手に取って確認してみる。

色は銀色で硬く、何かしらの金属で出来ていると思われる。

表面には見た事のない文字が刻まれている・・・が何故か俺には理解でき、名前や職業などの情報が見てとれた。


(これが俺のローブに?)


それだとこの世界に来てから、元々所持していたことになる。

つまり俺はすでに冒険者という職?に就いていたようだ。


(これが身分証明書になるなら、日本でいう戸籍のようなものか?それを女神が偽造した?)


その時ふと女神の言葉を思い出した。


”転生したら、貴方も住民になるので問題ありません。”


(もしかして、元々この世界で生きていた住民に転生させたのか?)


確かにそう考えると、知らない文字を理解出来るのもこの住民の記憶が残っているからと考えればおかしくないのかも・・・こじつけだが。


他に何かないかと服の中を確認しようとすると、見た事のない布の服を着ている事に気付いた。

装備していた召喚士のローブではない。

よく見ると彼も俺と同じ簡素な布の服を着ていた。


「ん・・・お前のローブは冒険者ギルトで預かっているぞ。この迷宮都市リンガでは都市内で武装する事は禁止されている。あのローブは武器ではないが、不思議な力があるらしいから、とりあえず預からせてもらった。もちろん都市を出る時は返す。」


シデンは俺の様子から、何を求めているかを的確に答えてきた。

なかなか鋭い男だ。


(そりゃ、都市内で兵士でもないのに刃物持った連中がウロウロしてたら怖いよな。ん・・・武装か・・・。)


そこで気付いた事があってステータス画面を確認してみると、俺もシデンも装備品に何も表示されていない。

どうも武装と判断されていない着用品は表示されないようだ。


(これは相手が武装しているかの確認するのに、役に立つかもな。)


「気分は落ち着いたか?」

「え・・・ああ、はい。」

「じゃあ、仕事の話はどうする?」


そう言えば忘れていたが、彼は仕事の話をしようとしていたのだ。

とにかく俺は冒険者として就職?している事がわかったからには、冒険者のルールを知るためにも彼の話を聞く必要があるだろう。


「わかりました。仕事の話・・・聞かせてください。」

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