【双神の教え】

「セフィーナちゃん、準備万端ですね。」



「マリアちゃんも気合い入っていますね。」



クスクス笑うアシュヴィン双神。

二人の格好は、女の子らしい服装ではなく動きやすさを重視した服装だった。



「木の実とキノコをたくさん採るの!」



「もちろん勉強も頑張りますわ!」



良い心掛けだと褒められ嬉しそうに笑う。



「ちょっと待ったーっ」



「僕たちも一緒に行って良いですか!?」



駆けて来たのはマティアスとアレックスだ。



「構いませんが、二人も薬に興味が?」



「俺らの目的は虫だよ。すげぇの捕まえて友達に見せびらかすんだ。」



ニカッと笑うマティアス。



「友達に見せた後はどうするんですか?」



「え、見せた後?」



頷く双神。

考えていなかった為、返事に困ってしまった。



「えと、逃がします。」



答えられないマティアスの代わりにアレックスが答えた。



「どこで逃がすんですか?」



「え……と、その場で……?」



アレックスの返事を聞き、首を振る。



「それだと生態系に影響が出てしまいますよ。」



たった一匹の虫でも影響が出ないとは限らない。

その危険性を話して聞かせるアシュヴィン達。



「そっか……。薬草も食べられて無くなるかも知れないんだ……。」



マティアス達だけでなく、セフィーナ達もその危険性を理解した。



「じゃあやめるよ。すげぇの捕まえたかったけど……。」



「あ、そうだ。捕まえて、写真撮ってすぐ逃がせば良いんじゃない?」



アレックスがぽんと手を打って言った。



「それは良い考えですね。それなら問題はないでしょう。」



「さすが父さんの子だよなー。俺とは頭の出来が違うもんなー。」



ぶーぶー言うマティアスに苦笑して、出発の準備をするアシュヴィン双神。


マリアに薬を飲ませ、空を移動して。

地上に降りて爆走した。



「何だこれ!馬車ってこんなんだっけ!?」



「想像してたのと違うーっ」



二人が思い描いていたのはのんびりと走る馬車。

昨日のセフィーナ達のように、マティアスとアレックスの顔も引きつっていた。



「はい、到着です。皆さん、大丈夫ですか?」



元気な返事が2つと、そうでない返事が2つ。

リバースはしなかったが、ぐったりしていた。



「あっ、カブトムシ!」



「なに!?どこだ!?」



セフィーナの声にピクリと反応したやんちゃ坊主達。

元気いっぱいに森林へと駆けて行った。


アレックスとマティアスは虫捕りに。

セフィーナとマリアは勉強に──。


アシュヴィン双神と森に入り、木の実の勉強をする二人。

食べられる木の実をかじり、甘さや苦さに一喜一憂していた。



「これは毒にも薬にもなる植物です。」



「量を抑えれば麻酔として使えるんですよ。」



と、木の実だけでなく目に付いた植物の事も教わった。


程よい時間で切り上げ、ナイト家へと帰る。

そんな日々を送るアシュヴィン双神とセフィーナ達。



そしてレースが3日後に迫った頃。

ようやく妨害の目的が見えて来た。

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