Part4 いざ、文化祭
会議が行われてから、早数日。新聞部は活動を始めていた。6月中は授業終了後に各クラス・部活で準備が行われるため、授業が終わってから新聞部は忙しくなるのだった。
そして今まさに授業終了のチャイムが鳴り、学校中で準備の物音が響いていた所だった。
「っと……最初は1-5だから……こっちか」
新はそんな中で、手に持ったバインダーを眺めて呟いた。
新聞部で長年使われ
今日は6月9日。表によれば、新は1-5と1-6、文学部の取材がタスクなのだった。廊下を歩き、件の教室へと向かう。
しかし新の所属する1-4からは対して距離もなく、すぐにたどり着いたのだった。
「し、新聞部です! 準備風景の撮影に来ました〜……」
扉をノックし、そんなセリフと共に教室の中へ。新は陰キャ側の人間であり、こういったクラス全体に呼びかける程の大声すらも苦手だった。
そのため少し細々とした声ながらも、理解はしてもらえたようで、教室での撮影を許された。
新聞部所有のデジタルカメラを用い、教室の角から教室内全体が映るような写真を撮る。その後は、もう少し細部にフォーカスを当てたものを何枚か。やがてフォルダに10枚ほど溜まった後、新はもう一度クラス全体に問うた。
「えと……このクラスの実行委員は誰ですか? インタビューをしたいんですが……」
2度目となっても慣れることはなく、相変わらず少しの弱々しさが滲む声だった。
「はーい! 私私!」
しかしその弱々しさは見破られてはいなかったようで、実行委員らしい少女のはつらつとした返事が返ってきた。
普段中々関わることのないタイプの陽キャに恐怖を覚えながらも、仕事なのだから仕方がないと諦め、廊下に椅子と机を並べてインタビューを開始するのだった。
「じゃあ……まず、1-5の企画内容と魅力を教えてください」
インタビューの内容というのは、新聞部のマニュアルで決められている。それは主に企画に関するもので、内容や魅力、実行委員からの一言など、割かし一般的な奴であった。
「はい! 1-5の企画は喫茶店です! 一番の魅力は――」
新は、その言葉をポケットから取り出したノートにメモしていく。要旨を理解し、重要な部分だけを的確にメモしていく。言葉だけで言えば簡単そうだが、実際のところそれは、中々に難しい業であった。
「――っていう所かな……大丈夫そ? 早かったかな?」
「すいません……」
新のメモ速度は、相手の会話と比べて圧倒的に遅かった。どこが要点なのか分からず、とりあえず聞こえてきた言葉をがむしゃらにメモしていたからだった。
新はインタビュー相手に心配されるという死ぬほど恥ずかしい状況に耐えつつ、その後もインタビューとメモを繰り返すのだった。
やがて、10分程が経過した頃。
「じゃあ……インタビューは、この辺で。ありがとうございました」
「はい! いやはや、新聞部ってこいうのもするんだね。頑張って!!」
そんな激励と共に、新の初めてのインタビューは終わった。机と椅子を教室の中に戻し、実行委員と軽い会釈を交わして教室を出る。
再び喧騒に満ちた廊下で1人になり、ふーっと一息長めに吐く。
(……疲れたぁ……緊張した)
今まで経験の無い行動と環境に、身体と脳が少しついてこれていなかった所があったのだ。
しかし仕事に穴は開けるまいと、隣の1-6へと向かうのだった。
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