電気ケトル


 珍しく 〝彼女〟が荒ぶっていた

 

 基本的に いつもは私が

 感情を荒ぶらせていて


 彼女は

 まあまぁ 大丈夫よ 落ち着きなさいな



 そんなスタンスだ



 彼女はそれを

 私が悪いものを引き受けてくれるから

 そういられるのだと

 そんな風に言う


 そんな彼女が 珍しくご立腹だった


 まぁ たまには逆も いいだろう


 というか 怒ると怖いのは彼女の方だ

 

 

 

 はい ぱり●こ

 あと ヤ●ルト


 

 

 紅茶を淹れたかったけど

 電気ケトルの調子が悪い


 修理を繰り返してるけど

 故障までのスパンが短くなってる


 父が倒れた日の朝も

 なぜか車のエンジンがかからなかった


 どこかでなにかが

 切れたのかもしれない

 


 

 できることをするだけだ

 なにも 失わないように



 



 

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