3話

ゴーン……ゴーン……


まただ。

鐘の音。

耳障りな程に聞き尽くした鐘の音。

刀を手に取り魔物の腕に突き刺す



「ウガァァァァァ!!!!」

という叫び声が脳裏に浮かぶ


余りの痛みに魔物は手の力を緩めた隙に、僕は魔物の手から逃れる


頭からは血が流れ、物が二重に見えたりと、焦点が合わない。

だが私はやる。


こいつを殺して、世界に何が起きたか知らないといけない。


刀は魔物の腕に刺さったまま。

手持ちは鞘のみ。


俺は走り出した。

それに合わせ魔物は正面から殴りかかってくる。それを右に体を逸らし攻撃を避ける。

伸びきった腕に刺さっていた刀を抜き取ったのと同時に腕を蹴り高く飛躍する。

落下速度を活かし、首を切り取る。



するとゆっくりと魔物が倒れ動かなくなった。



私は余りにも疲れ立つことがままならく地面に座り込んでしまう。


潰されたと思っていた天明の士がやってきて、話し始める


「タイタンは3年前の6月9日に滅亡した。理由は簡単だ。魔物を狩る天明の士が返ってこなくなったからだ。」



と、淡々と説明する彼に違和感を覚えながら彼の話を聞く


「魔物が押し寄せてきて目につく人間を皆喰い殺した。地獄だった。辺りが血の海に呑まれ、腐敗臭と血の匂いが入り交じった不快臭が鼻を突き抜ける。それもこれも天明の士が帰らなかったからだ」


「……」


私があの幻を見ていた間人々は惨殺された。


俺のせいだ。


また守れなかった。


いっその事、自殺した方がいいかもしれない。


俺は刀を抜き自分の首に当てる

そして突き刺した























血が流れ、刀から滴り落ちる



ドサッという音と共には倒れる。



すると地面が崩れ、世界が壊れていく。



僕は、下も上も横も真っ暗な場所にたっている。


段々と光が現れていく。

そして瞼を開けるとそこは

見知らぬ部屋の天井が見えた。



「……?」


視点の端からひょこっと顔を出した少女がいた。


「小童が起きたぞ!!」


大声で叫ぶ少女。


ドアから1人の眼鏡をかけた女性が歩いてくる。


「大丈夫ですか?体の方は」


私は

「大……丈夫。それよりここは?」


少女が話す。

「ここは世界で唯一の地上避難所、ボルスだ。お主は地下都市タイタンの近くの地上で倒れておった。そこから連れてきたんじゃ」


「……そうか。崩壊してないんだな?」

と僕が聞くと少女が小馬鹿にした様子で口を開く


「何を物騒なことを。ピンピンしてるぞ。ただ儂ら、ボルス民はタイタンの奴らに嫌われておるから連れて行けなかっただけじゃ」


思い出した。

こいつらは訳ありの人々でも受け入れる唯一の避難所。


半分だけ魔物の奴や、魔物の影響で歳を取らなくなった奴。様々だ。

そして、安全を考慮するタイタンとは犬猿の仲……


そしてこの黒と金の混ざった髪、金色の瞳をした少女は、狐廉これん

歳を取らない病気であり、ボルスの総長。

隣の黒髪、青色の瞳と眼鏡をかけた女性はアリス

半魔物であり、ボルスの副総長。















私は雲の上にいる"ソイツ"の話と、夢の話をした。

2人は声を揃え

「「やっぱりな」」

と言った。


狐廉は空の上に絶対何かが居るとわかっていたそうだ。

アリスは

同じような夢を見たと言っていた。


共通するのは皆ということだ


不老、半魔物、そして俺は人格の混在


私が考え事をしていると

ドアから1人の青年が走って現れた


「はぁ……はぁ……亀裂です!!」



亀裂……不定期に現れる空の亀裂



俺は身体中が痛む中刀を取り狐廉、アリスと共に亀裂の方向へとあゆみ出したのだった

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