第37話 甘酒事件の後日談

☆☆☆


「...なんか、じろじろ見られてる気がする...」


甘酒事件(?)から数日後、いつも通り登校していた俺は、いつもとの登校した時に周りからの視線が、いつもよりすごいような気がした。昨日なんかしたっけ?なんて思いながら、早足で登校する。


部室の扉を開けると、先輩2人がびくっと反応し、おびえた顔でこちらを見た。


「や...やあ渉くん...」


「お、おはよう...あはは...」


何があったかは分からないけど、誰のせいでこんなことになっているのか、大方察しがついてしまった。


「...先輩たち、何したんすか」


「い、いやあ、なにも...」


「うんうん、なにも...」


「...怒らないから、言ってごらん」


「「...甘酒のときのこと、みんなに話しちゃいました」」


「うんうん、それから?」


「「...お、音声も流しちゃいました」」


「うんうん...そっかそっか...どんな感じだったんです?」


俺は笑顔で受け答えする。その様子を見てか、2人の顔から怯えが消えていった。


「いやあ、次の日にっこにこで登校したら何があったか聞かれちゃてぇ?勢いあまってぜーんぶ話しちゃった~たはは」


「楽しくて、嬉しくて、ついね?音声をその場で大音量で流しちゃってさ~。ほら、渉君が大好きって言ってくれたやつ!」


「なるほど、そうでしたか...」


俺はスクッとその場で立ち上がる。


「よし、2人とも正座」


「え...?」


「お、怒らないんじゃ...?」


「怒らないですよ?ええ、安心してください。...暴力はしませんから。」


俺は握り拳をかかげながら言った。


「怒ってるじゃん!!いやー!!」


「逃がすかコラ!」


逃げようとする2人の首根っこをつかみ、ソファに正座させる。


「うう...どうして...」


「床に正座させないだけ温情だと思ってほしいですね。」


俺は先輩たちの目線にあうように、目の前に座る。


「何してくれとんじゃおどれら。やっていいことと悪いことがありますよね??」


「はい...」


「音声も流すとか何やってんですか。あれは先輩たちが個人的に楽しむなら、って渋々見過ごしてたのに。こうなったらぜーんぶ消してもらうしかありませんね。写真から動画から音声から何もかも。」


「お、鬼だ!鬼がいる!」


「俺からしてみれば、あんたらのほうがよっぽど鬼じゃ!マジ最悪だよこの人たち!」


「うえーん!だって~」


「だってもへちまもありません!とにかくさっさと消す!」


「わ、わかったわかった、後で消しとくから...」


「ダメです、ここで消してください。どうせバックアップとか取るつもりでしょ。」


「うぐ...わ、わかた、ここで消す...」


咲月先輩がスマホを取り出したので、奪って机に置く。


「俺にも見えるように、消してくださいね。」


「うう...」


1つ1つ消し終わり、フォルダの中全てを確認する。どこにもないことが確認できた。


「うん、もうないですね。」


「はい...」


「じゃ、ゴミ箱のなかも空っぽにしてくださいね。」


とどめの一撃を放った。


「んなぁっ!?それは聞いてない!」


「だってゴミ箱にあったら復元できますもん。さ、やってください。」


咲月先輩にそういうと、咲月先輩は涙目になって...


「...い」


「い?」


「いやや~~!!」


「あ!?ちょっと!?」


先輩は泣きながら逃げ出すのだった。いつの間にか実先輩までいなくなってるし。


「はあ...ま、いつもの仕返しができたから良しとするか...」


俺はため息をつきながらそういった。


☆☆☆

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