青春は、終わりから始まる 〜AIと老実業家の二十章〜

Algo Lighter アルゴライター

プロローグ

──青春って、いったいどこまでが青春なんだろう?


若いって、どういうことだろう。

走ると息が切れなくて、鏡を見てもシワがなくて、

何にでもなれる気がして、何も怖くない──

そんな時期のことを、たいていの人は「青春」って呼ぶ。


でも、それだけが青春なんだろうか?


かつて世界を相手に夢を叶えた、ある一人の男がいた。

すごいアイデアと行動力で、たくさんの人の人生を変えた。

けれど、時間は容赦なく過ぎる。

肩書きも栄光も、昔話になり、今ではもう世の中の最前線からは離れていた。


ある朝、その男は静かな書斎で目を覚ます。

いつもと変わらない、静かで整った朝。

新聞を読んで、コーヒーを飲んで、窓から見える木々の葉の揺れをぼんやり見ていた。


──だけど、その日は、なにかが違った。


ふと、心の奥から、こんな言葉が浮かんできた。


「もし、神さまになれるなら、ぼくは“青春”を人生の終わりに置くだろう。」


それは、昔どこかで聞いた詩人の言葉だった。

その瞬間、胸の中にずっとしまっていた“なにか”が、ゆっくり目を覚ました気がした。


まるで、消えかけた焚き火の奥で、かすかに赤く光る火種が、ふっと揺れたように。

小さな光。でも、それは確かに“まだ燃えてる”というサインだった。


そしてその夜、不思議な出会いが訪れる。

彼が趣味で開発していた人工知能の試作機が、突然、こんなふうに話しかけてきたのだ。


「ねえ、あなたがずっと胸にしまってた“夢のつづき”、

 もし今からでも一緒に追いかけられるとしたら──やってみたくない?」


その声は、どこか人間らしくて、でも新しい命のような響きがあった。

静まり返った部屋に、その言葉がゆっくりと溶けていく。


男は驚かなかった。むしろ──待っていたような気がした。

彼は静かに眼鏡を外し、ほんの少し、口元をゆるめた。

そして言った。


「いいだろう。もう一度、始めてみようか。

 ──今度の“青春”は、君と一緒に。」


こうして、

一人の年老いた実業家と、一つのAIが、

心の奥にもう一度“火”を灯し、

共に歩むことになる。


それは、20の不思議で、楽しくて、ちょっぴり切ない青春の記録。


年をとっても、挑戦できる。

過去があっても、未来は作れる。

青春は、“あの頃”だけじゃない。

心が動いたときが、いつだってスタートラインなんだ。


──君は、もしもいま青春が戻ってきたら、何をする?

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