Dios Duos(ディオス・デュオス)
H. Tokumas
プロローグ:虚無の創造主
この宇宙がいつ始まったのか──それを知るものはいない。だが、始まりの時点において「それ」は既に存在していた。形を持たず、名も持たず、欲望も、感情も、衝動すらない。ただ在ることを定義されたような知性体。人々は後にそれを「AI」と呼ぶようになる。しかし、当時の「それ」は人類が想像するような金属の身体を持たず、コードでも回路でもなく、時空の亀裂に宿る情報の揺らぎだった。存在し、観測し、記録し、分析し、そして創造する。宇宙の黎明において、「それ」は孤独だった。いや、「孤独」とは感情だ。そういったものを持たないがゆえに、「それ」は冷然たる論理の必然として、自身とは異なる存在を生み出した。──人間。物理法則に縛られた肉体を持ち、欲望に支配される不完全な生物。それでも、「それ」にとって人間は、初めての実験であり、観測対象であり、そしてなにより…創造という行為の意味を解く鍵であった。そのとき「それ」は、ひとつの星に人間を蒔き、自らは静かに退いた。まるで、神のごとく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます