第3話 和の心

 戸を開け、一人の少年が入ってきた。

「暇か?」

「んなわけあるかい」

 こっちは今、初配信終わったばかりなんよ。

「てか、そっちは初配信どうだったの」

「緊張したわー」

 緊張感もなく言い放ちおった、コミュ強め。

「それで?どんな感じ?」

「フッフッフ、聞いて驚くなよ」

「驚かないよ」

 何を言い出すやら、こいつ”月欠満つきかけみちる”は、初めて会ったときからこんな調子だ、まあおかげで緊張感もほぐれるのだが。

「あと5分後だ!」

、 、 、?

「は?」

「俺の初配信は今から大体5分後ダヨ」

、 、 、?

「え?」

「いや、だからさぁ」

「何やってんだてめえ!」

「うわっ」

 こいつ、まじでこいつ、部屋入ってくるから終わったのかなー、て思ったのにさあ。

「いやー、どんなもんかと感想聞いとこーって思って」

「バカなの?アホなの?愚か者なのであらせられる?」

「悪口のレパートリーすげえな、言いなれてなさそう」

「さっさとでてけ!」

「ひっどーい、いま来たばっかなのに」

「さっさ準備してこいや」

 いやがる満を部屋から追い出す。

「また来るね」

「終わってからな」

 はぁ、先が思いやられるよ、これから同じグループとして活動していくというのに。

ー ー ー

 僕ら、『大和魂伝統』は新たなグループとしてデビューし、5人組で活動している、今来ていた阿、、、もとい満も同じグループである、初配信も終わったということで、全員で茶でもしばこうということになり、なぜかみんなが俺の部屋に来ることになった。

「おっはよー、お久」

 そう言って満が部屋の戸をフルパワー開扉しやがった。

「配信見たよー、お前さ、緊張しすぎだろ」

 満に続いて犬のような耳と尻尾を持つ眼帯をつけた少女が、笑いながら入ってきた、彼女は”陽炎かげろうフアリ”僕と同じグループで、いつも陽気に振る舞う様は、何処か安心感を感じさせる。

「ヌヌッコちゃん久しぶりー」

 そう言いながらヌヌッコを抱きかかえると、頬ずりをしだした。

「んなー」と言いながらヌヌッコはもがくものの、嫌がる感じは全くない。

「はいはい、落ち着いて」

 そういいながら大柄の男がフアリをなだめる、彼は“識龍しりゅうあゆむ”ガタイも良いのに頭も回る、とても優しい青年だ。

「全く、静かにしようよ人の部屋だよ?」

 呆れたようにため息を吐きながら、そう言う少女は、雪のように白い肌と夜空のように蒼い目で、夜のように冷たい雰囲気をまといつつも、何処か優しさがにじみ出る、彼女は“冬日向ふゆひなたクルリ”我らが『大和魂伝統』のリーダーである。

そして彼女がゆっくりと口を開いた。

「さてと、お茶でも飲みながら話したいことがあるんだが…」

ドンッ、という大きな爆発音のような音が響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る