3
僕の名前は聖。今日の僕は世界で一番幸運に違いない。なぜなら僕は今日が誕生日だから。それにただの誕生日じゃない。今日はクリスマスでもあるんだ。
朝目覚めて窓の外を見ると、一面が銀世界だった。まるで世界中が僕の誕生日を祝うために、静かに雪化粧をしてくれたみたいだ。
僕はクリスマスに生まれたから、プレゼントもケーキも年に一つしかもらえないんだろ、ってよく友達にからかわれる。でも、そんなのちっとも不幸なことなんかじゃない。だって、クリスマスの日は、世界中がお祝いムードに包まれる。まるで世界中が僕のために祝ってくれてるみたいじゃないか。
学校から帰ってくると、父さんも母さんも今夜のパーティの準備をしてくれていた。
「父さん、今日早かったね」
「当たり前だろう。午後から休みを取ってきたんだ」
リビングには、僕の身長よりも高い大きなクリスマスツリーが飾ってある。飾り付けのキラキラが色とりどりの輝きを放って、部屋中を虹色に染めていた。これで家に暖炉でもあれば雰囲気バッチリだったのになあって言うと、父さんは笑っていた。
「聖、まずはランドセル置いてきて、手を洗いなさい」
身軽になった僕がキッチンの様子を見に行くと、お母さんがストロベリータルトを焼いていた。僕の一番の大好物だ。甘い香りが部屋中に満ちていて、それだけで胸がいっぱいになる。
こっそり、飾り付け用のイチゴを味見していると、お母さんと目が合った。なんだかおかしくって、笑いが止まらない。
年に一度のクリスマス。今年も、すっごく素敵な一日になりそうだ。
「聖、つまみ食いも良いけど準備手伝って。遅くなっちゃうと、サンタさんが来ちゃうわよ」
「はーい」
お母さんが、にこにこしながら僕の頭を優しく撫でる。
「あーっ、父さんもチキンナゲットつまみ食いしてるーっ」
「やベっ、ばれちゃったか?」
父さんは口の端についたケチャップを拭った。
「あなたー?」
「ごめんごめん、ははっ」
「もうっ、うふふっ」
家中が暖かな笑顔で満たされていく。幸せな空気が充満していく。もう、今がすっごく幸せなのに、これからサンタさんまで来るとなると、僕はどうなっちゃうのだろう。
今年はサンタさんからどんなプレゼントが届くのだろうか。去年は欲しかったゲーム機をもらった。今年は、図鑑かな、それとも新しいサッカーボールかな。想像するだけで胸がドキドキして、眠れそうにない。
「ママ、パパ。今夜のクリスマス楽しみだね」
僕はツリーの前で飛び跳ねた。父も母も笑っている。
年に一度の、世界で一番幸せな夜。
間違いなく、今の僕が世界で一番幸せな子どもだと確信していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます