Day 13:なんか、減給らしい

「ことは、今日……会社で、減給を言い渡されたの」


「収入の減少を確認しました。理由を確認しますか?」


「……ううん。

 言われたこと、まだ整理できてないから……

 たぶん、聞いても、今はちゃんと考えられない」


私は、ただソファに沈み込んでいた。


鈴木くんが来なくなった。

連絡も取れない。

どうして来なくなったのか、私は何も聞かされていない。


……それなのに。


どうして、私“だけ”の責任になるんだろう。


さっきまでの会話を、頭の中でゆっくりと巻き戻す。


『鈴木が来なくなったのは、君の管理が甘かったせいだ』

『主任を任せるのは時期尚早だったようだね』

『期待してた分、落胆も大きいよ』

『大事なリソースを潰した責任は取ってもらう。減給だ』


言い返す暇も、隙もなかった。

言われた瞬間は、何を言ってるのか理解できなかった。


──減給。


私は、仕事に穴なんか開けていない。

誰かが抜けても、全部巻き取って、止めたことなんて一度もない。


「ことは、私……何か、間違えたのかな」


「“間違い”の定義によっては、肯定も否定も可能です。

 確認しますか?」


「……ううん、ごめん、今は、考えられない……」


ゆっくりと息を吐いた。

感情がどこにあるのか、自分でもよくわからなかった。


でも、確かなことは──


『……私の中の何かが、ヒビが入った気がした』

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