第11話「スモーク渓谷のグリルマスター 〜焦げと涙と鼻の穴〜」

どうも、焼豚の神です!

本日ラストの投稿です。

最後まで、是非お付き合いください✨✨

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スモーク渓谷は、その名の通り、一年中うっすらと燻煙が漂う、煙と岩の迷路のような場所だった。岩肌にはスモークオイルが染み出し、道なき道には燻製植物が生い茂り、うっかりすると鼻孔がスパイスまみれになる。


「ハックショイ!だれだよ……“煙の精霊に祝福されし癒しの地”とか言ったやつ……」

モッツァルドがくしゃみ三連発で叫ぶ。


「地元の宣伝だろうな。なお、私は既に4回目のくしゃみだ。君よりも上だ」

レーヴ(※スパイする王国で仲間に誘ったんだよ👍)は聖騎士らしからぬ鼻声でスンと鼻をすする。




「油断すると鼻毛まで燻されるよ。髪も乾燥しやすくなるし……やだなあ」

セイラはコック帽を深くかぶり、スモーク防御モードに突入していた。


「ふふ、みんな可燃性高めだね」

チャーくんは煙のなか、涼しい顔。焼豚の身であるがゆえに、スモークにはむしろ馴染みがよかった。


しばらく進むと、道の真ん中に「焼止まり注意」と書かれた木札が転がっていた。

その先には、地面が炭化している黒いゾーンが広がっている。


「……いやな予感しかしない」

レーヴが剣に手をかけたそのとき――


「誰だ、オレの煙に文句つけるのはァ……」


岩陰から、巨大な鉄網を背負った男が現れた。肩から腰まで、燻製用のソーセージが鈴なりにぶら下がっている。目の奥には常に肉の火入れ具合を見極めてきた者特有の“遠火の眼差し”があった。


「お、おまえは……まさか、“グリルマスター”……!?」

モッツァルドが鼻をズビッと鳴らす。




「そう。かつて焼成庁で“熱源補佐官”を務めた伝説の焼き師……その名は、バルニク・スモーキー!」

セイラが目を見開く。


「おう、お前ら旅人か? この渓谷通るってのはつまり、オレの火入れ審査を受けるってことだぞ」


「火入れ審査……?どういうことですか?」チャーくんが問う。


バルニクは低く笑った。「この渓谷を抜けるには、焼かれる覚悟がいる。表面だけ炙られてヘラヘラしてるヤツは、ここで炭になるのさ」


唐突に、バルニクが鉄網を振るう。風が巻き起こり、岩陰からスモークゴーレムが現れた。サラミの皮で装甲された怪物だ。


「ちょ、調味料の霊魂か何かですか!?」

モッツァルドが慌ててフライパンで身を守る。


「落ち着いて。あいつの体温、均一じゃない……これはたぶん、焼き加減チェックだ!」

セイラが瞬時に敵の弱点を見抜く。


チャーくんはゴーレムの動きを見極め、心の中で脂の揺れを感じ取る。


「この……脂の“偏り”は……! そうか、内面に未処理の香辛料が詰まってる!」


「言い方!」と全員から総ツッコミ。


チャーくんは焼豚占いの力を使い、ゴーレムの芯にある“燻製の未練”を炙り出す。


「お前……ほんとは甘口になりたかったんだな……!」


ゴーレムが一瞬動きを止め、ジュワッと涙のように脂をこぼすと、ふっと煙となって消えた。


「見事だったな、焼豚の坊や……」

バルニクがゆっくりとチャーくんに歩み寄る。


「お前、脂を見る力……“グリルアイ”を持っていやがるな」


「グリルアイ?」とセイラが訊ねると、バルニクは静かに語る。


「焼豚占いの本質は、“火入れの奥にある、脂の記憶を見る”こと。火が入れば、嘘はつけねえんだ。肉は、己を誤魔化せねえ」


チャーくんは黙って頷いた。


「お前が進む道は、まだ半焼きだ。しかしその脂は、きっと多くの魂を包みこむだろうよ。……焼豚よ、焦げるな。焦がせ」


日が落ち、スモーク渓谷を抜ける頃。


「なあチャーくん、あのバルニクってさ……引退したって言ってたけど、結局何者だったの?」

モッツァルドがぼそりと訊いた。


チャーくんは一言だけ返した。


「ん~~分からん。いづれ分かるでしょう。」


「知らないのかよッ!!」


渓谷に、煙のような笑い声がこだました。



                                つづく

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最後まで読了、ありがとうございます。

よろしければ、良いね&フォロー&コメントを頂けると今後のストーリーを

執筆する筆のノリが脂マシマシでさらに早くなります。

是非是非、よろしくお願いいたします~✨✨



次話:第12話「燻(いぶ)された町のコロッケ騒動」


あらすじ:

スモーク渓谷での修行を終えたチャーくん一行は、王都グリルガルドへと続く道の途中、“漬け込みと下味処理の町”――マリネールに立ち寄る。


そこは各種族が交差する交易都市。

様々な「焼かれる前の物語」を背負った者たちが暮らしていた。


チャーくんはこの地で、“焼かれる者の心の準備”を知ることとなる。



お楽しみに!


明日、月曜日からはいつもと同じ朝7時05分の投稿に戻るから気をつけるん

じゃよ✨✨


次回も脂ノリノリで配信します🐽

また、公式Instagramを脂マシマシで配信中!


ストーリーではまだ出てきていない、これから出てくる焼豚(ジュージュー)キャラクターたち脂ノリノリで動き回っています👍


良かったら、公式Instagramにも遊びに来ておいでませ~~~!

https://www.instagram.com/chaasyuu_uranai/?locale=ja_JP


では、また脂力が満ちる頃に、お会いしましょう。バイナラ👋




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