第18話 雷神、風神
逆鱗に触れた。
プラスは奥の手である
雷の走る鋭い眼光で、敵を睨みつける。
「なんだソイツは」
バチッ
「お前、プラスか?」
無言で歩く。
足が地面をつくたびに雷が流れる。
「おい、なにか言いやがれ!」
その冷たい目がゴーを苛立たせた。
突然、プラスが消え、ゴーの背後に回った。
雷が残像のように地面を這いあがる。
「なにっ⁉」
全く見えなかった。
だが、背後からバチッと音がした。
ゴーは振り返ることなく後ろに腕を振るう。
プラスは再び消え、青い光だけがその場に残る。
今度はゴーの目の前に現れた。
「ぶはッ⁉︎」
一撃。
衝撃が雷となって広がる。
さらにとんでもない速度で拳を連打。
ぶつけるたびに辺りに雷が飛散する。
「クソッ!」
いま、自分が何発もらったかわからない。
たまらず腕を振り払い反撃するが、すでにそこにはいない。
横から現れたプラスの蹴り。
ゴーは吹っ飛び、壁に突撃する。
「チッ、どうなってやがる!」
すぐ立ち上がったゴー。
自分がまるで相手になっていない。
こんなことが許されるのか。
現実を疑いつつも前を向く。
が、驚きの光景を目の当たりにした。
「なんだ、コイツは……⁉」
誰もいない。
だが、周りには光が激しく飛び交っている。
バチッ、バチッ、とうるさい音だけが鳴り響く。
これはプラスが
それを理解するまでに、ゴーは少し時間がかかる。
「そこか!」
目の端で一瞬だけ捉えた。
プラスに向かい、
ゴーの拳が直撃。
オーブを込めた渾身の一撃だ。
しかし、プラスの瞬時に出した
「なっ⁉ 俺の
そのままプラスが追撃し、地面に叩きつけられた。
さらに追い打ちをかけるように
降りかかる雷でゴーの身体が埋もれ、まるで磔にされたように浴び続けた。
「クソがあ!」
なんとか這い上がって抜け出すも、これ以上は身体が痺れて動けない。
もがいてるうちに、プラスがまた一瞬で目の前に現れた。
「なんだその目は⁉」
感情がなく冷たい瞳。
「ちくしょう!」
格下相手にここまで無様な姿を見せてしまった。
怒りにうち震えたゴーは一度距離を取る。
そして、
「おう! 良いもんがあんじゃねえか!」
近くに椅子がある。
さっそくぶん投げた。
「オラッ! どうだ!」
飛んでくる椅子の数々たち。
プラスは余すことなく全て叩き割る。
どんなにビュンビュン飛んで来ようとも、怯む様子は全くない。
椅子の破片で、プラスの視界が一瞬消えてしまった。
当然、ゴーはそのスキを見逃さない。
「ハッ! 食らいやがれ!」
しかし、あとから動いたプラスの方がずっと速い。
一撃与えたかと思うと、無言のまま
そのまま壁に叩きつけた。
「ハア……ハア……がはっ」
先ほどよりもはるかに威力が高い。
ゴーは何とか立ち上がる。
だがそれ以上は動けない。
確認したプラスは、両手をかかげて巨大なオーブを作る。
「──
標的に向かい、超巨大な青い光を叩きつけた。
「なんだと……」
それをよける力は、ゴーには残っていない。
「うおおおおおお!!!」
断末魔。
ゴーどころか一階がプラズマに呑まれ、教会の外にも雷が流れていく。
あるモノ全てが吹き飛んでいく。
プラスは見ていた。
──しばらくしてプラズマは消えた。
周りにはバチッと電光が残る。
その場に立つ者は、プラス以外いない。
辺りを見回す。
敵の死体が見つからない限りはまだ油断できない。
やがて、瓦礫がガラガラと崩れて落ち、ゴツい腕だけがガバッと。
「クソッ、クソがッ!」
ゴーだ。
身体が真っ黒に焦げたゴーが姿を見せる。
プラスはゆっくり近づき、その無様となった姿を見下ろした。
「ハア……ハア……」
あれだけ浴びせられてもまだ意識がある。
だが、ここまでやられては流石のゴーと言えどもう無理だろう。
プラスはトドメをさそうとオーブを構えるが、
「ガハッ! ガハハハハッ!」
突然、ゴーが大声で笑い出した。
気でも狂ったように笑い続ける。
「クソッ! すげえなおい!」
「呆れたわ。まだそんなこと言えるのね」
「なんだこれ! あり得ねえ! こんなのあり得ねえだろうが!」
「そう。もう十分よ、消えなさい」
プラスが冷たく言い放つも、ゴーは不敵な笑みを浮かべた。
「やっぱりスターバードは最高だッ! うおおおおおお!」
突然、唸り声をあげ、地面が揺れた。
「うおおおおおお!!!」
全身からオーブをひねり出し、その光で自身を包み込む。
プラスは距離を取る。
考えたくはない。
まさか相手も奥の手を残していたのか。
だとしたらどれほど強くなるのか。
今の自分を遥かに凌駕するほどの力なのか。
光が大きくなるに連れて、不安も大きくなっていく。
やがておさまった。
さっきはフラフラだった。
だが今はしっかりと地面に立つ。
腕を組み、技の名を高らかに宣言する。
「──
身体の周りを、その荒々しいオーブが包み込む。
先ほどの
腕を組んだままの、分かりにくい戦闘態勢に入る。
「コイツの燃費は最悪だ。始めるぞ」
いきなりゴーが突進。
先ほどまでとさして変わらない。
今の彼女にとっては大した速度ではない。
冷静にかわしつつ、オーブを連続で放ち反撃する。
「効かん!」
ゴーはそれを無視。
再び突進した。
プラスの放つオーブが、ゴーの身体の前でかき消える。
何発も撃とうとも、やはり身体の前で消滅し、届くことはない。
「無駄だ、スターバード!」
飛んでくるオーブに気にも留めず、突撃。
プラスは再び
しかし、今のゴーには動きがハッキリと見えている。
その軌道を容易く捉えていた。
「オラァ!」
ギリギリでゴーの攻撃をかわすも、その風圧で体勢を崩しそうになる。
見ての通り
それなら真正面から撃ち合うまで。
そうと決め、プラスは両手にオーブを纏わせた。
「いいだろう、来い!」
その雰囲気が伝わったのか。
望むところだ。
ゴーも首を鳴らして次の戦闘に備える。
互いに
激しい攻防に教会が建物ごと揺れる。
拳にオーブを乗せ、全力で殴り合う。
「がはっ⁉」
ゴーの攻撃は全く当たらない。
反対に、プラスの攻撃は何度も直撃する。
スピードが違う。
ゴーの身体は徐々に痛みが蓄積されていく。
にもかかわらず、ダメージなどお構いなしに反撃する。
プラスは違和感を覚えた。
自分が優勢なはずなのにまるで攻めている気がしない。
たしかに効いているはずだ。
なのになぜ、空気が苦しくなっていくのだと。
やがて、その気迫に押し込まれていく。
遂にゴーの拳がプラスをとらえた。
「やっと当たったな。ゴボッ」
ゴーは血を吐き捨てた。
この一撃のために相当無理をしていたようだ。
「くっ……」
プラスは立ち上がることができない。
今の一撃がかなり身体に応えていた。
力はほぼ互角。
だが、スピードはプラス、防御力はゴーが上だ。
その反面プラスは撃たれ弱く、ゴーは速さが足りないと、お互い両極端だった。
プラスは立ち上がる。
「おもしれえ!」
ゴーも構えた。
──2人はひたすら打ち合っていた。
プラスは慣れない力の使いすぎで、身体が限界だった。
ゴーの方も攻撃を受けすぎてガタがきていた。
激しい肉弾戦。
その終わりの時は訪れた。
互いの攻撃が同時に当たり、後方に吹き飛ぶ。
両者はそのまま動かなくなる。
「ク、クソが……っ」
仰向けのゴー。
ここまでやるとは思わなかった。
ちょっと遊んでやるつもりが、気づいたら本気を出していた。
正真正銘、本気でやってこの様だ。
こんなにボロ屑にされたのは、兄、ナッシュと戦った時以来だ。
「ハア、ハア……」
先に起き上がったのはプラス。
フラフラになりながらも両手をかかげた。
ゴーも立ち上がり、渾身の力を出すために腕を組んで構える。
その時ふと、目の前に懐かしい面影が見えた。
ある人物がプラスに重なったのだ。
紛れもなくアイツの兄妹だと確信し、薄く笑みが漏れた。
そして、
「──
「──
二人の、最後の一撃が衝突しようとした。
しかし、
「──2人とも! もうやめなさい!」
女の声が響く。
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