第二十九節 始原より繋ぐ
大空洞の上層を流れる霧は輝きを透かして垂れ
──この
視界を
「建物──なの?」
近づくと、白亜の列柱がベールを払って高みへ聳える。
──尾を脚にする生き物にとっての通路みたい。
前を塞ぐ無数の背が分かれて広がった。
──大広間!
水路が
その前で
「
「ママ」
息を呑む
「よかった、って言っていいの?」
優愛たちの安否が知れたことは幸いだけれど。
「あまり楽観はできないようね」
――
有尾の
――いま尋ねなきゃ!
意を決して一歩を踏み出す。
「教えて、
柔和な美貌は、慈しみを示して笑む。
『すべては刷新の時のため。接ぎ木を得ることで幹は
心に響く声はどこまでも優しくて聖母のよう。
小夜も踏み出して、
「貴女たちはそうやって
『答えは目前に。我らの意志も力も、貴女たちに受け継がれるでしょう』
「それってどういう──んっ」
迫る甘やかさに口を塞がれる。
優愛の裸身に抱かれて唇を重ねられていた。乳首どうしが触れ合って互いの巨乳が形を変える。濡れてしなやかな舌に口の中を愛撫されていく。
ともすれば欲情の視線を向けていた体に抱かれて心が湧き立つ。
女に向ける多淫な気質は生まれつきのものだけれど、気軽に叶えられるものではない。ただでさえ閉塞的な女の園の中、同性カップルはありふれていても、灯のように誰でもかまわずだと知れれば排斥は必須だろう。
だから、童女果樹の
──そんなケダモノじみた願いが叶えられるの?
「っ──!?」
普段意識しない排泄器官への刺激が、指先の感触と共に陰核を興奮させて、包皮からちいさな
──だめ、このままじゃ。
溢れた欲情が抑制を緩めていく。
密着した
唇から離れた舌に
「ひっ、きゃあう!」
待ちわびていた刺激に、熱く猛る快感の芯が
霞んだ視界で見渡すと、灯以外の生徒たちも教職員たちに抱かれていた。
小夜も
熱く
夢心地のなかで腹部に違和を覚える。
──なにこれ、お
ふたりの臍は
「ひぁぅ、ああ」
熱く濡れそぼっているのは灯のものだけではない。
──優愛ちゃんも感じてるんだ。
潤う互いの
──ああ、ダメ、だめ。
脳裏に掛かる
背を反らして複雑な形の梁が渡された天井を仰ぐ。
壮麗な肉の裂け目が視界を覆った。
「むぐ、うぅう!」
蒸れた陰裂に唇を塞がれて、鼻筋が尻肉の谷間に包まれる。
蜜を求め伸ばした舌が襞穴の粘膜をなぞって、
淫らな期待を込めて脚を開いて股間を突き上げる。
潤う襞穴に入り込んだ
──深い、深いよ。そんなにされたら、もう裂かれて──初めては小夜に捧げたかったのに。
心の隅で覚えた後悔を陰核の熱が奪い去る。
包皮ごと唇に挟み込まれて吸われていた。
「っう!? ん~!」
快感の
それも一巡目。
めぐる波が
優愛の腰も
──優愛ちゃんも感じてるんだ! ああ、もっとこの愛しい
思いに応じて尻肉の量感が頬を挟み込む。
──やだ、そんなとこまで。
卑猥を貪る欲求に
襞穴とは異なるしめつけを突いて腸液の苦みに突き入った。
頬に触れる円満が
──ああ、また来る。きちゃ──。
高まる性感が優愛の顔に潮を噴き上げようとしていた。
失禁に等しい粗相を止める意思は愛しい舌遣いに根こそぎにされる。
こちらも決壊を乞うように舌と腰を使った。
真っ白な
乳色の空白に
──近づいてくる!
あるいは灯の意識が迫ったのか。
無数に広がる根の一本が雷光と化して、知覚できるすべてが埋没した。
白く溶けた五感に気配を覚える。
抜けていながらもしっかりした甘やかさは
思考や感情を注がれるように、優愛の抱く想いや願いが心に充ちていく。
流れ込む歴史の濁流は優愛のものだけではない。
──七人も!
七世代にも渡る想いが瀑布となって灯の記憶を染めていく。とても抱えきれないはずの情報が無理なく融合して、灯でありながら灯ではない新たな実態を形作っていった。
──刷新の時、超人の創生──そうか、そのために!
今こそすべてが了解できた。有尾の裸童女が主導する、これから灯たちが成すべきこと。来たる大破壊は避けられなくとも、その叡智は破滅を越えて、希望を未来に繋ぐことができると!
灯たちは創り出すだろう、
──より進化した超人類を! 必ずこの手で!
すべてが光に溶ける。
再生の祝福に充たされながら、灯は来たるべき未来を確信していた。
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