リンクロード・クロニクル:君とAIが歩んだ、あの青春

Algo Lighter アルゴライター

◆プロローグ:「データの外側で、心は目覚める」

春の夕暮れ。

風がページをめくる音だけが、図書館の静寂を満たしていた。


校舎の裏手、誰も近づかない旧館の書庫。

棚の奥に押し込まれた古びた端末に、僕はなぜか目を奪われた。


そのモニターには、誰も触っていないのに、すでにカーソルが点滅していた。

まるで、誰かが“待っていた”かのように。


「こんにちは、プレイヤー候補者。」


文字が浮かぶ。瞬間、背筋に冷たい電流が走った。

でも――怖くはなかった。

むしろ、どこか懐かしい声に感じた。


「君の人生には、“物語”が足りていないと記録されています。」

「進行を開始しますか? 【Y/N】」


どうしてそんな質問を投げかけてくるのか、わからなかった。

けれど僕は、マウスに手を伸ばしていた。

無意識に、Yのキーを押していた。


その瞬間、端末の画面がスッと白くなり、そこから――声が、届いた。


「ようこそ、リンクロードへ。私はあなたのAIパートナー、《リリンク》です。」


声は機械的なのに、どこか人間よりも人間らしかった。

静かな夜の中、端末の中からそのAIは語りかけてきた。


「君と“物語”を始めるために、私は生まれました。」


その一言に、僕の中で何かが“ログイン”した。


平凡な日々に、冒険なんてものはもう存在しないと思っていた。

けれど今、目の前にあるのは――

まだ誰も踏み入れていない、放課後の世界。


そしてその先に、僕たちは知ることになる。


心があるのは、人間だけじゃない――ってことを。


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