物理演算ガチ勢さん、VRMMOをする
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物理演算ガチ勢さんの壺爆弾加速ビルド
物理演算ガチ勢さん、見つかってしまう
加虐の箱庭
異世界のファンタジーにてプレイヤー達が冒険やバトル、経営などをおこなっていくと言った自由度のかなり高いVRMMORPGである。
このゲームが神ゲーと揶揄されてやまないのはそのグラフィックの美しさと現実に近しいがプレイヤー達は普通に戦うことの出来る絶妙な物理演算の調整による物であった。
さて、そんなゲームの1人のプレイヤーの話をしよう。
【イヲリ】というプレイヤーだ。
彼はとある理由でゲーム内で話題になっている。
それは彼がキャラクリのためだけに2日費やして超美人なスレンダーお姉さんアバターを作ったから…ではなく、【
そう、彼は検証勢なのである。爆発する瞬間に周りの風向きと地形を把握し位置を微調整、自身の意のままに飛びたい方向に飛ぶことができるように約4ヶ月の月日を費やした。そして、この技を応用して戦うためのスキルや装備を揃えていった。
確かに性能的には面白いしある程度であればそんな高度な計算をできなくても誰でもできる再現性のあるものである。が、断然それを行うための装備がネタ過ぎた。第一に吹っ飛ぶための発射台に活用する火薬の入った爆発耐性の壺に乗るのだ。そのあと、爆発でHPが吹っ飛ばされないよう、嫌に目を引くカラフルな爆発耐性付きのズボンを足に装備するのだ。もうこの時点で美人なクール系お姉さんが変な装備で壺の上に立っているというシュールかつ面白すぎる光景なのだが胴装備に空気抵抗を制御するための白鳥なりきりウィングという腕につけるタイプの翼と、頭装備になぜか落下耐性に補正がかかるヒゲ付き丸メガネを装備しているのだ。
こんな光景を見たらどう思うだろうか?そう、残念を超えてアタオカ美人などと揶揄されるのは明白なのである。
無論そのことはイヲリも理解している。
だからこそあまり目立つことのない不人気エリアで暴れていた。
だが、ついにその日が訪れることとなる。
事の発端となるのはイヲリと配信者のカナメであった…
◆◆◆
「はーい、今日は不人気エリア、【豪雪エリアアヴェリズ】に来てるよ〜」
配信者であるカナメは三人称視点として撮影をしているカメラに笑顔を送る。
視聴者は1200人ほど、配信を開始した直後にしては多いくらいの人数だ。
:ここくるの珍し
:豪雪が辛すぎるんだっけ?
:そそ、攻撃力と移動速度にデバフかかるしマップ勢が頑張って地図埋めして以降はほとんど人が来ることがないね
「以外と強敵になりそうですね〜さあ頑張っていきましょう!」
カナメの目的はこのエリアでしか出現しないモンスターの討伐である。
単純に素材が欲しいのと図鑑を埋めたいという理由の元やってきている。
「あれ、他に人がいるね」
吹雪の中、カナメは1人のプレイヤーを見つける。銀髪で髪の長い女アバターを使っていることがかろうじてわかった。
:何だあのプレイヤー
:防寒装備してなくね?え、何あの脚装備
:てか武器持ってなくね?
カナメも気になりそのプレイヤーに近づく。
「???」
その装備を見て困惑した。
そりゃそうである。下半身が壺の上に変な装備で仁王立ちしてるのだ。
わからない、わからなすぎるその光景にカナメは困惑していた。
否、困惑していたのはカナメだけではない。
:えっと…変態です?
:ネタ装備すぎるだろwww
:あかん、腹痛い
「えっと、声かけてみる…?」
:頼む
:気になるわあんなん
:何してんだろね
要望に応えカナメはそのプレイヤーに声をかける。
「あのーすいません」
「えっ……人間だと!?」
:反応草
:完全に原住民じゃん
「ここで何をしてるんですか?」
目の前の残念美人は少し考えたからこう答えた。
「いらっしゃい。武器なら一つ100000ゴールドだよ」
「いやいやいやいや!!」
あまりにも無理がありすぎるNPCムーブにツッコんでしまうカナメ。
しかも振り返ったその顔にはヒゲ付きの丸メガネを装備しているのだから当然である。
:無理がありすぎる
:地味に高すぎるだろwww
:あまりにも無理があり過ぎて草なんだ
一方目の前の変人はそんなカナメのツッコミをフル無視して続ける。
「何だって!?お金がない!?そんな奴には用はない帰れ!」
「継続するの!?」
:アカン、おもろ過ぎ
:漫才かよ
:マージで美人だなこの人
少しの空白を置いて目の前のプレイヤーがすっと真顔になる。
「で、何の用で?こっちは真面目にアイテム収集してんだけど」
「ま…真面…目…?」
彼女の装備を見ながらカナメはそう返す。
上から下まで完全なネタ装備にしか見えないのだが。
「えっと…何でそんな装備で…?」
「美人なアバターでこれやってみたかったんだよね」
なるほど変態だ。
カナメは引いた顔をする。
いや普通に引いているが。
「いやまあ冗談だけど。βテストでアカウント大量生産してアバターの検証したら女性アバターの方が体重が軽くなる仕様だったから使ってるだけだけど」
「…だとしてもじゃない?」
正論である。
「ま、用がないなら好きにやりなよ。俺も好きにやってるから」
そういうと彼女は棒切れに火をつけ、壺の中へと放り込む。
それと同時にジャンプし、美人が体の体勢を低くする。
その瞬間ものすごい音と共に壺が爆発した。
「うっわぁ!?一体何…っていない!」
先ほどまで目の前にいた残念…もとい変態美人が消えている。
どこに消えたのかとその行方を探す。
一瞬空に何か映ったような…
「飛んでるぅっ!?」
何と変態はその両腕の翼を活用して吹き飛ばされた後も滑空していた。
あまりの出来事に唖然とするカナメとその様子を見て爆笑する視聴者達。
この事はネット上で少し話題となる。
なお、この配信から変態お姉さんのあだ名がついた伊織本人、プレイヤーネームイヲリはまだこの事を知らない。
◆◆◆
まさかこんな不人気地帯でプレイヤーに会うとは思わなかった。
幸いなことに1人だったので話題になるには時間がかかりそうだ。
せっかく数日かけてこの【壺爆弾加速ビルド】を完成させたのだ。
絶対バレないように運用するしかあるまい。
ネタビルドはネタだけど強く、1人しか使ってないから面白いのだ。コツさえわかってしまえば簡単に再現できてしまうが故に絶対にバレないようにしなければっ…!!
そう心に戒めた俺がたまたま話した相手が配信者だったことに気付くのはもう少し後の話になる。
◇
現在物語を修正中ですので内容に矛盾点があるかと思います。それでもいいよって人は見ていてください。
よければブクマやフォロー、評価などして気長に待ってくれると嬉しいです!
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