第四章:~狙われた赤ずきん~


孫娘は赤いずきんのついたコートを身に着けると、

村中を嬉しそうに駆け回りました。


村人たちも微笑ましく見守り、やがて彼女は希望通り

「赤ずきん」として親しまれるようになって行きました。



そんなある日、赤ずきんの母が言いました。


「キャロルおばあちゃん、少し具合が悪いようなの。

 キャロルおばあちゃんのところへ、お見舞いに行ってくれるかしら?

 きっとあなたの顔を見れば元気になるわ。

 このパンとワインを持って行ってね。」


「わかったわ!行ってくるわね!」


赤ずきんは赤いずきんを被り、軽やかな足取りでキャロルの家へ向かいました。




しかし、その無邪気な姿を、森の陰から鋭い目が見つめていました。


それは、かつてキャロルに母を殺されたオオカミの子孫たち。


その中でもひときわ鋭い視線を投げかけていたのは、

復讐に燃えるオオカミ、ルガルでした。


「今こそ、先祖の仇を討つ時だ。」


仲間たちは静かに頷き、ルガルに託しました。





赤ずきんは、軽やかな足取りでキャロルの家へ向かいました。


陽の光が木々の間から差し込み、鳥たちがさえずる穏やかな午後。


ですが、彼女の無邪気な笑顔を狙う影が、すぐそばに潜んでいました。


「こんにちは、可愛い赤いずきんのお嬢さん。どこへ行くのかな?」


突如、赤ずきんの前に灰色の大きなオオカミが姿を現しました。

そのオオカミはルガルでした。


「こんにちは、オオカミさん!私はおばあちゃんのお家へ行くの。

 おばあちゃん、具合があまり良くないようなの」


警戒心のない赤ずきんに、ルガルはにっこりと笑いかけました。


「そうなのか。おばあさんもお嬢さんが来たらきっと元気になるね。

 お見舞いで持っていくのは・・・その籠の中のパンとワインかい?」


「そうよ?ダメかしら?」


「おばあさんはお花も好きなんじゃないかな?

 お花もあったら、おばあさんはきっと直ぐに元気になるよ」


「お花!そうね。お花もあったら、おばあちゃん、きっと直ぐに元気になるわね」


「そうさ。あの茂みの奥に、綺麗な花が沢山咲いているよ。

 お花も摘んで、持って行ってあげるのはどうかな?」


「それは素敵ね!オオカミさん、ありがとう!行ってみるわ」







赤ずきんが茂みの奥に入っていくのを見届け、

ルガルは急ぎキャロルの家へと走りました。


「キャロルは具合が悪くて臥せっている・・・

 ついに、長年の復讐を果たす時が来たのだ!」


ルガルの心は憎しみに満ち、先祖たちの無念を晴らすための決意に燃えていました。


その鋭い牙は、まるで過去の怨念そのもののように光っていました。




続く~第五章へ~




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