第4話:森にお出掛け

翌日。

「じゃあ俺はマーケットの方に行く、マリーは任せる」

「私が面倒を見ますか!?」

出かける準備を整えた私たちは、家の外で予定を合わせる。今まで以上にマリーを発達するためには新な素材で試さないといけない。

なので、今日の主な目的はそのの発達に繋がりそうな素材を集めてみる事だ。ゲールは街のマーケットに、そして私は野外採取に経験があるから、森に向かう。

しかし…

「確かにマリーは常ね誰かといた方がいいと思いますが、そこは私よりゲールの責任なんじゃ…」

「悪いがあいつはマーケットに連れて行けないな、人が多すぎる。どうみても問題になる」

げぇ…確かに…

「ミラと行く?」

体を動かせるようになったマリーは私たちを見て、静かに聞いていた。コートを着た姿は可愛いが、人形の目に長く見つめられると少し怖い。。

「ミラじゃないですよ、カミラです」

「わかった、ラミと一緒に行く」

技とでやってますね?

「マリーには感情はまだ恐らくないが、ユーモアならもって余しているぞ?」

ゲールは私を見下ろすように笑って、そうと説明する。

「ともかく今のあいつにはマーケットはまだ早すぎる」

「…分かりました、じゃあ夕方ころには戻ります」

「ああ…」

「ほら行きますよ、マリーちゃん」

私はマリーの手を掴んで、ゲールと反対側の道に沿って、街の外へと向かう。マリーは無表情で何も言わず、ただ周りをみながら私のペースに合わせて歩く。馬と連れ違う時はガンとみるのはちょっと可愛い。

「感情はない…でしたね?」

それは生きていると、本当に言えるのでしょうか?生きている、生きていない。生というコンセプトは本当にそんな簡単に白黒と区切できるのだろうか?

「カミ、臭い」

「あんたの身体には嗅覚なんてないでしょう!」

この子の中は本当にどうなっている。ナンセンスだ。



「おぅ、な~にも見えませんね」

街のすぐ隣にある森に着いた私たちは深い霧に出向かわれた。

この地方の森は常に霧に包まれていると聞いていたけど、前に二・三メートルしか区別付かない。

でもマーケットに普段ストックされていない珍しい物はここで探すしかない。

「えーと」

私は魔医学学院で使ってた魔植物の教科書を取り出し、マーキングした素材のページまで捲る。

「よーし、マリーちゃん?少し手伝ってくれませんか?」

「いや」

即答に断られた。私は両目を閉じて、膨らみ上げた苛立ちを抑える。私は本当に、怒りやすい。

「マリーちゃん、私の手伝いはそんなにいやですか?君の為ですけど?」

「ヘララの手伝いはいつも難しいからいや」

誰、ヘララ。

「マリーちゃんに何かを頼むのは今回が初めてですけど…?」

「そう?」

いやさっきの自信はどこにいった。ゲールの言っていた事が分かった気がする。人間らしい外見の上に人間みたいに言葉を理解しているっぽいけど…言っている事はなんだか微妙?そもそも言葉を理解している?と疑いたくなる。

「じゃあチャレンジはどうですか?マリーは私のチャレンジを達成する事ができたら、何かご褒美を上げます」

「ご褒美?なに?馬はくれる?」

「う、馬?」

なんで急に馬...? 街道でみたから気になったのか?

「それは流石に…まあいいや、考えておきます」

「本当?」

マリーの声の音色は余り変わらないけど、これは喜んでいるのかな?馬なんて当然あげる気はないけど。時間が経ったらきっと忘れるのでしょう。

「ならマリーちゃんへのチャレンジはこの花を探す事です!見えます?」

私は彼女に教科書を向けて、ある青い花が描かれているページを示す。ゲールによるとマリーの視界は人間とそんなに変わらないからこれで大丈夫ね。

「わかった。見つけて、馬を貰う」

「まずは私にも見せないと貰わないけどね?…」

なんだかちょっと心配になってきた…



マリーちゃんに遠くまで行かないようにと注意して、私は残りの目当て素材を調べる。

例えばストーカーの茸。この茸は常に人間の声みたいな音を発している、囁ていると言われている。

「pshiwishwishwish」

みての通り、茸の囁きは解読できる言葉まではなっていないけど、近くにいるだけで少し精神状態が不安定になるのは確かだ。しかしポーションの素材としては結構有利な茸なので採取する。

「わかった、そうする」

「…?マリーちゃん?」

マリーちゃんは他のストーカー茸のストーク前に座って、茸と喋ろうとしている。タ

「pshshwishshwishipsh」

「ありがとう、気を付ける」

ん…?んん????

会話が成立している…の?…いや、流石にそれはないか…

「続いては泡の実ですね」

泡の実は果肉が少なく、寧ろ大気より軽い空気でむちむちと満ちている。その軽さのせいでこの実は常に重力に抗って、空へと向いている。まさに小さい風船みたいなものだ。

教科書によると泡の実が十分に熟したら、果実は枝から離れ、空へと浮いていく。そしてその中身の空気が尽きた際には…

パっ!

「うぉ近いっ!?」

空から爆弾みたいに落下して、種をあらゆる方向にまき散らす…さっきは上を見ていなかったら、実を頭に直接食らっていた、私。

「おや?」

泡の実の着弾に引かれた、二つの青色のリスが木々の影から姿を現した。

「なるほどです」

泡の実はこの森のネイティブである青い毛リスの好みでもあるっと教科書さんが付け足している。かわいいね。

「あれは?」

リスたちを目撃したマリーちゃんは気を引かれた。さりげなく近づいてみる…が

「あ、逃げる?」

リスたち彼らを捕まえようとしていたマリーちゃんからパタパタと逃避する。

マリーもしばらくこのリスたちに気を取られるね。頼んだ花は…?もう忘れたのね…

最初から余り期待はしていなかったからいいけど…

ゲールの言う通り、彼女の短期間の記憶力はまるで魚みたい。

「いやでも、街にみた馬の事は覚えていたじゃないですか?」

ふむ…内情はよく分からないね…

「じゃあ次は…おぉぉ!親子の花ですね!」

個人的にはこの花は好きだ。めっちゃくちゃ面白い。

なぜなら、この花は『親』と『子』というコンセプトを認識している。植物が動物みたいな行動をしている。

親花は近いところで自分の種を散らして、育った『子』を守る。飽食者に毒粉を撒かしたり、口笛みたいな音で驚かせたり、色々守護する手段をみに付いている。

これだから収穫には少し困るのだけど…親の花は無限に子花が作れるから、子の花だけを取るのが慣習となっているらしい。

私は教科書の説明に従って、親の花に警戒しながら、少し離れている子の花の一個を掴む。

「子の花は毒を出さないですね?毒の器官があるのに、おかしいですね…」

植物も動物も関わらず、子供というのは常にバカらしい。

「考えてみれば、マリーちゃんって子供…と認識すべきですか…」

そもそも子供くらいの知能があるかどうかは分かりないが…人間の平均の子供より優れているところはあるし、逆に子供より明らかには出来ていないところもある。記憶力、感情、夢、願望。それぞれ人間の根本となっている素質は今のマリーちゃんにはないだろう。

「まぁぁ…人工生命はそうなりますもんね…?って、マリーちゃん?」

どこにも見当たらないね…

目を凝らしても森の霧はまた濃くなった。遠くまでは見えない。

「マリーちゃん??」

返答はない。でもなんで?さっきまでは私のすぐ隣にいたはずなのに…

まさか、私が親子花に気を取られていた間はどこかへっ

「ルラ、見つけた」

後ろから、棒読みに近い声が私を違う名前で呼ぶ。

「マリーちゃん!?一体どこにいってたんですっ」

か…?

「マリーちゃん、手に持ってるのはなんですか?」

「へたの青い花。褒めてくれる?」

マリーの堅い人形の顔はどこか満足そうに見える。

「うん…それはできませんね…」

「なんで?人が頼まれたものを完成した際には、褒め言葉くらいは普通だ」

なんだか急に言葉がスラスラとなっている。褒められると思って興奮している?

「マリーちゃん…あれは花じゃなくてリスですよ」

ワシ掴みで死んだ青い毛のリスは、マリーの手の中で動かなくなっている。マリーの両手や服は血に染まり、新鮮な紅色でつやつやする。

少し…反吐が出る。

フラフラとなった私はただマリーを首根っこから掴んで、街の方へと目指す。

これは子供とは違うかもしれない。

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