第9話


朝の光が王宮の大広間を優しく照らしていた。

結婚式当日。エレノアは鏡の前で、純白のドレスに身を包みながら、心が高鳴っているのを感じていた。


「緊張してる?」

そっと隣に現れたレオンハルトの声に、振り返りながら微笑む。


「少し。でも、殿下がそばにいてくれるから安心してる」


彼の冷たいと噂される瞳が、優しく彼女を見つめ返す。

「俺もだ。お前と誓いを交わすこの瞬間を、ずっと待っていた」


重厚な扉が開き、華やかな客席に見守られながら、エレノアはゆっくりと祭壇へと歩みを進める。


歩くたびに感じる視線、緊張が胸を締めつけるが、彼の手がそっと自分の背中を押し、優しい鼓舞となった。


祭壇で向かい合った瞬間、レオンハルトが静かに言った。

「エレノア、俺のすべてをお前に誓う」


彼の言葉は力強く、揺るぎない決意の光を帯びていた。


エレノアもまた、心からの想いを込めて答える。

「私も、殿下を愛し、支えていきます」


二人の指が重なり合い、誓いの言葉が広間に響き渡る。


その瞬間、冷酷と呼ばれた王太子の仮面は消え、ただひとりの男性として、エレノアに真っ直ぐな愛を捧げていた。


結婚式は終わり、二人は新たな生活へと歩き出す。


それは、まだ知らない未来への扉。

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