第7話

王宮の時計が刻む音が、いつもより重く響くように感じられた。結婚式まで、あと五日。


エレノアは朝の庭園をゆっくり歩きながら、胸の高鳴りを押さえきれずにいた。


華やかなドレスや儀式の細かい準備、そしてこれから始まる新しい生活への期待と不安が混ざり合う。


「エレノア様、お急ぎください。礼儀作法の練習が始まります」


メイドの声に促されて足早に王宮へ戻る。


練習の合間、レオンハルトと廊下ですれ違った。


「疲れているか?」と彼が静かに声をかける。


「少し。でも、頑張っています」と微笑む彼女に、レオンハルトは優しく頷いた。


「無理はするな。俺がお前を守る」


彼の瞳は、冷酷な王太子のそれではなく、深い優しさで満ちていた。


それからの数日間、ふたりの距離は少しずつ縮まった。


図書室で教養を学びながら、夕暮れの庭園を一緒に歩き、時折冗談を交わす。


エレノアは心の中で、小さな勇気を育てていた。


「本当の自分を、いつか殿下に打ち明けたい」


しかし、異世界から来た秘密はまだ言えずにいた。


ある夜、レオンハルトはそっとエレノアの手を取り、


「結婚式が終わっても、ずっとお前と共に歩みたい」と告げる。


その言葉に、彼女の心は温かく満たされた。


「私も、殿下と」


静かな誓いを交わし、ふたりの物語はこれから新たな章へと進んでいくのだった。

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