第5話
私は暗闇の中にいた。
重たい瞼をゆっくり開くと、いつも以上に周りが見える。
さっきまでつゆりちゃんと話していた部屋で間違いない。
目の前に、大好きな推しのつゆりちゃんがいる。
「あ、ああああの、わ、私、いったい……」
ああ。つゆりちゃんの声、鈴を転がしたような声で美しい。
なんだが近くで聞こえる。
つゆりちゃんに手を伸ばすと、つゆりちゃんも手を伸ばす。
指の先に硬く冷たい感触。
「あ、あれ?…つゆりちゃん?」
それは大きな鏡だった。
訳も分からず、ペタペタと鏡を触る。
写っているのは、ただただ美しい、黒い服を着たつゆりちゃん。
「…私はこっちだよ。」
振り返るとそこには、
33年間見続けてきた”私”の姿があった。
『 こうして、私は推しと入れ替わる。 』
🌸🌸🌸🌸🌸
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます