第11話
リハーサルスタジオの空気はいつもより張り詰めていた。
メンバーの間に、ほんの少しだけ気まずい沈黙が漂う。
「奈々、もっと感情込めて。今のままだと伝わらないよ。」
真琴の厳しい一言に、奈々は胸がぎゅっと締めつけられた。
「ごめん、もう一度だけやらせて。」
奈々は深呼吸をして、振り付けに集中する。
そんな時、優衣が小声で話しかけてきた。
「奈々、無理しないで。みんな完璧じゃないから。」
奈々はその言葉に救われた。仲間の存在の大きさを改めて感じる。
リハーサルが終わると、圭吾からメッセージが届いた。
『今日、奈々の表情、すごく良かったよ。無理しすぎないでね。』
でも奈々の心は揺れていた。自分の未熟さに苛立ち、もっと強くならなきゃと思う反面、不安も大きかった。
帰り道、圭吾が待っていた。
「話したいことがあるんだ。」
彼の真剣な目を見て、奈々は胸が高鳴る。
「最近、奈々が頑張りすぎてる気がして心配なんだ。無理しないでほしい。」
奈々はその言葉に涙がこぼれそうになった。
「ありがとう。圭吾がそう言ってくれるだけで、すごく救われる。」
二人の距離は急に近づき、初めて触れた手が震えた。
次の日、奈々はメンバーとの絆の強さと、自分を支えてくれる圭吾の存在を胸に、また新たな一歩を踏み出した。
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