アラカルト

対話■兄妹

「おーい、妹ー。起きやがれですよー、もうここは安全です」

「……兄さん!」

「そんな急に詰め寄ってくるなって、コケて顔ぶつけたらどうするんです」

「もう二度とこの家に帰ってこられないかと思った……。あいつは追ってきてない? 兄さんは何かされなかった?」

「こっちの心配は無用だ。兄ちゃんがあんなストーカー野郎に負けると?」

「確かに兄さんは腕も立つけど……あの人、底しれない感じがしたから」

「お前の勘の鋭さは母さん譲りですわな。というか、最初に目え付けられたのはこっちなんですよ。お前まで巻き込んじまうとは、返す返す申し訳ねえです」

「謝ることじゃないわよ。一蓮托生、だって家族だもの」

「いつの間にかそんな難しい言葉覚えやがって。ともかく、あいつのことはもう考えなくていい。兄ちゃんとの約束、言えます?」

「困った時は、声に出して、兄さんに助けを求める。どんな小さなことでもいい、迷わず兄さんを頼ること」

「上出来だ。じゃ、兄ちゃんはちょっと昼寝しますけど、困ったらすぐ呼びなさいですよ。お前も、今日はもう休んじまいなさいな」

「ありがとう、そうするわね。……おやすみ、兄さん」

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