ミクの企み

 ミクは、なるほどと頷いた。


「つまり、ヒマリ先輩は大切な友人のために、絶交したわけですね」


 マナカは新聞紙を丸める指先に、力を込める。


「はぁ……これで、もういいかな?」


 僅かに眉をひそめ、好奇心や純粋さに溢れたミクの眼差しから目を逸らす。

 ミクはさも当然と、手帳を開く。

 ページは既に、所狭しと文字が敷き詰められ、余白が見つからない。


「ちなみに試合は、来週の土曜で合ってますか?」

「そうだけど……」

「時間と、会場を教えてください」

「はぁ? なに、観に来るの?」

「はい、谷崎先輩に興味がありますし、サッカーを間近で観てみたいです」


 ミクは前のめりになって、ペン先をそわそわと動かした――。

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