第17話
「いやあ、夢中で整地してたら背後からいきなり攻撃食らって言葉も出ないほど驚いてた兄さんは面白かったね」
俯いて両手で顔を覆う。
「恥ずかしいから勘弁してくれ……」
「いいじゃない、撮れ高ってやつだよ。切り抜きも上がってるし」
顔を上げる。
「切り抜きか」
「うん?」
「いや、ほんとに撮れ高なのかな。切り抜きの視聴回数あんまり回ってないように見えるんだけど」
「ああ、そりゃそうだよ。切り抜き見るくらいなら本放送見るよ」
「なにゆえ」
「だって兄さん、親のスネをかじりたくないから、つまりおかねの為にYtuberやってますって公言してるじゃん」
「それで俺に金を落とす為に……?」
「信者達は兄さんに合法的に課金出来て嬉しいって言ってるよ」
課金て。
「礼賛会に至ってはお布施って言ってるからね」
お布施て。
「生放送でスーパーチャット許可しなくて良かったよ。どんなことになってたか」
「うーん。想像に難くないね」
碌な事にならんやろなあ。
「んんっ。そんなことより、だな」
「そうだね」
「じいちゃんがお世話になったっていう人から頼まれた案件だ」
「うん。手洗いうがい、マスク着用の励行だね」
「風邪とかインフルエンザとかの予防の為に俺に宣伝してほしいわけだ」
「兄さんが言うなら言う事聞く人は多いだろうねえ」
「こういう事なら喜んでやるさ」
「ある程度の台本ももらってるから、早速一回リハやろう」
「おうよ」
張り切っていくぜー。
☆
これは神託である。違えることは許されん。我等敬虔なる信徒なれば。
☆
「相変わらずコメント欄怖えな」
「極まってるよね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます