第5話

「ぅおはよう……」


「おはよう」


「おはよう」


「あれ、じいちゃん?」


 食卓には父さんだけじゃなくじいちゃんもいた。あとじいちゃんの後ろに三人のいかついおじさん。全員黒服サングラスだ。じいちゃんの護衛……?


「今日からこいつらがこの家の警備をする」


「……じいちゃんに話行ったんだ」


「むしろ儂以外に行かれては困る」


「それもそっか。じいちゃんが選んだんだから大丈夫なんだよね?」


「ああ。お前の言うところの五パーセントだ。……本当なら五人は配置したかったんだが三人しかおらなんだ」


「三人でも有難いよ」


「うむ。もっと話したいが、この後用事があるのでな」


「うん、気を付けてね」


「お前もな」


 というわけでこの家の警備と俺の護衛として三人のいかついおじさんが常駐することになった。基本的に二人が警備、一人が休憩、という形をとるらしい。三人でまわすのは大変だろうなあ。頑張ってとしか言えない我が身が悔しいぜ。











 本条家の玄関から出て通りの反対側へ。刺すような視線。何度か修羅場を潜り抜けた自分でも背中にじっとりとした汗をかくのを止められない。通りの反対側の路地に入る。


「そこで止まれ」


 無言で止まる。半眼になり視線を隠しどんな動きでもすぐさまとれる様に適度に力を抜く。


「名前を。苗字だけでいい」


「松田だ」


「用件は」


「協力体制をとりたい」


「……同志達との会合の結果を待て」


「いつまで待てばいい?」


「明後日の同じ時間に」


「わかった」


 引き返す。視線はついてくるが刺すような視線ではなくなった……様な気がする。


 本条家に戻り自分達の休憩所として使わせてもらえる離れに入る。


「どうだった」


「紛争地帯でももうちょっと気が楽だ……会合の結果を待てだとさ」


 シャツが汗でぐっしょり濡れているので着替える。やれやれ。


「恐ろしいな。……素人だよな、あいつら」


「素人どころかプロでも軽くひねられるんじゃないかってプレッシャーだったぞ」


「元はただのストーカーだってのにな」


「だいたいどこにいるかもわかんなかったしな」


「お前でもか。怖いねえ」


「まったくだ」


 ふう。ミネラルウォーターを一口飲んでようやく人心地ついたような気がする。


「ただまあ、協力出来れば頼れる味方、か? ……うーん」


「素人さんに協力求めるプロってのも情けないが仕方ない」


「そうだな」


 あんなのに守られてる坊ちゃんの苦労は如何ばかりか。


「さ、ちゃんと仕事しないとあいつらになにされっかわかんないぞ」


「本当にな」


 これからどうなることやら。











「これで安心かな?」


「……そうだね……」


「?」

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