最終章 「黒幕は身内」とか!
第27話 黒幕のアジトにカチコミ
領地に戻って、作戦会議となった。女神とは、まだ通話中である。
こんなの、王都の人たちになんか聞かせられない。パニックになる。話すとしても、内容がある程度まとまってからだな。
まさか、【世界の裏側】を使ってこの世界に侵食しようとしていたのが、モモコの祖父だったとは。
『いわゆるラスボス的な存在ですが、名前は
こちらでは、
オレは、モモコをじっと見た。
「ん、なにクニミツ?」
「モモコの別名である『ブラウ・ドラッヘ』と大差ない、中二ぶりだな、と」
「あんなのと、一緒にしてほしくない」
モモコが、頬を膨らます。
「たしか龍洞院は、広域暴力団だったよな」
『はい。モモコさんが盗んだものが、彼らにとって重要だったのです。また、あなた方にとっても』
「ん? モモコって、金を盗んだんだよな?」
『巨大組織が、あんなはした金ごときであなた方を追跡なんてしません。本当のお金だったら、くれてやるくらいだったでしょう』
しかし、龍洞院はオレたちを血眼で追いかけてきた。それこそ、殺す勢いで。
「私が盗んだお金が、そんなに大事だった?」
『ではアタッシュケースの中を、確認しましたか?』
「そういえば、一度も開けていない」
おいおい。とんでもない物を運んでいた可能性があるな。
『実は、お二人が盗んだものは、異世界へのカギだったのです。それこそ【世界の裏側】の』
「マジか!?」
だから、オレたちが選ばれたのか。
「奴らは、異世界へ行って何をするつもりだったんだ?」
『支配です。現代チートなんて使えば、こんな低文明の世界なんてあっという間に蹂躙されてしまいますから』
「銃程度の装備が、貴重な世界だからな」
日本の支配が頭打ちになった龍洞院は、異世界にターゲットを絞ったという。
「現代日本から異世界へ行く方法とか、研究されていたの?」
『はるか昔からあります。それこそ「神隠し」なんて、極秘裏に異世界へ向かう方法のひとつなんですよ。こちらでいうところの、【世界の裏側】として』
神話の時代は、神の世界と人間界は地続きだったらしいからな。
『それで、ある程度解明されかけたときに、あなた方が異世界へのカギを手に入れてしまったと』
「魔王復活にも加担している?」
『はい。魔王というのは、日本でいうと「高エネルギー」っていうんですかね?』
扱いはシャレにならないほど難しいが、存在しているだけで魔物が活性化してしまうとんでもない代物らしい。
『すごーくベタな言い方を致しますと、【永遠の命】が手に入ると思っているらしく』
それを、鬼龍は手に入れようとしている。
「クニミツ、ワタシには詳細などはわからない。しかし、かなりマズいのではないか?」
「そうよね。鬼龍ってのは、相当ヤバい奴みたいだし」
ルイーゼとピエラが、語りかけてきた。
オレも、たしかにそう思う。
「マズいのか、女神?」
『魔族と契約し、彼は人としての理性など失っていまして』
居場所はわかっているそうだ。端末に、鬼龍の根城の位置を書き込んでもらう。
とはいえ、相手はモモコの身内だ。人間なのである。
「人間相手に、全力を出していいものか。まして相手はモモコと血縁関係だ」
「私は、身内だからこそなおのこと、止めないとって思ってるよ」
「そうか」
「それと、ここではなんでもあり」
うわーっ。すごいうれしそうな顔になったぞ。
「今までさんざん私を苦しめてきた根源に、何をやってもいい」
銃を指で撫でながら、モモコはウットリとした。相当、嫌な思いをしてきたのだろう。
「ましてや、この世界の人たちに嫌がらせをするなら、私は容赦しない。相手が身内でも」
さっそくモモコは【作業台】に銃を置き、アップグレードを開始した。【かまど】にも火を付けて、素材を加工する。
「レティ姫から、【錬金ツボ】の使い方も教わったモジャ」
その他にも姫はお礼として、使えそうな素材を大量にくれた。
「試してみよう」
一日かかりで、武器を仕上げる。
ドルリー国の付近に、怪しげな空間が広がっていると、ギルドで情報を得た。
女神のくれた通信と、まったく同じ位置だ。
「ウニボー、間違いないな」
「ここから、人間と魔族のものが混じったオーラを感じるモジャ。不気味モジャー」
ウニボーが、震えている。それだけの敵が、この先にいるのか。
「祖父の
「当たり前だ。オレが行かないでどうする?」
モモコだけに、身内殺しの業なんて背負わせたくない。
「ありがとう。クニミツ。私が巻き込んだのに」
「オレが望んだんだ。地獄だろうと、ついていくぜ」
各々の銃を、最終チェックする。
「杖の延長って聞いてから、弾数とか気にしなくてよくなったのはいい感じ」
「だな。ようやく、銃もサイバーパンクらしくなってきたしな」
これまではデザイン的に、無骨な物が多かった。今ではグッと近未来的なフォルムになっている。
「別れのあいさつもせずに、出てきちまったな」
今回、ルイーゼとピエラは連れてきていない。
「まだ永遠の別れだと、決まったわけじゃない。笑って帰ってくれば、許してくれる」
「だといいがな」
「行くぜ!」
「ちょっと待て。キミらだけで行く気か?」
後ろから、声をかけられた。
ルイーゼの声に、オレは振り返る。ピエラもいた。
何も言わないで、出てきたのに。
「ボクたちは戦わないなんて、言っていないわ。最後までついていくわよ」
「ピエラのいうとおりだ。わたしたちは一蓮托生。同じ釜の飯を食った仲間じゃないか」
二人も、最終決戦に参加するという。
「身内だけの問題だぞ? 無関係だ」
オレがいうと、ルイーゼは首を振った。
「ワタシだって、同族を殺した。身内も同然さ」
「ボクだって、先祖にムリヤリ過去の罪を償わせているわ。似たようなことよ」
話を聞く限り、二人に譲る気はない。
「それに一番無関係なのはクニミツ、キミだろ。モモコと結婚はしたが、誰とも血はつながっていない」
「ルイーゼ、ピエラ。お前たち」
「さあ行こう。この先に、魔王を復活させようなどという主力がいるのだろう? 魔将だかなんだか知らんが、蹴散らしに行くぞ」
ズカズカと、先陣を切る。
「お前が先頭かよ?」
「だってワタシは、
もう、笑うしかない。
「仲間が一番、やる気勢じゃねえかよ」
「そりゃあそうよ。ボクたち、この世界で生きているのよ。そんな街をおびやかす存在は、この手で倒さないと」
そうかもな。
「じゃあ、ご先祖様に結婚のごあいさつでもしに行くか!」
「結納品は、鉛玉でいいよね」
うわ、発言がことごとく物騒だ。
では、気を取り直して討伐に向かう。
魔将・鬼龍の根城は、七〇年代の映画に出てきそうなマフィアの屋敷みたいだ。
「んだてめええ!」
チンピラ風の魔族が、オレたちに凄んできた。
「死んでもらうぜ!」
オレは、銀色の銃を魔族たちに向けて放った。
銃が先端で形を変えて、特大のファイアーボールを撃ち出す。
魔族は炎に包まれながら、天井まで吹っ飛んだ。
それが口火となって、戦争が始まる。
モモコも手持ちの黒いサイバー銃をマシンガンモードに変化さえ、一斉掃射した。
ヨロイで身を固めた魔族が、蜂の巣になっていく。
白い壁や柱に、血がこびりついた。
大型の魔物が、壁を突き破って襲いかかる。
銃のモードを切り替え、モモコは魔物の脳天を貫いた。ビームライフルか。それも、かなり高火力の。オレ、いらないかも?
「フォース・スマッシュ!」
ルイーゼも、剣を振り回す。剣から衝撃波を発し、縦一列にいた敵を真っ二つに。タンクとしての仕事も忘れない。オレたちが射撃しやすいように、シールドから魔術障壁を張って敵からの攻撃を防ぐ。
「行きなさい、スケルトンたち!」
ピエラが、スケルトン共を喚び出した。
「スケロクの逝き様、とくと見せつけてやりまさあ。ピエラの姉御!」
上位種リッチとなったスケルトン夫妻が、さらに子分のスケルトンを召喚する。もう一万を超える大軍団となっていた。物量で、魔族たちを押しのけていく。
「おおっと!?」
「クニミツ、後ろモジャ!」
背後からも、大型魔獣が現れた。
モモコがビームを撃っても、ピエラが冷凍レーザーを撃ち込んでも、硬い装甲にビクともしない。
「ヤロウ!」
武器が変形するのは、モモコだけじゃねえっての。
オレは、銀色の銃を突き出す。グレートソードの柄と融合させた。
「くらえ、チェインガン!」
剣が縦に割れて、エネルギーを走らせる滑走路となる。
さらに大型化したファイアーボールを放って、相手のノドを撃ち抜く。
首から先をなくした魔獣が、崩れ落ちた。
モモコが、オレが放った武器の威力に唖然としている。
「攻撃力特化?」
「そうだ。BFC。【ビッグ・フォース・キャノン】だ。ベタだが、気に入っている。どうだ?」
ホントは【ビッグ・フ●ック・キャノン】という、実にいかがわしい名前なのだが。
「……どうだって言われても、クニミツのネーミングセンスは相変わらず古い」
ファ●ク・キャノンだとしても、モモコ的には不採用だろう。
「闇を抱きしなんとかよりは、マシかなって」
「うん。見た目には合わない」
モモコから、辛辣な一言をいただいた。
要は強けりゃいい。名前は持ち主にわかればいいんだ。愛着のようなものだろ。
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