第12話 領地拡大! クルセイダーも加入! 謎の闖入者も!?
「な、なんだ?」
「ムーンストーンの影響モジャ。引き寄せられたモジャー」
ウニボーが、オレの頭上に着地する。精霊だからか、重みを感じない。
「まあ、もう帰っていらしたの? まだ一日しか経っていないのに」
ドリスさんも、驚いている。
「それよりドリス様、ご子息のご容態は?」
ルイが速攻で立ち上がって、ドリスさんにかしずく。
「元気です。このとおり」
子どもは、紙飛行機を飛ばして遊んでいた。
「こんなハシャイでいる息子を見るのは、久しぶりです。ありがとうございます」
ドリスさんが、お礼を言ってくる。
母親がお辞儀をしたからか、息子も親にならう。
「ウニボー。結局、ドリスさんの息子の体調不良は、何が原因だったんだ?」
「あのネクロマンサーが、子どもを病気にして死にいざなっていたモジャ」
死に魅了させ、自分から命を差し出させようとしていたらしい。
「ひどい」
モモコが、目に見えて怒っている。
「クニミツどの、モモコどの。私からも、感謝したい」
息子と一緒に遊んでいた伯爵が、アゴに手を当てた。
「領土をさらに広げてもいいようにしよう。好きに開拓なさい」
なんなら、近隣の村を分けてもいいという。ゴブリンからオレたちが守った村のことだ。
「そんな。悪いですよ」
さすがに、伯爵の財源をもらうわけにはいかない。
「そうか。まだ二つ三つ大きい村があるから、食うには困らん。色々発展させていくがよい。それに君らが発展させてくれるなら、彼らも喜んで協力するだろう」
大変なことになった。村までもらえるとは。
いろんな土地を回って人を集めてもいいだろうと、伯爵は提案してきた。
「ここはもらっておくモジャ。村を発展させて、農作物やアイテムを売って、生活の足しにするモジャ」
「いいのか?」
「心配ないモジャ。そこまで大儲けはしないモジャ」
自分たちが食う分は、精霊が作ってくれる。他人が作っても、オレの作物のようにすぐ育つわけじゃない。味も違う。そもそも、どれも村で採れているものだ。オレが種を分けてもらっている。
「他の財源があると、安泰ってだけモジャ」
「それはそうだがな」
モモコと相談をした。
「旅はしたい。まだ、あんな裏世界からのモンスターに襲われている世界があるかも」
たしかにな。あの化け物たちは、オレたちが出向いたほうがいいかもしれん。
「その間に、家を見てくれる人は必要かも」
オレたちの家は精霊だけでもいいが、その周辺には人がいると助かる。
このところ、この街周辺のクエストばかりだったからな。この付近は現地の冒険者に任せて、新天地へ行くのもいいかも。
「とはいえ、移民をどうやって連れてくれば?」
船でも三日はかかるだろう。
「大丈夫モジャ。そのためのオイラだモジャ」
ウニボーは、さっきのポータルを作り出す。
「このポータルに移民を入れるモジャ。村に転送されるモジャ」
ポータルを消して、ウニボーがまたモモコのアイテムボックスの中へ。
「では、決まりですね。おふたりとも、冒険者カードを」
オレとモモコは、ドリスさんに冒険者端末を渡す。
「まあ。端末型なのですね。カードレスとは」
ペン状の魔法杖で、端末の画面に何かをスラスラと描いている。
「これで、あなたがたはアンファンの名誉市民です。どんな商品も格安となります」
他の街の冒険者ギルドへ行っても、この書状がアレば怪しまれないそうだ。
「あと、二人は領主になりました。代表は、モモコさんの夫であるクニミツさんとなります」
「どうも、ありがとうございます」
あとは村と話し合って、村に入るかオレたちの領地を拡大して自立するか決めてもらう。
「村と話し合う必要があるな。彼らは事情を知らない」
ひとまず、村と相談することに。
この村は、キウレフルというらしい。
「わかりました、クニミツさん、モモコさん。快く引き受けましょう」
キウレフル村の村長が、すぐに応答してくれた。ポータルを設置する地点まで、できあがっている。仕事が早い。
先日助けた薬草屋の娘らしき少女は、ここの村長の孫だった。だから、ここまでスムーズに話が進んだのか。
「宿に、ポータル迎え入れ先を設置しました。受付を設けて、村で働くかどうかを決めてもらいます」
「ありがたい」
用事が済んで帰ろうとしたら、モモコが村長に何かをプレゼントした。植物の種である。
「あの、先日はごちそうさまでした」
「ご丁寧に。これは?」
「湯の花の種です。これを村の花壇に植えれば、入浴剤に使える花が咲きます」
他にも石けんに使う薬草の元なども、モモコは村に提供した。
「ほう! お見事ですな。種の段階でいい香りがしますぞ。ありがとうございます」
「いえ。これは、お礼なので。この村のおかげで、お料理のレパートリーも増えたので」
モモコは何度も、ペコペコと頭を下げる。
「それはなによりです。またいらしてくださいな」
「はい。ぜひ」
村を離れて、再びアンファンの街へ。ルイにお別れを言うためだ。
「わたしはクルセイダー。ドリス様に仕える身だ。一緒に旅ができなくてすまない」
「いいんだ。頼もしかった」
オレたちが話していると、ドリスさんがルイに荷物をよこす。
「何を言っているの、ルイ? あなたも旅に出るのです」
「え、わたしが?」
「ええ。我々の警備は、私兵を雇います」
貴族内の騎士から選抜して、新たに人を呼ぶという。
「わたしは、クビですか?」
「違いますよ、ルイ。キウレフルの村の警備及び、旅の仲間として同行なさい。あなたはもともと、自由なのですよ。ワタシが引き止めてしまっていた」
どういうことなのか、オレはドリスさんに説明を求めた。
「ルイは、平民の出です」
「ほう」
「騎士として、ルイは王族に仕えていました」
しかし、元が平民ということで貴族上がりの騎士とのトラブルが絶えなかったという。
「だったらウチに来れば? とワタシが誘ったのです」
しかし、ルイほどの非凡な才能の持ち主は、自由人でいた方がいい。ドリスさんは、ずっと考えていたという。
「ある程度のお金を渡して、あとは好きに生きなさいと告げました。しかし、息子が病気になってしまった」
で、ルイーゼを屋敷から出すに出せなくなってしまったと。
「ルイは、外に出たほうが稼げます。その力は、人の役に立ってこそ」
「オレも、同じ意見です。くすぶらせておくには惜しい」
モモコも、オレに続いてうなずく。
「どうもありがとう。では、ルイをお仲間に加えていただけますか?」
「もちろん」
ドリスさんの問いには、モモコが答えた。
「ありがとうっ。ふたりとも。もうあのお茶も菓子も食べられないと思っていた!」
ルイーゼが、腹を鳴らす。
「これは、旅立つ前に腹ごしらえだな」
「うう、お恥ずかしい」
「いいんだよ。腕を振るうから待ってろ」
オレが腕をまくると、ドリスさんが笑った。
ドリスさん一家も交え、パーティをする。いわゆる、快気祝いだ。
「クニミツ、きょうの料理は?」
「鶏ダンゴ鍋だ」
村で育てた鶏をしめ、一部をつみれに。他は骨ごと煮て食べよう。
後は白菜とキノコ類を切る。それを、かまどで開発した土鍋にドーンとブチ込んだ。ダシはどうしよう。しょうゆでいいか。旅先でコンブが手に入りますように。
モモコには、コメをおにぎりにしてもらっている。
領地の仲間になるからと、ルイも手伝っていた。
「では、いただきます」
全員で、鶏ダンゴ鍋を囲む。
オレは鍋をお椀によそう係だ。
「ほら、お前も食え」
オレは、最後の一人に具入りのお椀を渡す。
「はーい。おいしいわー。ウワサどおりねー」
青緑のリボンが付いた短パンロリ魔女が、足をパタパタさせながら鍋をつついていた。
「って。お前、誰?」
さっきまで、こんな子いたっけ? 誰も知らないみたい。
「ボクかしら? ボクはノームのピエラよ。ここの元住人の子孫っていえばいいかしらね?」
新しい客人として、ボクっ娘魔女がウインクとともに現れた。
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