第12話 返却

 次の日。1時間目の終わりの後の休み時間。


 流華は正章の席の近くに移動する。隣の席に座る。


「本どうする? もう1回読む? それとも新しいの借りる? 」


「借りない選択肢はないんだね」


「ないかも」


 流華は頭を縦に振る。見つめる。


「ないんだね」


「それでどうする? 」


 流華は尋ねる。答えを求める。


「一旦、返そうかな」


 正章は立ち上がる。意向を伝える。視線を送る。


「そう」


 流華は下を向く。視線を落とす。無言になる。


「また、おすすめの本を紹介してよ」


 正章は本音を伝える。視線を送り続ける。


「…」


 流華は顔を上げる。視線を送る。見つめる。


「そう。なら紹介する」


 いつもの調子で返事をする。了承する。席から立ち上がる。


「返しに行こうか」


 正章と流華は教室を後にする。廊下に足を踏み入れる。前と同じで階段を降りる。


 図書室に到着する。入室する。戸を閉める。


 カウンターに足を運ぶ。ラノベと推理小説を返却する。受付の司書が処理をする。


「ありがとうございました」


 司書は気持ちの乗ってない挨拶を送る。軽く頭を下げる。

 

 正章は踵を返す。


 流華も倣う。


 図書室に2人の生徒が入ってくる。2人はカップル。手を繋ぐ。


「「あ」」


「え」


 正章とカップルの目が合う。両者共に声が漏れる。流華のみが静寂。


 一方、3人は目を合わせる。驚きが露見する。


 カップルは正章にとって見覚えのある2人だった。顔を合わせたくなかった。同じ空気を吸いたくなかった。


 そのカップルは木下と芹奈であった。


 思い出したくもない。顔も見たくない。大きな傷を与えた2人。

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