第22話 レザボア・ドッグスにて
美々に勉強を教えた次の日、僕は響子と撮影に出かけた。
場所は南海堺駅から歩いて十分ほどのところにある堺旧港である。
梅雨なので天気が心配だったけど運よく晴れてくれた。
待ち合わせの時間は午後二時で場所は中央改札口を出てすぐのセブンイレブン前だ。
午後二時五分前に響子は改札口から出てきた。
この日は響子はセーラー服の半袖バージョンを着ていた。
スカートはミニスカートのようり折り曲げられている。むっちり太ももの生足が魅力的だ。
「こんにちは直人」
開口一番、あの可愛いらしい声がする。メイクもバッチリ美少女で完璧だ。
この日は山嶺七月号に掲載する写真を撮るために待ち合わせをした。
「響子って衣装いつもどうしてるの?」
僕たちの通う友ノ浦高校とは違う制服を着る響子にきいてみた。
「これね、お姉ちゃんのお下がりなの。お姉ちゃんって清水女学院だからセーラー服だったの。今は卒業して大学生なのよね」
清水女学院といえば大阪府内でも有名なお嬢様学校だ。
なるほどね。納得がいった。
響子は二人姉妹の妹だということだ。
響子の姉も巨乳なのだろうかとつまらない疑問が頭をよぎる。
僕たちは歩いて堺旧港に行く。
日曜日ということもあり、家族連れやカップルが散歩を楽しんでいた。
この堺旧港は奥に竜女という巨大な像がそびえ立つ。それがちょっと怖いけど背景としてはファンタジー感があってかなり良い。
また古い灯台もあり、これも背景としてかなり映える。
僕たちはまず呂宋助左衛門の像のところにいき、彼を背景に写真を撮る。
太陽の光に照らされた響子は絵になる。
風になびく黒髪のウィッグを彼女は手で押さえている。
さらに灯台のところまで移動して、それをバッグに撮影する。
響子は細かく動き、ポーズを変えていく。
このポーズの取り方は林檎に教えて貰ったらしい。まるでプロのポージングだ。
やや前かがみのポーズを響子がとったとき、ボタンの隙間から見えた胸の谷間を見逃さない。
すでに百枚近く響子の写真を撮っている。
また響子の画像フォルダのコレクションが増えて、僕はにんまりだ。
僕がにやけていると響子が近づいてくる。
僕のスマートフォンを覗き込む。
響子はいつも通り距離感がばぐっているので額と額がくっついている。
「あれ、これ谷間写ってるじゃないの」
これはまずい。見つかってしまった。
響子は美少女メイクの顔にあのにちゃりとした笑みを浮かべる。
ぞくりとする顔だ。
「ふふんっ。ねえ、山嶺に載せないのなら撮ってい良いよ」
響子は半袖セーラー服のボタンを二つ開ける。
角度によっては響子のご立派な胸の谷間と花がらのブラジャーが見える。
「これ見せブラだから」
見せて良いブラジャーと見せてよくないブラジャーの違いはよくわからない。
「あとレザボア・ドッグスのクリームソーダ奢ってよ」
そんなのはお安い御用だ。
僕は快諾し、響子のアップの写真を撮る。
とくに髪を両手でかき上げる響子はとんでもなくセクシーだ。
今日の響子はサービス満点だな。
さらに百枚ほど撮影した。
「ふー疲れたね」
響子は持ってきたミネラルウォルターをゴクゴクと飲む。白い喉が上下するのを見つめてしまう。
「じゃ、じゃあレザボア・ドッグス行こうか」
僕が言うと響子は半袖セーラー服のボタンを閉じる。ウィッグをとり、彼女はもとの金髪に戻る。
髪を振りほどいた響子は奥にある竜女と同じぐらい神々しい。
僕は思わず画像を撮ってしまう。
「もう終わらないじゃないの」
にちゃりと笑い、響子は僕の腕に抱きつく。
むふっ響子のおっぱいの柔らかさを直に感じる。
本当に今日はサービスがいいな。
もちろん腕を解くことなく、僕たちはレザボア・ドッグスまで歩いて行った。
日曜日なので混んでいたけど、奥の二人席が空いていてあのパーマのお姉さんが案内してくれた。
「また来てくれたのね。ありがとう」
パーマのお姉さんは僕たちを覚えてくれていたようだ。不思議とお姉さんと目があう。
響子は真剣な顔でメニューを見ていた。
響子のスイーツに関する情熱は計り知れない。
僕は前と同じレモンスカッシュを頼むことにした。
響子はクリームソーダとデザートトーストを頼みたいと言う。
まああのちょっとエッチな画像を撮らせてもらったのでこれぐらいは必要経費だろう。
なんだか二人だけの秘密が増えて嬉しい。
「いいよ、今日も撮影につきあってもらったからね」
僕はパーマのお姉さんにオーダーをした。
パーマのお姉さんはにこやかにオーダーを聞いてくれる。
「ありがとう。そういう直人好きだよ」
この好きは奢ってもらったことに対することだろう。それでも好きと言われたら嬉しくなる。
こうやって二人で喫茶店にいくなんて、冷静に考えたらデートだよな。
知らない人から見たら僕たちはカップルに見えるのだろうか。
見えていたらいいのにな。
ほどなくしてメニューが運ばれてきた。
響子の方にクリームソーダとデザートトーストが置かれる。デザートトーストにはたっぷりと生クリームが添えられている。
アイスに生クリームと乳製品の挟み撃ちだ。
すべて響子の胸に吸収されるのだろうか。
これ以上サイズアップしたらどうなるのだろうか。制服のボタンが弾き飛ぶのではなかろうか。
パーマのお姉さんは僕の方にも取り分け用の小皿とナイフにフォークを置いてくれた。
「それじゃあごゆっくりどうぞ」
そう言い、パーマのお姉さんは別のお客さんのところに行く。
響子はデザートトーストを一口サイズにきりわけ、生クリームをたっぷりつけて食べる。
「うーん、幸せの味がする」
言葉の通り響子は幸せそうだ。
次に響子は切り分けたデザートトーストをフォークに刺して、僕に向ける。
「はい、あーん」
言われるがまま、僕はデザートトーストを食べる。たしかに甘くておいしい。
この日は他の二次元文化研究部のメンバーがいないので遠慮なく、響子とのデート気分を味わい尽くす。
響子とこの日撮った画像を見ているとエプロン姿の中年男性が僕たちの前にあらわれた。
エプロンはあのパーマのお姉さんと同じものだ。
ということはこの人はレザボア・ドッグスの店員さんだろうか。
僕はその店員さんの顔を見て、驚いた。
この人は僕にとても似ていた。
僕が大人になったらこんな感じになりそうだ。そんな風貌をしている。
僕のスマートフォンを見ていた響子もわかりやすく驚いた顔をしている。
「こんにちは。佐々直人君だよね」
その僕に似た男性は言う。
僕はこくりと頷く。
「ああっやっぱりそうか。会えて嬉しいよ。前に
その人はあまりにも衝撃的なことを告げた。
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