米海軍
米国との関係
房総半島での前哨戦が始まる数年前、米国では内戦状態を経て、完全な大衆迎合行動をとり始めた。
大統領は、自分がアプリなどを利用できても理解は出来ないNet・IT系の巨大企業と高学歴者に課税し、支持者の多い低学歴、労働者に対しては
この結果、移民、有色人種へ差別、迫害等々が堂々と行われるようになったが、大統領支持基盤はより強固になった。
同時に、世界的には各国が
米国では、Net・IT系巨大企業への弾圧で、これらの巨大企業は、形の上では多数の中堅企業による国際的な集合体に生まれ変わり、先行投資、特に研究開発への投資が抑えられた。
このため、米国内での大学、研究所での基礎研究、特に科学分野での進展が鈍化した。
これら巨大企業の資本は米国から離れ、その多くは、北欧の銀行に集中した。
巨大企業が米国から撤退したため、資金調達の点から重工業、特に軍事産業と、大統領の支持母体である労働者団体への優遇措置が加速した。
日本では、この国際的な混乱を無視して、弱小与党と多数野党による政権争いに終始していた。
マスコミからは、この政治の動きを「結果鎖国」と揶揄していた。
大石は、この鎖国を『政党政治が問題』と指摘し、多くの賛同を得て国会議員になった。
そして、『無党派党』を結成、若者の熱狂的な支持で与党になり、最終的に総理大臣になった。
その後、米国大統領は、米国内の不満のはけ口として、日本の新型のカルシウムイオンバッテリーのビジネスモデルにクレームをつけてきた。
このバッテリーは、リチウムなどの貴金属は使われておらず、カルシウムイオンを利用したもので、従来のリチウムイオンバッテリーに比べ、数万倍の容量を持ち、破壊やショートに対しても、自己修復機能を持つものであった。
唯一の欠点は、充電に特殊設備が必要な点である。
カルシウムイオンバッテリーの再充電は日本にある設備でしかできない。
このため、カード大統領は、米国内の企業を守るため、バッテリー充電費用に関して、日本に関税を上げるように強硬に要求した。
関税は、基本的に輸入する製品に掛けるもの。
バッテリー充電はサービスであり、サービス費用には関税の範囲外のはずであった。
しかも、関税は輸入した人(業者)が、輸入国に払うものであった。
つまり、米国国民が米国に払う税金であったもので、日本からの支払いはないはずで、日本側の問題点は、米国内の購入価格が上がり、日本からの出荷台数が減る点だけのはずであった。
カード大統領は、これを一般的な輸入関税でなく日本の輸出関税として日本側に支払いを要求した。
サービス費用の関税と合わせ、完全なごり押しである。
大石総理は、国内の経済界の圧力を受け、仕方なくこの関税を認めた。
しかし大石は、この関税の契約内容を、サービス費用の関税対応と、一般的な輸入関税と今回の輸出関税を織り交ぜ、あえて複雑な文章にして、その関税の支払い元は米国、支払先は日本とした。
つまり、充電の際に、その関税費用は、米国のバッテリー利用者が日本国に払う形である。
カード大統領は、この関税規約の翻訳をAIに任せており、殆ど理解していなかったため、実行された。
カード大統領としては、バッテリーの費用アップを日本側の責任にさせる思惑で急ぎ締結してしまい、カード反対派から攻められた。
しかしカード大統領は自分の非をかたくなに認めないため、かえってこの関税を進めることになってしまった。
日本では、大石総理は、カード大統領への対応で、支持基盤をより強固にした。
また、彼は、普及したマイナンバーカードと
同時に、有効投票数を削減させる逆投票制度も実行され、投票率は80%以上になった。
そして、国会議員数を10分の1にさせた結果、国民の意見が直ぐに国政に反映できるようになり始めた。
同時に、『憲法は小学生でもわかる内容に』と宣言し、憲法九条が改訂され、自衛隊は防衛軍になった。
バッテリ―充電の関税の臨時税収は、全て日本防衛軍の実験部隊の費用に回された。
米国からの費用で日本に実験部隊が出来上がってしまったわけである。
カード大統領は、今度は日米安全保障条約で文句をつけた。
『米国が攻撃を受けても、日本は米国と共に敵を攻撃出来ない。不平等だ。日本に関係する米軍の費用を全て負担するべきだ』
このカード大統領の文句に対して、当時の大石総理は、ネットで即答した。
『理解不能。子供のような言いがかりですね。日本が守る米軍は、日本国内に展開している米軍です。そちらから押し付けられた条約に明記されています。嫌なら日本から出ていってください。ただし、その費用はこちらでは支払いません』
80歳近い米国大統領に、30歳過ぎの日本の大臣が、子供呼ばわりしたわけである。
日本で、この発言に賛同者が続出した。特に、若者に人気が出た。
無論、カード大統領は激怒したが、米国内では、日米安全保障条約もほとんど報道されておらず、また認知もされてもおらず、カード大統領の発言も大石大臣の発言も無視されていた。
このため、カード大統領は詳しく説明せずに、日本国内の米軍を撤退させ、即、日本に宣戦布告し、前記のミサイル攻撃となった。
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