これからもずっと同じ夢が見たいんです

獅子2の16乗

第1話

Pi


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


劒崎つるぎざきさん、今日までありがとう。ついにこんな大きなステージに立てるのね』

「何言ってんだ天花てんか。マンスリーライブは今日の国営ひたち海浜公園を含めてあと10回あるぞ」

『うん、そうね。私頑張る』


星美ほしみ 天花てんかさん、お願いします』


「天花、行ってこい!」

『はい!』


 天花の持ち歌、kochi東風に乗って、静かな、でも強い声が流れてきた。

 6月のマンスリーライブのテーマは、天花の意見で青バラになった。


 天花が頭に載せているミニハットと左腰につけたバラがよく映えてる。

 うん、調子よさそうだ。


 頭を上げると、満天の星空……天花という名前は天文ファンの天花のお父さんが産院の屋上から見た星空……かみのけ座にインスピレーションを得て名付けたんだそうだ。

 

 うん、強く同意だ。



 今まで歌ってたBlancaブランカ Celaセラが帰ってきた。

 少し汗ばんでて目が潤んでる。そうだ、彼女も大きいライブは初めてだった。


「お疲れさん。すごくいいステージだったよ」

『ありがとう』

「赤いバラが良く似合ってるぞ」

『フフフ、それを言うのは私にじゃなくて、天花に、でしょ』

「えっ」

『私は私のマネージャーから褒めてもらうから。相手を間違えちゃだめよ』

「お、おう」


 曲調が変わって、天花のダンスが始まった。

 動きが入ると、青バラが一層映える。


『天花、頑張りが実って良かったね。あ、もちろん剱崎さんの努力も』

「うん、ありがとう」


『おーい、|Blanca』

「ほら、Ms.Cela、能取のとろが呼んでるぞ」

『その固い呼び方、何とかならない?』

「名前呼びしていいのは自分の担当だけだ、と思うぞ?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「では、最終面接を始めます。自己紹介をおねがいします」

『星美 天花です。よろしくお願いします』


 素敵な名前だな……


『Blanca Celaです。よろしくお願いします』


「私はこの事務所に所属するマネージャー……といっても今は担当なしの劒崎つるぎざき 朝灯あさひです」

『俺は能取のとろ 燈哉とうや、同じく今は担当がいない」


『『『「よろしくおねがいします」』』』


「では、こちらから質問を――」


 …………


「能取、今回の採用枠は2名だったな」

『そうだ。どっちも有名な合唱クラブに所属してて歌唱力は申し分ない。ダンステストではS評価には届かなかったがAの上だったとのこと。加えて最終面接もOK』


 ネガティブチェックでも問題なかった。


「上は俺たちの判断に任せると言ってるんだよな」

『うん。2名とも採用でいいんじゃないかなと思うよ』

「そうだな」

『劒崎はどっちの担当を希望する? 俺はMs.Celaかな』


 Ms.Celaはクール系だね。確かに能取はクール系と相性がいい。


 星美さんはちょっと垂れ目気味だからキュート系とも思えるんだけど、さっき自己紹介したとき瞳が光を放ったような気がした。

 おそらくただのキュート系ではないと思う……?


「俺は星美さんを希望しよう」


『じゃ、上に報告して来るよ』

「うん、すまない。上のOKが出たら連絡くれ。レッスンスタジオを案内して、その後もろもろの手続きをやってもらうから」

『たのむ』


 …………


 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「能取か」

『OK』

「わかった」



「星美 天花さん、Ms.Blanca Cela、合格です。共に頑張りましょう」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ご訪問ありがとうございます。


 男性キャラの苗字は岬です。

 劒崎つるぎざき……神奈川県かながわけん 三浦市みうらし 南下浦町みなみしたうらまち松輪まつわ44

 能取のとろ能取岬のとろみさき)……北海道ほっかいどう 網走市あばしりし 美岬みさき




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