第197話 新魔法

 サキの止めた理由はこちらの体力ではなく、これ以上使うと新しい魔法を使用するのに影響が出そうだからという事だった。

「悪い悪い、良いトレーニングだったからつい」

「まさか全弾撃ち落とされるなんて思いませんでしたよ」

「それでもあれだけ飽和攻撃出来れば普通は動けないぞ」

基本的にモンスターにはダメージを与えれば倒せる。

別に致命傷を与える必要はない。

ダメージを蓄積すれば倒す事ができるのだ。

もちろん再生能力や回復能力を使う敵には意味はないかもしれないがそれ以外の敵には先程の攻撃で削り続ければいずれ倒す事ができる。


「戦端を尖らせるので通常であれば串刺しになっていくのであそこまで続ける必要はないんですけどね…今回丸めておきましたけどこれは丸めてなくても倒しきれないと思いましたけど…」

「あのまま続けていたらさすがに体力と集中力が切れてたと思うぞ」

「話に聞いてた以上の実力をこちらも確認出来ましたよ…」

サキは顔が少し引きつっていた。


「でも、あれで全力じゃないんだろ?」

「さすがに対人に向けて打つものじゃないので他は色々と…」

サキの実力もしっかり確認させてもらった。

隠し玉もあるようなのでいずれ見せてもらおう。


「さて、じゃあ新魔法の試し打ちといきますか」

「わかりました。コントロールが効かないといけないので今度は打ちませんからね」

実は受けるつもりでいたのだが却下されてしまった。

水と風魔法は味わった事はあるのだが他の魔法は体験した事無かったので少し残念だ。


「まず火魔法からいきます」

攻撃手段として人気の高い火魔法。

魔法スキルの中でもっとも攻撃力が高く広範囲に攻撃が出来る。


サキの生み出した火弾はそのまま砂浜に着弾し破裂した。

焦げと共に小さなクレーターが出来ていた。


「これは威力があがれば爆弾のようになりそうですね」

「あれは食らいたくないなぁ、殴っても破裂しそうだし。まぁでも速度はイマイチか」

「火っていう不定形な物ですからね、速度をあげると形が崩れそうです」

「水の時みたいに何か工夫すればもっと強力にできそうだけどな」

「今後の課題にしておきます」

何か考えているようだがいきなり使うのは難しいようだ。


「次は土魔法いきます」

土魔法は防御手段として重宝される魔法。

物理的な壁を作り出す事ができる。

攻撃手段としては石弾がも当たってもそれほどダメージがないこともあって攻撃手段としては人気がない。

サキが使ったのも石弾で拳台の石が飛んでいき砂浜に埋まる。

「攻撃手段としてはイマイチですね」

「でも速度は出るんだな」

「固形のものなので割と無茶しても形は保たれますから」

それなりの速度で発射は出来るが残念ながら石ではそれほどダメージは期待できそうにない。

「回転加えてドリルみたいにすれば貫通力はもっと上がるんじゃないか?」

「石弾は大きさの変化しか出来ないのでドリルみたいにするにはストーンランス覚えないとダメですね」

「さすがの魔導の極みでもいきなりそこまでは使えないないのか」

「水魔法の時はいきなり使えたんですけどね…やはり初期の熟練度に関連してるかもしれません」


「今度は、風魔法ですね」

風魔法は速度バフのように援護したり広範囲への攻撃が可能。

人気のスキルではあるのだが攻撃力が他の魔法と比べると低い。

空を飛んだりも出来るので援護的な魔法が多い。

サキの発動したのは風弾で風が渦巻く玉のようなものだ。

某漫画のように攻撃力が高そうに見えるが…

サキの放った風弾は着弾と同時に風が巻き起こり辺りに砂を撒き散らす。

クレーターの大きさとしては一番大きいが…。

「これは攻撃力がイマイチですね」

砂を撒き散らしただけでほとんどダメージが当たった様子がない。

吹き荒れる風はそよ風程度。

これではダメージは期待できない。

「風の刃みたいなのも打てるんだよな?あれは結構攻撃力高そうだったが」

「ウィンドカッターですね。使えるようになったら試してみます。ただこれも不定形なものなので色々難しそうです。それよりも空を飛んだり出来るのでそっち方面を伸ばしてもいいかもです」

「確かスキルレベルがあがれば雷も使えるらしいし攻撃力はそっちに期待してもいいかもな」

「そうですね、それは期待したいです」

電気の力は凄まじいのは磁界操作でも感じている。

風魔法には攻撃力がなくても雷魔法にまでいけば攻撃力は十分だろう。


「次は闇魔法使います」

さてここからは完全に未知の領域だ。

他の魔法に関してはなんとなく想像がついたのだが闇属性とはどんな攻撃になるのだろうか?

黒い小さな玉が空中に現れる。

「それは何ていうんだ?」

「闇弾ですね、とりあえず撃ってみます」

小さい闇の弾は恐ろしい速度で発射され砂浜に小さな穴を開けた。

「めちゃくちゃ速いな」

「そうですね、速度は申し分ないですが攻撃力はそこそこと言った感じですね」

攻撃手段としては優秀そうだ。

速度としては銃撃に近いように感じる。

まぁ攻撃力としてはそこそこといったとこだがそれはレベル上がれば改善するだろう。

「なかなか優秀な攻撃手段になりそうだな」

「そうですね。闇魔法は使用者が少なすぎて情報が少ないので…今後どういう魔法があるか楽しみではあります」


「さて…今度は光魔法ですか…」

「なんか気がのらなさそうだな」

「色々と思う所がありまして…」

その理由はなんとなくわかる。

弟の事だろう。

彼のスキルは閃光、回復スキルこそ使えないが光魔法と似たような事ができる。

以前見た限り攻撃手段として優秀なのは間違いない。

誤爆していたが目眩まし等の援護も可能だろう。


「ふぅ…気を取り直していきます!」

光の弾が出現する。

そしてそのまま発射される。

光の速度で動くのかと思ったが速度は火魔法と同じ程度。

攻撃力も火魔法と同じくらいのようで着弾点に小さなクレーターが出来ていた。


「なんか思ってたよりも普通?」

「レベルがあがらないとこんなもんだと思いますよ光のスキルも最初はこんなもんだったので」

「へぇじゃあレベルがあがれば出力があがる感じなのか」

「そうだと思います。まぁ光魔法も使用者は秘匿されてますし情報はほとんど0なのでどうなるか…」

「光と闇魔法は全然情報がないのか?」

「そもそも使用者すら秘匿されてますからね…」

「それはなかなか…でも光はわかるけど闇はなんでだ?」

「さぁ…もしかしたら何かヤバイ魔法が隠れてるのかも?」

元々ドロップ率がとんでもなく低い魔法スキルの中でもさらに低い上にかなり深い階層でしか落ちないスキルだ。

情報が少ないのは仕方ないのかもしれない。

ってかよくこんな希少スキルを提供させたもんだ。


すべての魔法を見せてもらい躱せるのは確認したのでそこからは熟練度上げも兼ねて俺に打ってもらった。

最初は遠慮がちではあったのだが後半は魔法に慣れてきたのもあって複数種類の弾を同時に発動させていたのであちらも良い訓練になったようだ。


そしてレベルのあがる速度もとんでもないようで徐々に他の魔法も使えるようになっていた。

「魔法の天才…凄いな」

恐らく沙月の予想通りなのだろうがこれで後衛としては頼もしすぎるほどのメンバーが加入した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る