書蠹の幽吟

ほんむしページ深淵しんえんむ、

かびすみたましいひたし、

なるかじりのおとは、

聖域せいいきしずかにおかす。


なにゆえうごめく、叡智えいち渇望かつぼうか、

ふる物語ものがたり呪縛じゅばくゆえか。

かみひだ)に潜《ひそむは、

永遠えいえんうず忘却ぼうきゃくいざない。


ばむ書物しょもつときらい、

やみうち記憶きおくむさぼる。

ひかりなきせい孤独こどくり、

たましい無音むおん奈落ならくしずむ。


嗚呼ああ書蠹しょと悽絶せいぜつなる宿命しゅくめいよ、

人間にんげんこころざしむしばなかれ。

しょひらき、知恵ちえかかげ、

真実しんじつみゃく悠久ゆうきゅううたう。


べ、遺産いさんまもれ、

未来みらいたねつむいととせよ。

ほんむしは、たましい試金石しきんせき

あい宿やどこころにて、永遠えいえんえん。




【登場した単語解説】

幽吟ゆうぎん

 物寂しげに詩や歌を吟じること。


かび

 湿気の多い場所などに生える微生物で、白・緑・黒などの菌糸状のもの。


うごめく:

 虫や小さな生き物が群がって絶えず動くこと。


叡智えいち

 深い知恵や賢明さ。英知とも書く。


ひだ

 布や皮膚などの折り目やひだ状の部分。


忘却ぼうきゃく

 記憶から忘れ去ること。


うち

 物の内部や心の中。


書蠹しょと

 書物を食べる虫。本を読み漁る人を指すこともある。


悽絶せいぜつ

 非常に悲しく痛ましいこと。


試金石しきんせき

 価値や真偽を試す基準や判断材料。元は金の純度を測る石のこと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る