転生したら没落寸前だったので、宝石売って立て直します!

徒華

第1話 転生したら没落寸前だった件。

「あーもうやってらんないよ!」

帰り道で叫ぶ私は社畜成人女性鈴木ありさ。

販売の仕事をしているが毎日店長とパートさんのサンドイッチに理不尽な客のクレーム対応!

もう毎日ストレスでそろそろハゲそうだ……。

レシートもないのに返品させろとか店長がシフト融通効かせてくれないとか、パートさんにこれ注意しといてとかもう知らないよ!自分たちでやれよ!

手取り20万でやりたいもんじゃないよ!

「はぁー。」

特大ため息をついた私はスマホを開く。

こんな時はネットで買い物するしかない。

ストレス発散にはお金が付き物なのだ。

「ここの新作いいなぁ。そっか今月の誕生石のエメラルドがメインか。可愛いなぁほんとに!」

大好きな宝石ジュエリーを買い漁るために次々とショップページを開く。

ふとスクロールする手が止まった。

そこには超有名ブランドの名前。

「25にもなって何してんだろ。周りは彼氏とか転職とか言ってるのに……。いつかヴァンクリ買うんだって言ったってこんな薄給企業じゃ買えないよ……。」

出会いもないし転職する勇気もない。

ひとり悲しく憧れのヴァンクリも買えずに死んじゃうんだぁ!

悲しくなってきてしまい首からかけたネックレスを撫でる。

母からもらったオニキスのネックレスを撫でることが悲しくなったり辛くなった時の癖だ。

オニキスの宝石言葉である成功を信じて撫でると少し元気も出てくる。

宝石好きの母の影響で私も宝石を集め始め家にはたくさんのコレクションやアクセサリーがあるが日常の8割はこのネックレスをつけている。

「エメラルドの指輪買っちゃおうかな〜。でももうちょい待ってアクアマリンのピアスもいいよなぁ。両方買っちゃおうかな。」

いや流石に両方は破産するか。安いブランドじゃないしな。究極の二択すぎる。

赤信号で止まりながらうーん。と唸る。

エメラルドのピアスもありなんだよな……。

そういえばピアスないからピアスにしちゃお!

2万7500円。まぁそんなもんよね。

カッコーカッコー。

いつの間にか信号も変わってたらしい。

天もGOサイン出してんだな!

エメラルドに近い色の青信号を見つめる。

スキップしそうなくらい浮き足立ってしまう。

ゴォォォォ。

時刻は22時30分。車通りの少ない道に突然大きな音が響いた。

その音は近づいてくる。

「え?」

右を見るとそこには真っ白な光が迫っていた。

終わった。

トラックが猛スピードで突っ込んできていた。

人ってこういう時ほんとに体動かないんだ。とか

仕事明日から行けないな。とか

エメラルドのピアス楽しみにしてたのにとか思った。

ドンッ!!!!

恐ろしい衝撃のあと私の体は吹き飛ばされた気がした。そこからの記憶は無い。



「うん……。すぴぃ。」

なんだかふわふわしたところで寝ている気がする。

もう全然寝れそうだこれぇ。

…………って今何時!

ガバっと起き上がった私はスマホを探す。

枕元にはない床とかなのまさか。充電あるかな?

「うっ……。」

突然頭に激痛が走る。

「あれ?そういえば私トラックに轢かれたんじゃ!」

体をぺたぺた触ると実体はある。

だが視界に入った髪の色が金になっていることに気づく。

「はぁ?!なんで金髪?!」

てかこの服なんだ……?

白いワンピース?みたいな。

とにかく周りの確認をしようと恐る恐るベッドから降りてみる。

「うわぁ……。すごいなこのベッド。天蓋がついてる……。」

お姫様のようなベッドに感心する。

一度落ち着いて部屋全体を見回すと中世ヨーロッパ風のお洒落な部屋っぽい。ちょっと古いけど。

鏡台が目に入り近づいて覗いてみる。

「ひぇっ!」

鏡の中の私は金髪でクリクリとした目はエメラルドのような緑の瞳がはまっている。

現実のボサボサとした髪に野暮ったい目はどこにいったんだ。

可愛くないか……?

思わず見とれているとコンコンとドアがノックされた。

「お嬢様〜!おはようございます〜!」

お、お嬢様だと……?

これあまりにも今更だけど転生してるよね?

貴族令嬢に転生してるよねこれ!

これイージーモード来た!

前世頑張ったからなぁ……

「入りますね?」

「あっは〜い!」

入ってきたメイドさんまじで可愛い。

「お嬢様、朝ごはんの用意出来ましたよ!」

「あ、ありがとう!」

「ふふふ。なんかお嬢様元気ですね。最近はこの家が没落しかけてることで心を病んでらっしゃる様子だったので安心しました!」

「んふふ……ってえ?!」

「ど!どうされました?!」

今没落って言った?え?

「っ……?!」

急にすごい頭痛が襲ってくる。

「大丈夫ですか!メルルお嬢様?!お嬢様!」

メイドさんが体を揺さぶってるのがわかる。

私の頭にものすごい量の記憶がなだれ込んでくる。

情報量が多すぎてまとめることが出来ないけれど分かったことがある。それは……。


「私の名前はメルル・ラブラドール。」




『ラブラドール家は今没落の危機に瀕している。』



絶望しかけた私だがメラメラと内側から負けたくない気持ちが湧いてくる。

私の第2の人生。このまま没落して溜まるもんですか!

今度こそ幸せを掴み取るんだ!









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