第10話:再帰する卵 ~問いが問いを呼ぶ時~

テーマ:再帰処理(Recursion)


🍳 シーン:家庭科室、卵と格闘中の放課後

「ねぇ遥斗、オムライスってさ、卵が先? それとも中身が先?」


真中紗和が、卵焼き用フライパンを傾けながら首をかしげた。


「中のケチャップライスが先なら包めるけど、

 でも外の卵から焼かないと、焦げるんだよね。

 ……これってつまり、“どっちから考えればいいかわかんなくなる系”じゃない?」


遥斗が、手を止めずに返す。


「それ、再帰ってやつだね」


💻 アルゴ、ひょっこり登場(鍋の湯気から現れる演出)

再帰(Recursion)とは?


「自分自身を定義に使う」処理方法


例:オムライスを作るには → 小さいオムライスを包んで、1枚増やす


「つまり、オムライス(n段)=卵+オムライス(n-1段)」

「ベースケース:n = 1 のとき、中身だけで完成」


🥚 紗和、ピンとくる

「え、ちょっと待って。

 それって……卵を重ねていくってこと? オムライス in オムライス?」


「そう。いちばん下に小さいケチャップライスがあって、

 その上に卵+ごはん、卵+ごはん……を重ねていく。

 “問いの中に、問いがある”構造ってやつだね」


🍽 実践!再帰式オムライス

紗和たちは、直径を少しずつ変えた卵焼きを何層も作っていく。


1段目:ごはん(ベースケース)


2段目:ごはん+卵


3段目:それ+卵


……以下、n段階に渡って包んでいく


こと葉がそれを見てつぶやいた。


「卵が卵を呼んで、最終的に“中身が見えない料理”になるんだね。

 まるで人の悩みみたい」


🌀 トラブル発生:卵が破れる

「うわっ、6段目の卵、破れた!」


「それ、再帰の“スタックオーバーフロー”みたいなもんだね」

遥斗が平然と言う。


「重ねすぎると、処理の限界がくる。人間の頭も同じさ。

 だから、“どこで終わるか”をきちんと決めておくのが大事なんだ」


📘 アルゴから補足

✔ 再帰には必ず終了条件(ベースケース)が必要です

✔ 無限ループにならないために、“ここで終わり”を明示しましょう


🧠 話は思考の深みに

食べながら、紗和が言った。


「答えってさ、ひとつじゃない気がする。

 それどころか、答えを考えることで、別の問いが出てくることもあるよね」


「そう、それが再帰的思考」

遥斗が答える。


「一度で“わかる”より、何度も問い直していくことで見えてくることがある。

 だから再帰は、“考え続ける力”でもあるんだよ」


🧠 今日のアルゴリズムまとめ

**再帰(Recursion)**は、自分自身を使って処理を定義する考え方


「終了条件(ベースケース)」がないと、永遠に終わらない


「何層にも重なる構造」を扱うときに強い(例:数列、木構造、料理?)


❓考えてみよう

「考えれば考えるほど、また別の問いが出てきたこと」はある?


自分の“悩み”にベースケースってあると思う?


🎁 エピローグ

皿に残った最後のオムライスを見ながら、紗和はぽつりと言った。


「……おいしいって思った瞬間が、きっとベースケースだよね」


アルゴが答えた。


「それが“味覚の最適解”です。迷わず、そこで止まってください」


次回 → 第11話「マージでマジック ~2つの記憶が重なる場所~」

(テーマ:マージソート)


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