第4話「リーンカーネーション」

(サイド:エレナ)

 私の記憶を辿ると…面倒くさい事になるの…そう、現世での話…私の母は再婚して、義理の父と兄が出来たんだけど…

まぁね…AVみたいな事が起こったのさ、父に抑えつけられ、兄の童貞を奪わされたんだ…(イヤイヤ…私の処女の方が、価値が高いだろ)頑張って…意識を飛ばし、肉体の感覚を殺した私に…


(回想)

「何だこの女…不感症か…全くヨガリも、イヤがりもしねーぜ」

エレナの上になる兄…

「コレなら、どうだ…」

父親は、彼女の腕に火の点いたタバコを押し付ける。

「熱っ!」

痙攣する少女…

「おお…締まる…」

(もう…限界…どうなってもいいや…)

決意したエレナ…


(再サイド:エレナ)

血の付いた包丁で、既に息絶えた…生ゴミ2体の…気色悪い、玉の付いた棒状の肉塊を切断し…ミキサーにかけてやった…

ハハハ…

まぁ…いいか…もう…

踏切の向こうから、光が私を迎えに来る…

鉄の塊に、身を預けよう…そんな私を助けに来る人影…

あっ…あなたは誰…そうか…運命の人、ディープ…

 私達は、今世で終わりを迎える。

エルフとなった私…ゴブリンになったディープ…やり直そうか…でも、すぐに終わる…

 ねっ…63号…


(サイド:ムツミ)

 ワタシは、63系電車…運転士の女は、尿意を気にして、注意力を欠いていたが、目の前に現れた女(後にして考えたら、エレナ)を轢いた時…その後ろの男(多分ディープ)に気づかず、思わぬ衝撃に…脱線してしまう。

「タスケテ…」

そこにひとりの少女が…カーブのその先に…あぁ…ゴメンなさい…でもいいの…次は、助けるから…

ギギギ…笑って…エヘッ…


(サイド:テルザ)

 私は、 照沙…例外無く、この名前のせいで学校でイジメられていて、家族からも虐待を受けてたの…

その夜も、裸足で線路の上を、行く当てもなくトボトボ歩いてた…

「私が…殺してあげる…」

血の付いたブラウスを着た、怖い顔のお姉ちゃんが、私の背後に現れた…手には、包丁…

(イヤだ…こんな、絶望的な世界だって…まだ、死にたくないよ…タスケテ…)

突然走って来た、お兄ちゃんが、怖いお姉ちゃんを突き飛ばし…電車が…

 助かった…でも、線路を外れたそれは…結局私に…

(死の運命からは、逃れられないの…)

「次の世界では…守ってあげる…」

(その声は、鉄の塊さん…次はロボになって…私を…)

 光が…眩しい…


 毎度毎度…馬鹿馬鹿しい、お笑いを…

義理の父と、兄の寝込みを襲い…肉塊にしたエレナ。

「ただいまーゴメンねぇ…えっちゃん、ママ遅くなっちゃった…」

何も知らない母親が、仕事を終えて…帰宅する。玄関にうつ向き、たたずむエレナ…

「クソが…あんなクズ…家に連れ込みやがって…」

 バスッ!バスッ!グジュグジュ…

彼女の口元に、久しぶりの笑みが浮かぶ…

 線路沿いを徘徊する、血まみれの彼女。踏切の光が、照らす先に半泣きの少女が…

「グスン…誰も…私を愛してくれない…」

定型文の、独り言を言う照沙(テルザ)…

「お嬢ちゃん…私が、愛してあげるぅ〜」

エレナは、確かにそう言ったが、照沙には違う言葉に聞こえた様で、慌てて逃げようとする…誤解したまま、走るテルザ…

たまたまコンビニ帰りの自転車で、通りかかった深海(ディープ)は、状況が掴めなかった…

その目に映るものは、血まみれの包丁を持った女が、小さい女の子を追っている絵面である。

ドンッ!

ディープが、エレナを…突き飛ばしたその先に、電車…(踏切の内側に入ってしまった)

慌てて、助けようとして、自分も巻き添えを食らう…一瞬助かった様に思えたテルザも…

「お兄ちゃん…ありがとう…でも…すぐ、私もイクよ…あぁ、眩しいな…」

脱線した、車両(63系)が、彼女の所へ…

 その時…時空が歪む…




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