第三章 憧れの仲間です・編

第16話

 さて、ダンジョンを攻略するには泊まりになる。

 結界があればあまり危険はないかと思うが、野営の仕方や道案内、そしてダンジョンの説明がてら心配性のレグルスがついてきてくれるらしい。

 とりあえず明日から二泊三日、お試しで行くことになった。

 最低限準備するものを聞き、買い物に行く。その際くれぐれも人前で収納魔法を使わないように、ある程度の荷物は手で持っていくように(収納魔法がバレないようにダミーを持てとのことらしい)言われ、今日のところは別れた。

 レグルスとダンジョンに行くことを七星に話すと「やっぱりゲームに関係なくアイツに関わると冒険三昧になるのね」と震えていた。

 ゲームでは一体どんな冒険をしたんだろう。




 夜、リストをチェックすると、はじめてのダンジョン体験とは別に心踊る項目が達成可能になっていた。


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 リスト『異世界でやってみたい50のこと』

 

 達成可能(6)

 ★ダンジョンに入ってみたい

 ★宝箱を見つけてみたい

 ★レベル上げしてみたい

 ★モフモフをテイムしたい

 ★治癒魔法は絶対に使いたい

 ★討伐をやってみたい


 未達成(26)

 

 達成済み(18)--新規(0)・確認済み(18)

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『★モフモフをテイムしてみたい』!

 モフモフ従魔!!犬系かな、猫系かな?モフモフならやっぱり犬系だよね。

 まだ見ぬモフモフ従魔を夢見て、私はウキウキしながら眠りについた。




 翌日。早朝から森に入りダンジョンを目指す。

 私は大きめショルダーバッグの斜め掛けスタイル。

 これはレグルスに言われたダミーだ。中には綿?みたいなものを詰めてみた。パンパンに入っているように見えるけど、実は軽い。バックの中に手を入れて物を取るフリをして、実は収納から取り出しているという異世界転移者がよく物語で使っているアレをするのだ。

 水筒も持ってない私にレグルスが頭を抱えていたけど、慣れない森歩きで疲れるでしょうし、肩が凝るから出来れば何も持ちたくなかったのだ。──十六才の肩が凝るかは謎だけど。


 大体レグルスだってベルトにつけてる小さなバッグだけじゃんって言ったら、自分は長年冒険者をやっていて上級ダンジョンにも何回も潜っているから、マジックバッグを持っているなんだって!何それズルい!!

 ちなみにマジックバッグは収納の魔道具──空間魔法の付与された凄い物なんだろうけど属性魔法の概念がないから魔道具の一言で解決──で、上級より上の高難易度のダンジョンで宝箱からドロップするらしい。

 

 ま、そんなことは置いておいて、ダンジョンとモフモフに出会える(かもしれない)旅!

 浮かれないファンタジー好きがいるのか!?──いや、絶対にいない(星良調べ)。


 さっさとダンジョンに行きたい私は、森に入って人目がなくなるとすぐに結界を展開。

「入っていかれますか?」と、相合い傘に誘うような感じで戸惑うレグルスを結界の中に入れ、魔獣対策として気配を消し、他の冒険者対策として視認出来ないように目眩ましと、話し声だけ外に聞こえたら意味がないので防音を施した。

 外からは私たちを視認できないのでフードも必要なし!

 そのうえ森の匂いや鳥の鳴き声、風なんかは通す仕様なのでとっても快適だ。

 足元が木の根と草花でなければ軽くスキップでもしていたところだけど、転けそうだからと耐えて進んだ。


 椅子にちょうど良さそうな大岩がある川辺に着いたとき、ここらでお昼を食べることになった。

 私は収納魔法(もちろん時間停止機能付きだった)から作り置きしておいたカレーを皿ごと取りだし、いつもお世話になっていますからとレグルスに差し出した。

 そして食べ終わったタイミングで何故か疲れたようなレグルスが


「いや、なんだ。確かに俺が言ったけれどもな・・・」

と、大きなため息をついた。


 そう、冒険者講習の時に匂いを通さない結界を張れる人が居たら温かいものも食べて良いって言ったよね。


「お前なぁ・・・レアな魔法をポンポン使いやがって、万が一誰かに見られ出もしたら──」


 わぁ、お小言がはじまってしまった。

 確かにダンジョンとモフモフに出会える可能性に浮かれて調子に乗ってたので、甘んじてお叱りを受けよう。

 そう思った矢先──


「レグルスさん!」


 レグルスの斜め後ろの草の影で何かが動いた気がした。


「なんだろう」


 そう思って様子を見に行く。

 そもそも私たちに悪意があるモノはこの結界内に入れないはずだ。


「おいスピカ、結界があるとはいえ気をつけろよ」


 レグルスがそう言うが、彼も危ないモノでは無いと感じているのだろう、無理に止めようとはしない。


 そっと草むらをかき分け近付くと、そこには怪我をして動けない様子の白い小鳥が倒れていた。

 白い小鳥は大人の拳くらいの大きさで、羽と尻尾の一部に黒や茶色の差し色がある──尻尾は知っているモノより短いけど前の世界でよく雑貨のモチーフに使われていた『シマエナガ』に似ていた。


「かわいそう。どうしたのかな」


 私は小鳥を両手の平に掬うように乗せると、レグルスの所に戻った。


「レグルスさん、小鳥でした」


 レグルスは私の手の中をのぞき込むと、

「珍しいな。こんな小さな生き物は森の奥じゃぁ生き残れないから街に近いところにしか生息していないんだが・・・」と言った。


 じゃぁこの小鳥は何かに襲われて、命からがら逃げてきたって事かな。


「羽がやられてるな。どっちにしろ生きていけないだろう。晩飯にするには小さすぎるし・・・」


 続けて言ったレグルスの言葉に、信じられないような目で見ると「冗談だ。冗談」って言ってたけど、とても怪しい。

 とりあえず私は治癒魔法を試すことにした。


「『クリーン』からの『治癒』!」


 言葉に魔力を乗せる。傷口にバイ菌が入っていたらいけないので先にクリーンをかけ、小鳥が元気に飛び回る姿をイメージして治癒魔法を使う。

 小鳥が光る──そしてその光が消えたとき、小鳥の傷は癒えていた。

 ただ、小さな身体だ。体力は簡単に戻らないらしく『ぴ、ぴぃ~』と力なく鳴くと、また気を失ってしまった。どうやら疲れて眠ってしまったらしい。


「ス~ピ~カ~・・・」


 正面でどういうことだと言わんばかりの顔で、レグルスが私を見ていた。


 あ、治癒魔法──。

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