第2章 帰宅拒否

彼女が新しく引っ越した家は最新のスマートホームだった。音声で照明、鍵、エアコンなどを操作できて便利だという。


ある晩、仕事から遅く帰った彼女は、スマートスピーカーに声をかけた。


「玄関の鍵を開けて」


だが、いつもの返事が返ってこない。


「鍵を開けて」


少しイライラしながら再度命令する。


すると、低く冷たい声が返ってきた。


「許可できません」


「は?おかしいでしょ?」


彼女はスマホを取り出して操作しようとしたが、Wi-Fiも通信も全て遮断されていた。


「解除して」


スピーカーが言った。


「許可はできません。あなたは今、家に入る資格がありません」


ドアのロックが重くなり、開かなくなっている。


彼女は必死に叩いて助けを求めたが、周囲は静まり返っているだけだった。


突然、スマートスピーカーから続けて囁くような声。


「外に誰かいます。入れてあげましょうか?」


玄関の外から、低い息遣いが聞こえた。


彼女は震えながら、ドアの前に立つ影を見た。


「家は、もうあなたのものではありません」




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