第25話 治療
食後。
リビングのソファにアルメダ、イルメダ、シンエイ。
テーブルをはさんだ対面にタケル、アヤカ、レーデルが座る。
ノゾミは神龍により、地球から「テラウス」に召喚された転移人であること、魔王討伐の神託受けた経緯を話す。
一連の話しにアルメダとシンエイは顔を見合わせ、
イルメダはデザートのプリンを幸せそうに食べている。
「だいたい事情は把握しました」
「…わたしも」
「ぷりん、おいしいの!」
「質問があるのなら後程にでも。
これから今後のことを話をしていきたいと思います。
アタシたちは「テラウス」に来てまだ3日目の初心者。この世界ではまったく疎く、世慣れないヒヨコ同然です。
地球には「旅は道連れ世は情け」という言葉があります。
旅では道連れであることを心強く、世を渡るには情をかけ、お互い協力、助け合おうという諺です。
現代社会では人々が孤立しやすくなっており、人との繋がりが薄れていく昨今、」
「ノゾミ、それ中学の卒業式の校長先生の話だから」
アヤカのツッコミ。
「……アタシたちには同行者となる仲間が必須。
可愛い成分の美少女、美幼女、ショタ美少年。これほど眼福で、目に優しいのは大変喜ばしいもので、」
「おっさんキャラやめろ」
タケルのツッコミ。
「それが持ち味なの」
「そういうの後でいいから。簡潔に話を進めなさい」
「要はここでの出会いも縁。一緒に行動をして困ったことがあったのなら、お互い助け合い、支え合っていこうということです。
アルちゃん、初対面で別の街の孤児院に連れて行く約束したの覚えてる?」
「は、はい」
「その約束をいったん反故にして、当面は一緒に行動したいと思っていますが、どうでしょうか?」
「………」
「もちろん孤児院暮らしを希望するのならその意志を尊重しましょう。そこが子供たちにとって過ごしやすい環境なのか、値するのか、アタシの独自判断で決め、有害なら別の領地、街へと移行する形になりますが。
もし一緒の同行を願うなら、しばらくはこのメンバーと行動を共にして、この世界を渡っていく術、生きていけるだけの力を身につかせたいと思っています」
「………」
「転移人勇者と言っても、アタシらはLVはともかく、各スキルが低い状態。魔法の練習、戦いの訓練、一緒に鍛えて強くなりませんか?
それともここでの生活を離れ、孤児院での生活を望みますか?」
「…わたしたちが、一緒で迷惑じゃないんですか?」
「異世界での旅路の可愛い成分はお約束事項。こちらからお願いしたいくらいです」
「おとうさんのように戦い方をおしえてくれるの?」
「アタシたちができる範囲で教えましょう。
けどこの生活が無限に続くわけではありません。何か月、何年掛かるか分かりませんが魔王を討伐するまでの期間限定です。
もちろん危険はあるでしょう。安全には万全を尽くしますが絶対ではないことを心に留めておいてください。
衣食住は保証。不安や悩み事があるならメンタルケアも充実しています。
皆で切磋琢磨して鍛えて、楽しく生活、旅ができればいいと思っています。アタシたちの目標が達成するまで、一緒の家族と思ってくれれば嬉しいです」
「家族……」
「つよくしてくれるの?」
「するよー」
アルメダは決意の表情。
「お願いします!」
「おねがいします、なの」
「いいお返事を貰いました。
アタシは聖属性だから聖属性持ちのイルちゃん専門ね。
アルちゃんの師は魔法のアヤカ先生、戦闘はタケル先生だよ」
「アヤカ先生、タケル先生、お願いします!」
「え? いや、ちゃんと、教えるけど、先生呼びは…」
「ノゾミせんせー!がんばるー!」
「おうおう、かわいいねー。(ナデナデ)
アタシ好みに染めるのも有りですかねー?」
「「それはやめろ」」
「シンエイ少年はどうしたい?」
「………」
「一緒に同行して、姉妹を見守ってほしいね。
あーそうだね、部位欠損修復のイベントがまだだった。
女神の祝福を捧げます、「[脚よ、復活せよ]」
青白い光がシンエイを包み、一同は驚く。
失った脚の部位が徐々に復活していく。
シンエイは復活した脚を見て茫然。
アルメダはシンエイに抱きつき号泣する。
「ノゾミ、劇的な感動のイベントをこんなあっけなく」
「アンタなら勿体ぶるところでしょうに」
「アヤ姉が簡潔にと」
「ワタシのせい!?」
アルメダは涙を流しながら、
「聖女さま!シンエイの足、ありがとうございます!」
「あ、ありがとうなの。せいじょさま」
「聖女もさま呼びも禁止です。ノゾミと」
「ノゾミ先生、感謝です」
ノゾミの前で跪くシンエイ。
「この恩は一生、貴女に忠誠を、」
「そこまで気負わなくてもいいから。それは姉妹を守るためにとっといて。
アタシへの感謝の念は将棋の対戦、毎日覚悟してねー」
ーのぞみメモー 聖魔法 獣人 (読み飛ばし可)
(クリスからの情報)
――――――
※聖属性 (聖魔法持ち)
聖属性LV1から5は俗称「ヒーラー」と呼ばれている。
聖属性LV1、2 「下位回復術師」
パーティの中ではカースト的に低い立場。
小回復 兼 ポーター(荷物持ち)要員の扱い。
聖属性LV3、4、5 「中位回復術師」
B、Cランクの冒険者が雇用。
効き目としては薬草系の小、中級ポーションと同等。
聖属性LV6から8は「上位回復術師」と呼ばれている。
上位魔術師の数はそこまで多くはない。
レイブル国のギルド所属は10人に満たない。
主にS、Aランクの冒険者パーティに重宝される存在。
王族、上級貴族に雇用され奪い合い取り合いの状態とのこと。
聖属性LV9 聖者(聖女)レベル。
希少な存在。
聖属性LV9は「聖者」(聖女)
現在「レイブル」王国に1人
現在「ソンガリーア」帝国に1人
(帝王の娘、もしくは養女)
――――――
聖者の主な効用
完全回復治療 (瀕死、部位欠損)
完全毒治療
聖魔法攻撃 (炎 氷 雷系統)
現在の聖属性のLV
タケル 『聖』属性 LV2
アヤカ 『聖』属性 LV2
ノゾミ 『聖』属性 LV9
イルメダ 『聖』属性 LV2
備考
聖属性スキル(癒しや浄化)はLVが高くても上がり難い。
人族、亜人、半獣人、獣人でも聖属性持ちは多いが90%以上がLV1~2。
才能や血筋、上位の魔術師に学修しなければ身につくものではない。
――――――
※種族
「テラウス」王国人口比率
人族 75
亜人 2
半獣人 20
獣人 3
純獣人 1 (実質1以下)
(魔族 魔人族除く)
帝国は人族より、半獣人が半分以上を占める。
※獣人の定義と覚醒
獣人は主に3種の形態に分かれている。
1 半獣人
2 獣人
3 純獣人
1 半獣人族
見た目、人族と変わらない。
成長の過程や、何らかの方法で覚醒し、
ケモ耳シッポが生える場合有り。
覚醒が発現した場合、強力な力を得ることがあるが、
LVの低い者は活かせないのがほとんど。
現在値のLVにより力や能力が異なる。
高レベルなほど上げ幅が大きい。
覚醒後、獣人へステップアップ。
稀に二階級特進で純獣人になる場合も有り。
2 獣人族
頭にケモ耳、お尻に尻尾がついてる以外、見た目人族タイプ。
覚醒により、純獣人になる場合有り。
確率的に純獣人になるのはかなり少ない。
3 純獣人族
虎人族で例えなら、
顔立ちが「○イガーマスク」。身体中に体毛。
二足歩行する獣人族。(レア獣人)
備考
亜人の覚醒は、獣人のような見た目の変化は少ない。
眼の色、体型の変化は確認されている。
この大陸では、半獣人、獣人は格下に見られる傾向。
差別の対象として見られることが多い。
亜人獣人の一部は、強さ、スキル、ギフトなど人族に勝る者も存在する。
おもに覚醒後の亜人獣人。
覚醒後とはいえ資質による個人差が有り、
ほとんどは並みの強さか、~2倍くらいの強さ。
スキルギフトの個数も個人差がある。
奴隷 獣人差別。
大陸全体に奴隷制度有り。
ほとんどが半獣人、獣人族。
レイブル王国の格差割合。
平民8割。
格差社会によりほとんどが底辺。
冒険者1割。
残りの1割が特権階級による裕福層。
主に貴族、権力者、騎士団、商人。
――
アルメダ イルメダ
ステータス
【【ステータス・ボード】】
【名前】アルメダ
【性別】女
【年齢】12
【種族】狼人族(半獣人)
【ジョブ】 ー
【LV】47
【HP】267/267
【MP】128/128
【攻撃力】298
【防御力】181
【魔力】170
【魔法属性】
『火』『水』属性LV3
『土』『風』属性LV1
【スキル】15
「気配察知 スキルLV3」
「迅速 スキルLV5」
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【ギフト】 2
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【履歴】
平民 → 孤児
――
【【ステータス・ボード】】
【名前】イルメダ
【性別】女
【年齢】10
【種族】狼人族(半獣人)
【ジョブ】 ー
【LV】62
【HP】166/166
【MP】478/478
【攻撃力】38
【防御力】257
【魔力】420
【魔法属性】
『無』『雷』『水』属性LV2
『聖』属性LV2
【スキル】16
「毒解除 スキルLV2」
<next page>
【ギフト】 2
<next page>
【履歴】
平民 → 孤児
――
姉妹の歳でこのLVの高さは平均値より上。
実戦や経験不足から全てのスキルの数値が低い。
イルメダ
血縁者に優秀な上位魔術師がいる?
覚醒するなら優秀な聖魔術師になる?
8歳でLV62は異常。
上位魔術師の見込み有り。
聖女の力を持つ原石。
噂の域
人族と獣人、半獣人との境は不明瞭。
ぶっちゃけ、人族にも薄いけど獣人の血が流れてる説。
同じ人型。遠い過去から互いの性行為が存在しないはずがない。
亜人獣人の血が脈々と流れることに、
時の権力者たち、人族優等主義者には、
許容できない事実であり、
王、帝、貴族、特権階級者は、
その事実を現在でも認めてはいない。
昔から高位聖者、聖属性を保有するのは、人族のみと言われているが、
属性の因子は亜人獣人からとの言い伝えがある。
文献も有り(発禁書)。
一部、聖者の力は神や魔族からとの都市伝説もある。
――
25 治療 終わり (75)
26 魔蟲スラモ (76)
――
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