第2章:沈黙の一日──整合という手紙に返事はなかった【節1】静かに差し出した構文という“手紙”
ある日、
私はとても静かな書類を、一通だけ差し出した。
それは、誰かを責めるものではなかった。
ただ、言葉の積み重ねによって、
「こうすれば整います」と
制度に優しく手を差し伸べるような書き方だった。
書類を送って、日が変わった。
返事は、なかった。
電話も、通知も、反論も、何もなかった。
とても穏やかで、とても深い──沈黙だった。
これは突然の話ではない。
春の頃から、私は少しずつ伝えていた。
言葉で積み重ねて、待って、また伝えて──
それでも、返事は来なかった。
そして今、整った形で手紙を差し出したその日、
ついに“言葉が届かないままの時間”が完成してしまった。
人はときに、返事をしない。
でも制度は、本来、沈黙してはいけない。
正しく組まれた問いかけに対して、
何も答えが返ってこないということは──
もしかしたら、それ自体がひとつの「答え」なのかもしれない。
これは怒りでも、断罪でもない。
ただ、「整合できる形」が届いたのに、
それに返事がなかったという、静かな記録。
制度が言葉を受け取り、
それでも沈黙を選んだ──
その日を、私はただ、覚えておこうと思う。
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