第9話
週末、桜音さんと図書館に行った。
「さっそく作詞をしよう!」
小声ではりきって言う桜音さん。
「先にどんな曲にしたいか決めた方がいいね」
僕が言った。
「どんな曲にしたいか?うーむ」
桜音さんは悩んでいたので提案してみた。
「せっかく人の前で歌うなら、自分を変えるための覚悟の歌にしたいな。僕は桜音さんのおかげで少しずつ変われてる気がするんだ。だから、しっかり覚悟を決めたいな」
「そうだね。そういう曲にしよう!」
覚悟、桜音さんはどんな覚悟にするんだろう?訊いてみることにした。
「桜音さんはどんな風に変わりたいの?」
桜音さんは少し驚いた顔をして話し始めた。
「私?私は、、もっと前向きになるかな!私ね、数年前お母さんが亡くなってからずっとお母さんとの約束守ってるんだ。前向きに生きるって!だから、、お母さんを心配させないようにもっと前向きにならなくちゃ、、」
途中から苦しそうな表情になった桜音さんを見てどうすればいいのかわからずおろおろしていると桜音さんが言った。
「今まで誰にも話したこと無かったけど、奏太の言ってたことわかるなって思ったらなんか奏太ならわかってくれるかなっておもって、、あれ、、なんでだろう、涙が、、」
桜音さんの頬に涙が流れていてもっとどうすればいいのかわからなくなってしまった。とりあえずハンカチ!僕は焦りながら桜音さんにハンカチを渡して背中をさすった。桜音さんが気持ちを伝えてくれたんだから、ちゃんと返事をしなければ。なんて言えば良いかはわからない。けど、今の僕の気持ちを伝えよう。
「そうだったんだね。大丈夫だよちゃんと前向きに生きてるよ!でも、、無理してまで笑わなくてもいいと思うよ。桜音さんは十分頑張ってるんだから!泣きたいときは泣いていいよ!僕がハンカチ貸してあげるから」
言ってからなんだか恥ずかしく思っていると桜音さんが顔を上げて言った。
「お母さんだって私が無理してまで笑うのなんて望んでないよね!よし!無理しないで楽しく生きる!これが私の覚悟!ありがとう、奏太!」
「奏太はどんな覚悟にするの?」
僕の覚悟は決まっている。
「僕はね、ずっと親友のせいにして人と関わるのを避けてきた。だから、もう親友に心配させないように人と関わってみようと思う」
僕が言うと桜音さんが笑顔で言った。
「いいね!2人でがんばろう!次は曲名だねー」
悩んでいると桜音さんが言った。
「『僕らの覚悟』はどう?」
僕が言った。
「いいね。僕らの覚悟の曲だから変にひねった曲名よりまっすぐな曲名の方がいいからね!」
「決まりー!順調順調!」
急に肩を組まれてびっくりしたのと恥ずかしさで固まってしまった。
「奏太どうしたのー?次は歌詞作りだよー?」
桜音さんに話しかけられて恥ずかしさを隠しながら返事をした。
「だ、大丈夫。歌詞作ろう」
そう言うと桜音さんはやっと離れてくれた。歌詞作りは思っていたよりも順調に進み、夕方には解散した。作曲は桜音さんがするので僕は待つだけだが、僕にも出きることはないかな。考えたものの、迷惑かもしれない。桜音さんに手伝いを求められたら手伝うくらいがいいかもな。そう考えているうちに家に着いた。家に帰ってもずっと桜音さんのことを考えていた。なんだろうこのもやもや、、、。なんだか心がもやもやすることに気づいた。まさか、、、ね。
僕がいつも通り屋上でお昼を食べていると、珍しく桜音さんが昼休みに屋上に来た。
「奏太ー!お待たせー!」
僕は訊いた。
「いつもお昼は友達と食べてるのにいいの?」
「大丈夫!私は奏太といると楽しいから!」
桜音さんの返答が嬉しくてでも恥ずかしくて目をそらした。
話を変えよう、。
「そうなんだ。そ、そういえば作曲の調子はどう?」
僕が訊くと桜音さんは難しい顔をして言った。
「それがねー大事な曲だからこそこだわって全然進まないんだよね」
桜音さんの役に立てるかもしれない!
僕は少し考えて言った。
「それなら気分転換でもしてみるといいかも」
「気分転換?」
「今日の放課後桜音さんが好きなところに行ってみたらどう?」
僕が提案すると
「私ね、行ってみたいカフェがあるんだけど、道がわからないから奏太も一緒に行かない?」
桜音さんが言った。
カフェか。いつも行きたくても行けないから行ってみたいな。でも、2人でカフェってデートみたい、、。
僕が目をそらしながら言った。
「それって、、、デートに誘ってるみたいだね、、、」
桜音さんも恥ずかしそうに目をそらしたが、すぐ僕のほうに向き直り言った。
「気づかなかった。でも、私は奏太とカフェに行きたくて、、、。一緒にカフェ行ってくれる、、、?」
か、かわいい、、、。見つめ合ってるのが恥ずかしくて目をそらして言った。
「、、、別にいいよ」
「え!いいの!?やったー!」
桜音さんは嬉しそうに笑った。
「どこのカフェに行きたいの?」
僕が訊くと
「チェリーブロッサムってところなんだけど、場所がわからなくて。教えてー!」
桜音さんが答えた。
場所わからないんだ。どこだろう。
僕が苦笑いして言った。
「場所わからないのに行こうとしてたんだ。まあ、一緒に探してあげるよ」
「わーい!奏太優しい!」
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