第17話 伯爵邸


俺たちは、商業ギルドを出て、領主邸に向かうのであった。

「先日旅の途中で領主様から馬車のご注文を受け参りましたフォルテと言うパーティーです」

「はい主人より伺っておりますどうぞお入り下さい」


俺たちは、馬車を屋敷の入り口前に着けた

「お待ちしておりました。フォルテの皆様、私伯爵家執事のセバスと申します。どうぞお見知りおきを」

「こちらこそよろしくお願いします。セバス様」

「ではご案内いたします」


俺たち3人伯爵様の応接室に案内され、その部屋で待っていた。しばらくすると伯爵様が来られた。

「よくこられた。フォルテの皆様、あなた方が今大活躍のフォルテの皆様だったのですね。偶然とは恐ろしいものだ。冒険者ギルド商業ギルドの双方から聞いています。とても素晴らしい活躍でSSSランクとなったそうですね。また数々の発明品をこの世にもたらしてくれたそうで非常に感謝しています」

そう言って、伯爵様は頭を下げてくれた。


「伯爵様、頭をお上げください」

なんだか先日とは少し態度が違うような。どうしたのだろう言葉遣いも丁寧だし。とりあえずこのままにしておこう。伯爵様はそういう態度をとられているんだから。

「ありがとう。そういえばあなた達はSSSランクになられたとか、これは数百年以上出ていないとんでもない偉業です。素晴らしい方が我が領に居てくださることがどれだけ心強いか」


「伯爵様、私達はこの後旅に出ます。いずれまたこの街に戻ってくる事がありますので、その時にはよろしくお願いいたします」

「そうですか、それは残念です。ただこの街でSSSランクにあなた方が上がって下さったことが記録として残りますので、私としても鼻が高いですね」


「伯爵様、そんなに我々に対して丁寧な言葉を使わないでください」

「何をおっしゃいます。ご存じないのですかSSSランクの方々は侯爵様に匹敵するのです。いずれ王宮より呼び出しがかかると思います。その時に爵位を賜ると思います。多分賜る爵位は侯爵位になると思います。」


「侯爵ですか。そんなすごい爵位を頂けるなんて驚きです」

「その時が来ましたら、どちらかのギルドから連絡が入ると思います。ところで本日は例の馬車ですね。楽しみにしておりました。では外へ参りましょう」

「はい。では、外に馬車が停めてありますので、ご覧になってください」


伯爵様と俺たちは馬車の所へ向かった。

「伯爵様、馬車の中をご覧ください。この馬車は空間拡張機能が付いており、部屋が6つあり、まずはベッドルームが2つ、リビングが1つ、トレイニングルームが1つ、風呂が1つ、トイレが1つ付いておりますどうぞご覧ください」

「なんとそんな凄い事になっていたのですね。では見てみましょう。」

「ではご案内いたします。まずこちらの部屋がベッドルーム各部屋にベッドは2台ずつあります。全部の部屋は6つですのでこちらがトレイニングルーム、次にこちらが風呂です。そしてこちらがトイレ、こちらがキッチン、そしてこの部屋はリビングです」

「なんと素晴らしい。こちらはもう1台注文できますか」

「予備ですか」

「いいえ、王宮に献上しようと思っております」

「そういうことですか」


いずれ侯爵に任ぜられるなら、もうアイテムボックスは隠す必要は無いな。

俺はアイテムボックスから馬車セットを出した。

「なんと、荒神殿はアイテムボックス持ちでしたか」

「はい、冒険者ギルドのサブギルドマスターにアイテムボックス持ちだと、貴族様や大棚の商会にしつこく勧誘されると言われまして、自由に冒険をしたかったので、魔法の袋を準備してそこから出しているように見せていたのです」

「なるほど、そうですか。確かにその通りですね」

伯爵様は豪快に笑った。


「そういえば、この馬車には、王家の家紋と私の馬車には、当家の家紋を入れていただきたいのですが、大丈夫でしょうか」

「はいすぐに入れさせていただきます。家紋を見せていただけますでしょうか?あと大きさはどれ位にされますか?また位置は左右と後ろでよろしいでしょうか」

「セバス当家の家紋を持ってきなさい。また王家の家紋も持ってきなさい」

「承知いたしました」

執事のセバス様が家紋を持ってきてくれた。


「ありがとうございます。では家紋を入れさせていただきます」

それぞれの馬車に家紋が入った。

「お〜〜素晴らしい。あっという間に家紋が入った。やはり魔法とは凄いものだ」

「ありがとうございます。伯爵様」

「では、料金はセバスの方から受け取ってください。しかし本当にこれほど素晴らしい馬車とゴーレムセットが白金貨5枚でよろしいのですか?これなら10枚で良いのでは」


「大丈夫です。貴族の方で伯爵様が初めてのお客様となりますので、特別に白金貨5枚で値付けをさせていただいております。私たちはこれを魔法で作っていますので元手は殆ど掛かっておりません。時間を必要とするだけですので、その時間の代金と思っていただければよろしいと思います。ですからご安心下さい伯爵様」

「承知いたしました。いずれ侯爵となれる方です秘密は守ります」

「本日はありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました。これからも宜しくお願いいたします」


この後伯爵様は王家に馬車を献上した。そして我々は王宮から呼び出しがかかった。

ここは、王宮の謁見の間。両側にこの国の貴族全てが並んでいる。王様に近い方から偉い順らしい。俺たちは扉を入って王様の前まで進んで膝まずいた。

「よくぞ参られたSSSランクであるフォルテの皆よ。そなた達の活躍は冒険者ギルド及び商業ギルドより聞き及んでいる。今日ここに招いたのはそなた達のわが国に対する貢献に応じて、爵位を授けようと思い来てもらった」


「ありがたいのですがご質問がございます。よろしいでしょうか」

「良いぞ。どのようなことが知りたいのだ」

「はい、実は私どもは今後も旅をして参りたいと思います。そのようなものに爵位をいただいてもその爵位にふさわしい仕事ができないと思われます。ですので辞退させ得て頂きたいのですが」


「その辺は問題ない。一切他の貴族たちと同じような仕事をする必要は無い。そなたたちが旅をしている事はよく知っている。ゆえに形だけの爵位としてある。だから気にせんでも良い。爵位を受けてくれるな」

「そういうことでしたら、喜んで受けさせていただきます」


「よろしいではまず荒神そなたに第3級侯爵の位を授ける」

「はい、ありがたく頂戴いたします」

続いて、あかりと柚子も侯爵位を得た。3人とも侯爵となった。

「では、侯爵となった証に、短剣を授ける」徳川時代で言う印籠の役割だろうなぁ。

「ありがたき幸せ」この時セリフを言わなくてはいけない。これは貴族となった印の短剣をもらったときのセリフである。

「我が剣は陛下の為、国の為、民の為に振るわれる」

「頼むぞ」

こうして、俺たちは侯爵となった。


侯爵となった後、与えられた王都の屋敷で過ごしているといよいよ王都でのオークションが始まった。今回のオークションは噂を聞きつけた世界中の国家、貴族、商人が普段滅多に出ないモンスターの出品の多さを聞きつけて集まり、オークションが始まって以来の人数となった。ほぼ世界中の国家、貴族、商人が集まったと言って良いだろう。


出品はアラクネ1、トレント120、セイレーン25、サハギン35、グリフォン16、サーベルタイガー15、ペガサス65、一角獣60、スレイプニル8、ベヒーモス3、クラーケン3、ブラックミノタウロス5、ボスブラックミノタウロス1、吸血鬼バンパイア5、ノーライフキング6、死霊王リッチ5、スリーピーホロウ3、ワイバーン4、地竜5、レッドドラゴン3、ブラックドラゴン3、エンシェントドラゴン1となった。やはりドラゴン類は、世界各国の王族が落札していった。

久々の大量出品となった今回のオークションは競り合いが過熱し全てが落札された。

合計金額は白金貨725枚、大金貨252枚、金貨596枚となりオークション史上1回のオークションでの最高額を記す事となった。



お読みいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

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