第13話 新商品の発明

俺たちは冒険者ギルドで商業ギルドの場所を聞き、商業ギルドにやってきた。

俺たちは商業ギルドの扉を開けて中へ入った。

商業ギルドは冒険者ギルドに比べて空いている。そんなにクエストを受けるような事がないから当然かもしれないなぁ。

「受付に行こう」


俺たちは、商業ギルドの受付に並んだ。前に1人しかいなかったので、すぐに俺たちの番がやってきた。

「すいません。登録をしたいのですが、どのようにすればよろしいでしょうか」

「はい、商業ギルドに登録するには物品の販売等をするのか、何か新しい発明品を登録するのかどちらかになります。それによって記入いただく事は変わりませんが、登録料が変わって参ります。お客様はどちらで登録をされたいでしょうか」


「とりあえず発明品を登録したいのですが、ちょっとお聞きしたい事があります。発明品を登録すると登録料とかが掛かると思いますが、どのようになっているのかと言う点と、その登録した発明品の特許料みたいなものが何年間続くのか、そして何パーセント位になるの等を知りたいのです」


「ご質問の内容にお答えさせていただきます。まず発明品を登録される場合のギルドカードは、発行手数料登録料込みで一律銀貨3枚となります。なお発明品のパーセンテージは発明者の方に、一律20パーセントとなります。なお発明者の方にその権利は20年間続きます」


「了解いたしました。結構長い間続くのですね。その発明品を登録する手数料はお幾らでしょうか?また契約書等は交わすのでしょうか?そしてその契約書は、各商業ギルドに廻り、同じものが真似されていた時はどうなるのでしょう?」


「はい商業ギルドではヤオヨローズの神(創造神)様に、発明品を誰が発明したかを、発明者と一緒にギルド職員が契約台の上に置き、他に同様の発明品が無いと認められると、神様の元へ届き台の上から消えますのでご安心ください。それが発明者の発明品と認められ、特許契約が完了したと言うお知らせです。その時の手数料は銀貨1枚となります尚、神様との特許契約なので、他の人は真似することはできません」


「わかりました。では登録をお願いいたします」

「ではこちらの書類にご記入をお願いいたします。もし文字が書けないようでしたら、私達が代筆いたします」

「はい、大丈夫です。私達は文字が書けます」


俺たちは必要事項を記入し、最初の登録手数料銀貨3枚を支払った。

「では登録が完了いたしました。こちらが商業ギルドカードとなります。最初はアイアンカードとなります。順次発明品が増え、売り上げが上がっていくとブロンズカード、シルバーカード、ゴールドカード、最終的にプラチナカードとなります」

「わかりました。ありがとうございます」


「既に発明品とかはお持ちでしょうか?」

「いいえ、本日は登録をしに来ただけです。後日発明品は持って参ります」

承知いたしました。後日の発明品お待ちいたしております。本日はありがとうございました」

「ありがとうございました」


俺たちは商業ギルドを後にした。

「あかり、柚子、じゃあホテルに帰ってリバーシ、トランプ、ジェンガ、マヨネーズ、醤油、ソース、ケチャップ等色々欲しいものを作ろうぜ」

「そうね。早くホテルに戻っていろいろ作りましょう」

「わかった。あかり、荒神、早速ホテルに戻りましょう」


俺たちはホテルに戻った。ホテルのフロントで、スイートルームは幾らするのか聞いてみた。すると今の部屋より1日あたり金貨2枚増えるだけらしい。俺たちはスイートルームが空いてるかどうか聞いて、空いていたので、スイートルームへ変更してもらった。


部屋は401号室角部屋だ。ここも美幌峠のホテルと同じような作りで5階にジャグジーがついている。なかなか良い部屋だ。同じように、彼女達に先に部屋を選んでもらい、残った部屋を俺が使う事にした。


「俺たちのスキルには、創造がある。2人とも好きなやつを作ってみようぜ」

了解、私はリバーシを作ってみたい、いいかなぁ?」

「オーケー、じゃあ、私はトランプを作ってみるね」

「じゃあ、俺はマヨネーズとミード酒(ノンアルコール)を作ってみるよ」


3人はそれぞれ自分の作りたいものを作り始めた。そして3時間が経った頃、全員が出来上がったものをそれぞれ持ってきた。

あかりのリバーシは、日本で見たものとそっくりだ。庶民用、豪商用、貴族用、王族用

と、4種類用意して来たみたいだ。それぞれ豪華さが違うみたいだ。柚子は、トランプを作ってきた。


トランプも種類があり、庶民用、豪商用、貴族用、王族用となっている。違いは絵柄と箱だ。俺はマヨネーズ、これは日本の味を思い出して、色々味見をしながら作っていたので、結局時間がかかった。

「みんなの作品をそれぞれがちょっと使ってみようぜ。マヨネーズは食べて味見をして欲しい」

「わかったわ。まず味見をしてみましょう」

「そうね。マヨネーズ食べたかったからすぐに味見しよう」


あかりと柚子は味見を始めた。

「日本のマヨネーズとほぼ変わらないよね。…最高!」

「う〜ん、これなら絶対売れるわ。だって本当に美味しいもの」

「ありがとう。2人とも。俺も自分でちゃんと日本のマヨネーズが再現出来ているかどうか少し心配だったんだ。でも2人の言葉を聞いてこれならいいと思った。マヨネーズはこれで行こう」

「ミード酒は確か、蜂蜜、酵母、水を使って作る飲み物よ」

「柚子は良く知っていたね」

「うちのおじいちゃんが自宅で作っていたのよ、それで材料は何?って聞いたことがあるの」

「なるほどそういうことね。だから知っていたのか助かったよありがとう」


「次はミード酒(ノンアルコール)確か減圧蒸留法というのがあるんだよ。それで作ってみるよ。減圧蒸留法っていうのはアルコールを蒸発させて、冷却し再び液化させることで、アルコール以外の成分を取り出す方法なんだ。」

「じゃぁ、ミード酒を作った後に蒸留するのね」

「そうなんだよ。じゃあ、作ってみよう」

「何とかできたわね。じゃあこれもミード酒、ミード酒(ノンアルコール)各1000本ずつね」。

「俺たち用に別にミード酒をっと」

「よし、みんなで作ろう」


ミード酒は完成した。次はミード酒(ノンアルコール)これも完成。各1000本ずつ。

「次はリバーシだね。これは一般人用、商人用、貴族用、王族用と質と飾りで変えて有るんだね」

「そうね。やっぱり変えないとそれなりのお値段はつけてくれないもんね。そういえば、値段ってどうやって決めるのかしら?」


「それは明日、商業ギルドに行った時に聞いてみよう、もし俺らが決めるんだったら、幾らにするか話し合っておこう。次は柚子が作ったトランプだね」

「でも、トランプは紙の質と箱の豪華さ位しか、差を設ける事はできなかったわ」

「そうだね。絵柄もいいし後は質だけだよね。でもこの世界にもともと紙があって助かったわ、必要なのは紙を丈夫にする圧縮の技術だけだったもんね」


俺たちは翌日、商業ギルドに行き、発明品を見せた。

「私たちの発明品を持参しました。どうぞ見てください」

俺たちはアイテムボックスから発明品を出した。マヨネーズ、ミード酒、ミード酒(ノンアルコール)、リバーシ4種類、トランプ4種類、プレス機を商業ギルドの受付嬢に見せた。


「受付嬢は発明品を見て、まずは確認をさせてくださいと言った。この瓶に入っているものは何でしょうか」

「これはマヨネーズと名付けました。開けて食べてみてください。調味料です」

「ではいただきます……‼️…おっ美味しい!こんなに美味しい物をどうやって作ったんですか?…おほんっ取り乱して失礼いたしました。言えるわけないですよね発明品ですもんね。これは絶対に売れますよ!私が保証します。早く次を作って持ってきてください。これは完全に登録できると思います。まずは登録してみましょう」


受付嬢は3人での共同創造と言う形で書類を創造し、マヨネーズを発明品用の台に置いた。するとマヨネーズは見事消えた。これは神様が認めてくれたので、特許として登録された。


「次はミード酒とミード酒(ノンアルコール)と言うものです。これは蜂蜜を原料に作った飲料で甘くて飲みやすい飲料です、美味しいので飲んで見て下さい」

「とても飲みやすくて、蜂蜜ジュースとはちょっと違いますね。とてもおいしいです。」

「やはり登録されましたね。次はこのリバーシと言うものですが、これはどのようにするものなのでしょうか?」


あかりはこのゲームの遊び方を実際にゲームを使ってやってみた。

「これは面白いですね。私も夢中になってしまいそうです。少しずつ豪華になっているのは、一般人から貴族様方に合わせてという事でしょうか?」

「はい、その通りです。次の発明品も同じように、一般人から貴族様方に向けて外箱を変えてあります」


同じく書類を創造し、台の上にリバーシ全種類を置いた。同じく台の上から消えたのでこれも特許として認められた。

「では、最後にそちらの箱に入っているものですね」

「これはトランプと名づけました。中に入っているカードで遊ぶものです」


柚子はトランプの中身を出し、遊び方を説明した。まずはババ抜き、次に七並べ、次は神経衰弱、後はそれぞれの人が遊び方を考えてくれるだろう。

「これも面白いですね。大勢でワイワイと楽しめるカードゲームと言うのでしょうか?これも流行ると思います。ところで、これらの商品のお値段ですが、決めていらっしゃいますでしょうか?」

「値段のほうはいくらで売れるのかわからないので、これから出す商品も今後出す商品も、全てお店の方が売れる値段で決めてください」

「承知いたしました。ではトランプも台の上に置きましょう。あと紙の圧縮機械でプレス機ですね」


受付嬢は契約書を作成し、トランプとプレス機を台の上に置いた。やはり台の上から書類、トランプ、プレス機が消えた。これで特許契約完了だ。

「凄いですわ。これだけたくさんの発明品を一気に登録される方達なんてまずいないんです大変驚きました。ではすべて登録されましたので、発明品を商品として発売いたしましょう。そのためできるだけ数多く作成して来て下さい。宜しくお願い致します。以後売れると専門の工房に作成依頼をお願いしている方もおりますので、後は売れ方だけだと思います。ですがこの商品は全て大ヒットすると思いますので、あらかじめ工房をご紹介する事も可能です。どういたしますか?」


「そういえば、受付嬢さんのお名前はまだ聞いておりませんでしたね」

「失礼致しました。私はマチルダと申します。以後宜しくお願いいたします」

「わかりました。マチルダさん。これからもよろしくお願いいたします

それではギルドで紹介できる工房のリストをいくつか頂けたればと思います。最初は自分達で作っていますが、売れ方次第ではご紹介をいただいた工房にお願いする事になると思います。」

俺たちは、工房のリストを受け取り商業ギルドを出た。


「こんなにマチルダさんに喜んでもらえるとは思わなかったわね」

「そうよね。この世の中の人たちは、娯楽に飢えているのかもしれないわね」

「そうだねマヨネーズもあんなに美味しい、美味しいって言ってもらえると思わなかったもんね」

「そうよね。私たちも久しぶりにマヨネーズ食べてとっても美味しかったもん。この世界の人達もマヨネーズを初めて食べたら凄く美味しいと感じると思うわよね」

「しかも娯楽に飢えている人たちが多いみたいだから、リバーシもトランプも多分売れると思うよ」

「私もそう思う。数多く売れるといいね。多くの人に楽しんでもらいたいもの」


俺たちはホテルに戻り、リビングでせっせとそれぞれの商品の創造に入った。俺たちには創造のスキルがあるのでまずは瓶を大量に2000個作り、あかりと柚子にマヨネーズのレシピを教えて。3人で1瓶1瓶マヨネーズを注入していった。2000個が完成したのは、夜の11時過ぎだった。それから風呂に入り、全員ベッドへ直行だ。あっという間に寝てしまった。


翌朝起きて今度は全員でリバーシ作り。リバーシの一般人用は普通の木に線を引き、そこをちょっと掘るような形にして、両端の1部を丸くリバーシの駒が収まるように、半円状の溝を作った。数は1000セット、後は素材を変えるだけだ。商人用にはトレント材で、周りに模様をつけた。数は500セット。貴族用はトレント材で銀の模様をつけた。数は200セット。王族用はトレント材の周りに金の模様を付けた。数は10セット。


トランプは中身の材質は同じだが、少し絵柄の豪華さを変えて、一般用は紙の箱2000セット、商人用はトレントの箱で1000セット、貴族用はトレントの箱に銀で絵を描いた物を300セット、王族用はトレントの箱に金で絵を描いた物を10セット創造し

プレス機もとりあえず工房に渡す分、10セットを創造した。更にミード酒とミード酒(ノンアルコール)を2000本創造した。


こんなに1日で作るのはありえないので、俺たちは3日後に商業ギルドへ物を持ち込んだ。それでも結構早かったみたいで、マチルダさんにびっくりされた。

「では全てお預かりいたします。商品が売れ次第1ヵ月間の集計を取り纏めて、皆様の通帳へ20パーセント振込みがされます。ではよろしくお願いいたします。これだけすぐに作れるのであれば、工房は必要ありませんね」


「いいえ、マチルダさん、私達もこれだけを創造しているわけにはいかないので、この間ご紹介していただいた工房に話を付けて頂けたますでしょうか」

「承知いたしました。では工房と話が付き次第ご連絡を差し上げます。お泊まりのホテルはどちらになりますでしょうか?」

「ザ・ランド・カールトンの401です」

「承知いたしました。話が付き次第使いの者を出します。本日はありがとうございました」


俺たちは商業ギルドを後にしホテルへ戻った。皆で話し合い、全てをギルドへ収めてしまったのでマヨネーズだけ3つ作る事にした。今日の夕飯から使うぞ。俺は心に決めた。どうやらあかりと柚子もそのつもりらしい。夕食に、俺たちはマヨネーズをたっぷり使った。とても美味だった。


翌朝はパンに塗り、色々と挟み食べていると

「それはなんですか?」と聞かれ

「よろしければ食べてみますか?」と言ってパンに塗ってあげた。

「うっ‼️……美味い‼️これはなんだ?美味すぎるぞ」


「俺にも、私にも、」

多くの人がマヨネーズを売ってくれと俺たちの所に並んできた。

「これは私たちが発明した商品です。多分商業ギルドで聞いていただければ販売しているお店を紹介してくれると思います。宜しかったら価格はギルドで聞い下さい」

「よし、早速買いに行くぞ」

「私も行くわ。早く買わないと無くなっちゃうかも」


大勢の人々が、食事を早々に終え、先を争うように商業ギルドへ向かった。

「あのそちらの商品は何でしょうか。多くのお客様が夢中になり、争って商業ギルドへ行かれた様ですが」

「はい、私達が創造した商品で、マヨネーズといいます。よろしかったら試食してみますか?」

「では、お言葉に甘えて……うんまーーーーーーーーーいっ……‼️これはッ…当ホテルでも採用させていただきます。試食ありがとうございました」


ホテルのマネージャーは慌てて商業ギルドへ向かった。

「ねぇ、荒神これは工房にお願いする前にあと、3000セット位作らないといけないかもね」

「そうかもね、やばいぞ。これは」

「そうかも、次のオークションまでの間、色々と散策しようと思っていたのに、何もできなくなりそうで怖い」

「どうせついでだから、ジェンガ、ケチャップ、味噌、醤油、焼肉のタレも作っちゃおうか?」

「そうね。どうせだから、全部作っちゃいましょう」

「了解」


「ジェンガは木をブロック状にして、同じ寸法で切り54本を交互に3本ずつ積み重ねた積み木みたいなものだよね」

「確か、ケチャップはトマト、玉ねぎ、ニンニク、唐辛子、水、酢、スパイス、塩、砂糖、こんな感じで良かったと思う後は分量だね。試行錯誤してすぐ作れると思う」

「確か醤油は大豆と小麦、塩、これだけでよかったと思う。大豆は蒸して小麦は煎って砕いてそれでいけると思ったわよ」


「焼肉のタレは醤油、砂糖、酒、みりん、ごま油、ニンニク、醤油、白ごまだったと思う」

本当はソースも作りたいんだけど、残念ながらソースは結構材料が多いし、手に入るかどうかわからないから、とりあえずは諦めましょう。そのうちまた材料探してから作っても遅くないしね」


「そうね。そんなに沢山、いきなり作ってもしょうがないものね。また今度にしましょう」

俺たちはジェンガとケチャップと味噌と醤油、焼肉のタレを試行錯誤しながら作った。成功だ。地球のものに近い美味しいものが出来た。これも各2000ずつケチャップは3000作った。


「じゃあ、これも商業ギルドに持っていき、登録してもらおうか。登録が出来たらこれもすぐに売りに出そう」

「そうね、これもきっと流行るわよ。」

「じゃあ、商業ギルドに行きましょう」


俺たちは商業ギルドへ向かって歩を進めた。俺たちは商業ギルドへつくと、受付のマチルダさんの所へ寄った。

「マチルダさん、おはようございます。今日は新しい商品の登録に来ました。商品はこれです」

「荒神さん、あかりさん、柚子さん、おはようございます。本日はどのような商品の登録なのでしょうか?とても楽しみですわ」


「はい、本日はジェンガと言うゲーム、醤油とケチャップと味噌と言う調味料と焼肉のタレと言うものを開発してきました。まずはこちらもなめてみてください」

「では早速舐めさせていただきます。この赤いものはなんですか?」

「こちらはケチャップと言う調味料です」

「こちらも、とーーーーっても、美味しいです」


「じゃあ、次には醤油です。これも調味料です。舐めてください」

「こちらは、今まで食べたことのないような不思議な味です。これはどんなものに合うのでしょうか」

「そうですね。これは、次に作った焼肉のタレのベースとなるタレです。さらにお魚を食べる地方での調味料としても最適です。また調味料として色々な使い道もありますので、あとは味噌ですねそちらは順次ご紹介いたします」


「承知いたしました。次は焼肉のタレですね。焼肉のタレは既に存在していますが、これはちょっと色が違うのですね。やはり醤油ベースということで違うのでしょうか?」

「はい、そうです。マチルダさんは今までバーベキューとか焼肉はしたことがありますか?」

「はい、あります。おいしいですよね」


「そうなんです。でも私たちはもっと美味しいタレを作ったんです」

「では少し舐めてみます。こっ!……これはっ!醤油ベースになるだけで、こんなに美味しくなるんですね。びっくりです!」


「最後はジェンガと言うゲームですが、これは交互に3本ずつを積み重ねていき、途中から1本ずつ抜いて崩さないようにしていくゲームです。結構面白いですよ。ハラハラドキドキする感じがとてもたまらないです」

「では登録できるかどうか確認してみてください。よろしくお願いしますね」

「そっ…そうですね、私とした事がまた取り乱してしまいました。では早速登録をさせて頂きます」


マチルダさんは全て契約書を作りジェンガ、ケチャップ、味噌、醤油、焼肉のタレの順に台の上に乗せ、やはり全ての契約が完了した。

「では、マチルダさん、既に各2000ずつケチャップは3000商品を持ってきておりますので、お預けします。販売の方よろしくお願いいたします」


「やはり全部登録できると考えていらっしゃったのですね。お任せください。ところで醤油は他にどのような使い方がありますでしょうか?」

「まずは、炒め物と一緒に調味料としてかけて炒める。次はお魚の刺身に付けて食べる。次に単純にステーキ(ニンニク等と一緒に炒めた醤油)と一緒にかけて食べてもおいしいですし目玉焼きにかけて食べても美味しいですよ。その他にも色々ありますが、先程の焼肉のタレのベースともなっています。後は色々な物にかけたり、混ぜたりして食べてみてください。味噌もスープにしたり、お肉を漬け込んで焼いたり魚を漬けてみたり、いろいろ使い方がありますよ」


「ケチャップも、ウィンナーソーセージと一緒にパンに挟んだり、スクランブルエッグにかけたり、以前のマヨネーズと混ぜたりして、ドレッシングにしたりと、色々な使用方法がありますので、試してみてください」

「あの、ウィンナーソーセージってなんですか?またスクランブルエッグってなんですか?」


「失礼しました。ではスクランブルエッグは簡単に言いますと、フライパンの上にバターを敷き、卵を溶いた物を先程のフライパンの上で熱しながら混ぜたものです。完全には固めないですね。ウィンナーソーセージは後日作って参ります」

「では、よろしくお願いいたします」


俺たちはギルドを後にし、ホテルへと戻った。

「ごめん、また新しい商品を(ウィンナーソーセージ)作らないといけない羽目になってしまった。本当にごめん」

「仕方ないわよ。そういえばウィンナーソーセージってこの世界に来てから食べた事ないもんね」

「そうよねウィンナーソーセージ全然食べなかったわね」

「これから作ってもいいかい?」

「作りましょう」

「でも作り方知っているのかしら?」

「知っているよ。ただ豚とか羊とかの腸が、必要なんだよね」

「じゃあ、肉屋に行って聞いてみましょう」

「さすがあかり」

「じゃあ早速行ってみましょう」


「ここだわ。じゃあ聞いてみましょう。すいません羊の腸か豚の腸はありませんか?」

「あるぜ」

「よかった。売っていただけますか?お値段はお幾らですか?」

「そんなの、只でやるよ」

「ありがとうございます。どれ位頂けるのでしょうか?」

「そうだな、いま店にあるのは羊の腸が25頭分あるから全部持って行ってくれ」

「ありがとうございます。助かります」

「じゃあちょっと待ってな、今奥から持ってくるから」


店主は奥から羊の腸を持ってきて俺たちに渡してくれた。

「ありがとうございました」

俺たちは店主にお礼を言って店を後にした。

「今後は、俺たちが作るわけにはいかないから、工房に任せするので、工房と精肉店とで取引をしてもらわないといけないね。今回は無料だったけど、工房や精肉店と毎回の取引時にはそういうわけにもいかないもんね。ここの気前が良い精肉店は、ウインナーソーセージの1号店にしたいね」

「お店の名前はバン精肉店か、じゃあ早速帰って作りましょう」

「そうね。早く帰り作製してマチルダさんの所へ持っていき、そろそろ観光しなくちゃね」


俺たちはホテルに帰り、羊の腸を丁寧に下処理をしウィンナー作りを開始した。

ウィンナーソーセージの材料は、豚ひき肉、塩、パセリ、ニンニク、黒胡椒、羊の腸だ。俺たちは、これらを混ぜて羊の腸に詰めウィンナーソーセージを100,000本創造した。これをやはり商業ギルドのマチルダさんの所へ持って行き、試食をしてもらった。


「これに前回の醤油またはケチャップ等をかけ食べていただくと美味しいです。また塩と胡椒で食べても美味しいですよ」

「これも美味しいですね。どうしてこう次々と美味しいものを創造できるんでしょう?何か秘密があるんじゃないですか」


「実は冒険者ギルドの方にはお話ししたのですが、私たちは隣の国のワルイーナ王国で、異世界召喚された者達なのです。その中で勇者では無いと言う事で、役立たずだと追い出された者達です」

「…そんな事があったんですか」

「はい、そうです。ただし、追い出されるように仕向けたんですけどね」


俺たちは冒険者ギルドで話した事と、同じ事をマチルダさんにも話し、商業ギルドのギルドマスターにも同じ様に話した。

「多分冒険者ギルドのギルドマスターから領主様に話は行っていると思います。ですので、商業ギルドでは商業ギルド間でこのお話を巡して頂けたればと思います」

「承知いたしました。」


「先程のお話とは別に早速ウィンナーソーセージの登録をいたしましょう」

「よろしくお願いいたします」

ウィンナーソーセージも同じように契約書を作り、台の上に置き、消えたので無事契約は成立したようだ。


「では、マチルダさん、ウィンナーソーセージも無事特許登録が出来たので、こちらに商品がありますので置いて参ります。100,000本あります。色々と今までの調味料と合わせて試食してみてください。新しい食べ方も色々と考えてください。よろしくお願いいたしますなお、今回羊の腸を提供していただいたお店がバン精肉店と言いますので、こちらを第1号店としてウィンナーソーセージをお願いしたいと思っています。よろしくお願いします」

「承知いたしました。こちらも皆で試食をし、色々と食べ方を考えてみます」

「では、よろしくお願いいたします」


俺たちは商業ギルドを後にした。

「これでやっとお休みができるわね」

「そうよね、疲れたわ」

「そうだね、疲れた。明日1日しっかり休もう」


俺たちはホテルに帰り、ジャグジー風呂に浸かりミード酒を飲み疲れを癒した。その後は各部屋でぐっすりと眠った。翌日俺たちはやっと自作の馬車を出して初試乗を行った。


「やっと、自分たちの馬車に乗れるわね」

「本当ね」

「そうだね、やっとだよ」

「そういえば、この馬車の御者はどうするの?」

「ダミーの御者を乗車させるから大丈夫だよ。人間そっくりに作るから」

「そんなこともできるんだね、凄いね」


「それは自動運転と言うこと?」

「そうだよ。馬型ゴーレムが、勝手に判断をして進んでくれるから。また、ダミーの御者も馬形ゴーレムが道を外れそうになった時や、危ない時に作動してくれるようになっているから、安心して」

「凄い技術ね」


「これがゴーレムだってわかったら、しかもこの馬車は豪華だし欲しいって言う人が幾らでも現れそう」

「そうだね。もし欲しい人がいたら白金貨3枚ぐらい出してくれれば売るけどね」

「日本円で3億円でしょう!そんなに高く売れるのかしら?」


「う〜ん…もしかすると、売れるかもしれないわね」

「多分売れると思うよ。貴族はかなりお金を持っているし、新しいものを欲しい人は幾らでもいる。またこの馬車にはクッションやショックアブソーバーが着いていて、乗り心地も非常に良いからね」


「そのうち乗っていれば、誰かが声をかけてくるかもしれないから、それまで、私達で楽しみましょう」

「じゃあ、出発するよ。御者に声をかければ動くんだ。よし出発してくれ」

馬車は動き出した。これからはランドレイク(湖)を巡る旅をする予定だ。どんな名所があるのか、皆楽しみだ。




本日もお読みいただきありがとうございました。感謝いたします。

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