異世界の兄とはシナジー効果が絶大です

マスカレード

第1話 プロローグ 1

 は~っ、いい天気。

 真っ青な空と清々しい空気は、心を浮き立たせる。まさに五月って感じだ。

 広がる青空に流れてきた雲の形が変わっていき、スクーターになる。


「あ~あ、こんないい天気に中学校なんて行きたくないな。あの白い雲のスクーターが一瞬だけ本物になってくれたら、どこかに出かけられるのに」


それで目的地についたときに、パパッと手で払ったら煙みたいに蒸発しちゃえば、駐車場も探さなくていいから一石二鳥だ。

 あっ、まだ運転免許証を持っていないから、どのみち運転は無理か。

 惚けるように空を見上げていた永瀬創志ながせそうじは、背中をバシッと叩かれビクリと身体を震わせた。


「び、びっくりした」

「創志、朝からボ~ッとするなよ。遅刻するぞ」


 せっかく早めに家を出てきたのに、またいつもの空想の世界にいざなわれて、発揮はつきに追いつかれてしまったようだ。

 一緒に行こうと誘ってもいないのに、発揮は隣に並んで昨日見たテレビのことや、学校で起きた面白いことをあれこれ喋る。同じ家に住んでいても、創志が食事時以外は部屋にこもり、食事も掻きこむように素早く食べて席を立つので、発揮は登校のときを狙って創志と会話を持とうとするのだ。とはいっても創志は聞き役で、発揮が一方的に喋っているだけだけれども。

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