第17話 大地の精霊
魔竜谷は、静かだった。あれから二年経っている。
私の住んでいた家は、荒れ放題だったけどパーシアは、落ち着いて眠っている。
私は、パーシアのところへ行こうとして止めた。
リカルドに止められたのだ。まだ、早いと……彼女は深く傷ついた……と……
それで私は、結界の外の動きを探るべくデュ-ル谷をぐるりと回ってみた。
結界の一番脆いところに、見慣れない精霊が転がっていた。
デュ-ル谷は、精霊の生まれるところで有名なところでもあったが、その精霊は、転がっていたのだ。結界の外で。
「ねぇ、これくらいの結界の薄さならバレないかしら?」
<いや、バレるだろ? 何のための結界だよ>
「平気よ。大地の精霊が転がってるなんて、珍しいわ」
と、私が結界に手を伸ばした瞬間、谷中に聞こえるサイレンが鳴ったのだ。
(な~に~??)
<やっちまったな>
けたたましい爆音の中でも、大地の精霊は反応がなかった。意識がないようだ。
私は、素早く結界の中に入れると、取り敢えず、自分の頭の上に乗せた。
もちろん、リカルドは、嫌がったわ。
頭上は、第一精霊の場所ですもの。
でもまだ、契約出来てない意識のない精霊ですもの。保護したいのよ。
▲▽▲
「バカもーーん!!」
「お前が、結界に触るほどバカだとは思わなかったわ」
結界に触ったのが、私であることは直ぐにバレた。迎えに来てくれたのが母様だったのは嬉しかったけど、父様と母様からそれぞれ、ゲンコツ二発とお説教が待っていた。谷を任されているミジアがフか不在時だというのが一番悪かったらしい。結界は母さまの魔力で元通りに直されたけど、私が結界を触ったことは谷の皆が知ることになった。
「多分、一瞬だったから、ジェドの水晶には映らなかったと思うが……」
「当分、私がエリサの監視をするわ」
「そなただって忙しいのだろう? 奥方の行方が分からなくなって二年だ。そのための神殿行きになったのだろうからな」
「当たりよ。神の血を引く直系のエル・ロイル家の奥方、カタリナ様が謎の失踪をされて二年が経ったわ。手がかりが何もないのよ」
父様と母さまが話していた。
私はというと、一日ご飯抜きで納屋に入れられたわ。
でも、可笑しいの。誰も大地の精霊の存在に気が付かないの。視えてないのかしら……?
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